2017.10.30
上池台の住宅 いけのうえのスタンド
                                     

 大田区上池台の住宅街の一角に建つこの建築は、私(建築家)と妻と愛犬が暮らす住居と、私たち夫婦が営む設計事務所からなる。この地に移り住むことを決めたのは201412月頃。都市部に住まいを構えるにあたり、街とつながりのある暮らしをしたいと思い、住まいの一部を街に開く住宅をつくろうと決めた。

 1階の通りに面した透明な小屋型のヴォリュームは、住宅に挿入されたパブリックスペースであり、気軽に立ち寄ってもらいたいという気持ちから「スタンド」と名付けた。スタンドでは、私たち夫婦が営む設計事務所のほか、コーヒースタンドや盆栽教室、上映会、出張本屋を招くなど、ご近所さんがふらっと立ち寄れる仕掛けを展開している。スタンドは、通りの向こうからでも視線が抜けるよう透過性のある開口部とし、通りに面して設けられた水場を介して、カウンター越しに対話ができたり、内外ともひと続きの土間とし、軒下空間を一体的に使えるように設計した。一方、2・3階のプライベートスペースは、15坪という狭小地にありながら、あえて縁側やテラスといった外部空間を取り入れ、開口部から街の気配を引き込むことで、季節や時間、状況などによってさまざまな変化をもたらし、拡がりのある住空間を目指した。

 住宅が完成し1年が経つが、スタンドにはこれまでたくさんのご近所さんが立ち寄ってくれている。私たち夫婦がスタンドに立つたびに、街との接点が増え、自ずと住まいと街との距離が縮まっていく。

 

 私たちが「住まいを街に開く」ことを想定し、住宅の設計を始めたのは、社会の変化も影響している。これまで多くの住宅は、核家族を前提に間取りの開発が進められてきたが、2000年代に入ると、核家族から単家族へ、ライフスタイルや働き方の変化、さらには人口減少社会において住宅の余剰が問題視されるなど、住宅を取り巻く環境の変化が著しい。ここで思考した、「住まいを街に開く」ことは、住み手だけでなく、住み手以外の他者との関係を積極的に考えることにつながる。その結果、家族を超えた新たな繋がりであったり、地域社会のなかで生まれる小さな経済であったり、これからの社会に必要な住宅のあり方を、この建築を通して問うことができたのではないだろうか。

 

 

□建築概要

・場所   東京都大田区

・設計   落合正行+PEA.../落合建築設計事務所

・構造   株式会社ロウファットストラクチュア

・施工   株式会社システムシーツー

・外構   塩津丈洋植物研究所

・竣工年月 201610

・構造、規模 鉄骨造、地上3

・敷地面積 50.93

・建物面積 29.11㎡(130.76㎡、2 27.87㎡、3 24.15㎡)

・家族構成 夫婦+犬

・用途地域 第1種中高層住居専用地域

・撮影   堀田貞雄

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