よくある質問

あけましておめでとうございます。
田村誠邦です。


あけましてというには、松の内も過ぎ
て少し間が抜けた感じもしますが、
昨日が成人の日で祝日でしたので、
今日から仕事始めのところも多いかと
思います。


私自身も4日までは、例年通り箱根で
過ごし、6日に内田祥哉先生を囲む会
昨日が一般財団法人住総研の研究運営
委員会と動いてはいましたが、自分の
事務所では、今日が仕事始めです。


さて、2018年は私たちにとって、
どのような年になるのでしょうか?


私は、2018年というか、2018年から始
まる数年が、ものすごく大きな変革期
になるのではないかと思っています。


実は大変革期の予兆はすでに2~3年
前から現れつつあるのですが、
その予兆がさらに明確になり、実社会
を大きく変えていくのが、この2018年
から始まる数年だと思われます。


たとえば、AIが人類の知能を凌駕する
シンギュラリティの予兆とか、
自動運転技術の発展とEVシフトによる
自動車産業の大変革とか、アマゾンに
代表されるネット販売の発展による
小売業や流通産業の変化とか、
ウーバー等のシェアエコノミーの展開
とか。


これらはいずれも、技術の発展と、
それを支える社会基盤の整備が
一定水準を超えたときに、一気に起こ
り得る産業や社会構造の大変革ですが
それらが、いま、同時に起きようとし
ているのです。


そして、私たち人類の側も、平均寿命
が100年に達する「人生100年時代」と
いう考えてもいなかった現実が、
もうそこまで迫っているのです。


LIFE SHIFT(ライフ・シフ
ト)―100年時代の人生戦略、
リンダ・グラットン, アンドリュー・
スコット著という本を、もうお読みに
なられましたか?


私がこの本を読んだのは2年ほど前で
すが、ここ数年間で読んだ本の中では
最も衝撃を受けた本です。


この本で引用された予測では、2007年
に生まれた子の半数が達する年齢は、
日本では、なんと107歳にも達すると
いうのです。


人生100歳越えが当たり前になる時代
には、これまでのような「教育→仕事
→引退」という単線型の人生から、
時代の変化の中で新しい人生の節目と
転機が何度も出現し、学びなおし仕事
も変えていく「マルチステージ」型の
人生へと様変わりする。


それに伴い、ジョブチェンジに必要な
学びなおしや引退後の資金問題にとど
まらず、スキル、健康、人間関係とい
った「見えない資産」をどう育んでい
くかという問題に直面するというのが
著者らの見方です。


今後どんな時代が訪れ、どんな生き方
を模索していけばいいのか? その際
どのような有形、無形の資産が重要性
を増すのか? どんな人間関係を築い
ていけばいいのか、企業や政府が取り
組むべき課題は何か、など、示唆され
る処の多い本です。


このような人生100年時代が実現化する
一方で、世の中はAIなどの技術の発展
によって大変革を迎えるわけで、
私たち一人ひとりにとって、きわめて
重要な変革期が訪れているような気が
します。


私自身、今年の3月に明治大学の特任
の任期が終わり、もう1年ちょっとで
65歳というリタイア世代の入り口に
立っていたつもりだったのですが、
もし人生100年が現実になるのであれ
ば、あと40年近くの人生が残っている
のです。


そうすると、もう一度(あるいはもう
何回か)、何かを学び直し、新しい仕
事に挑戦したり、新しいスキルを身に
付けたり、健康、人間関係といった
「見えない資産」をどう育むかを考え
実践することが必要だと思えてくるの
です。


現在、65歳以上の高齢者の就業率は、
22%だそうですが、70歳での就業率が
50%程度になる時代も、そう遠くない
のではと思えるのです。


そもそも、65歳以上を高齢者という定
義そのものを、そろそろ見直す必要が
あるのかもしれません。


ただ、こうした高齢者の就労が、生活
費を稼ぐためという後ろ向きの理由だ
けではなく、新しいスキルを身に付け
たり、健康、人間関係といった「見え
ない資産」を育み、人生を豊かにする
ためのものであってほしいと思います。


2018年の初めに当たり、「人生100年
時代」という現実を踏まえてこれから
のライフプランを、いま一度、考えて
みてはいかがでしょうか?


最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


田村 誠邦
こんにちは
田村誠邦です。


毎日、雨模様の肌寒い日が続いています
が、今日は一段と冷え込み、12月中旬の
寒さとなりそうです。


さて、ここのところ、私が関係する講演
会やセミナーが3つほど重なりますので、
今日はそれらをまとめて、ご紹介したい
と思います。


1.明治大学大学院特別講義
「ストック時代に求められる建築と建築
産業のあり方とは?」


首都大学東京特任教授の青木茂先生と私
の講演と対談を通して、これからの時代
の建築と建築産業の在り方を探ります。


日時:11月7日(火)19:00~21:00
場所:明治大学生田キャンパス第二校舎
   A館4階特殊プレゼンホール
価格:無料(申し込みも不要)


プログラム:
第一部「ストック時代の日本の建築、建
築産業の課題」:田村誠邦(明治大学教授)


第二部「リファイニング建築の目指すも
のとは」:青木茂(首都大学東京教授)


第三部「対談:ストック時代に求められ
る建築と建築産業のあり方とは?」
:青木茂 × 田村誠邦


詳しくは、次のページをご覧ください。
goo.gl/h8Qrjj


ポスターは次の通りです。
goo.gl/TmrDsa


2.日経アーキテクチュア主催
「仕事が取れる 設計者のための“不動産”
特別講義」


若手~中堅設計者を対象に、設計者が仕
事を取る上ですぐ役立つ不動産や税務の
基礎知識を私、田村が集中講義します。


日時:10月25日(水)13:00~17:30
場所:ラーニングスクエア新橋
東京都・新橋(新橋駅より徒歩2分)
価格:30,600円(税込み、一般価格)
   21,600円(税込み、日経アーキテ
クチュア、日経ホームビルダー定期購読
者)


詳細と申し込みは次のホームページで。
http://www.nikkeibp.co.jp/seminar/atcl/ken/NA171025/


3.「東京の緑を守る将来会議」主催
「みどりのリノベーション講座」


まちなかの緑地空間をどう活かしていく
か、土地利用の視点から考える、今まで
にない実践を伴った講座で、3日間のレ
クチュアとワークショップで、地域資源
を踏まえた緑地やその周辺空間の活用事
例や事業計画方法について学びます。


日時:10/20(金)10:00~16:30
10/21(土)10:00~16:30
10/28(土)10:00~14:00
場所:みやもとファームとうふ房 
練馬区高松1-39-5
価格:全3回15,000円(昼食等含む)


開催直前のお知らせで申し訳ないのです
が詳細と申し込みは次のホームページで
http://www.tokyo-midori.net/renovation_h29.html


以上、今日はお知らせだけになってしま
いましたが、皆様のお役に立つ内容だと
思いますので、ぜひ、ご参加ください。


最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


田村誠邦

こんにちは
田村誠邦です。


早いもので、今年度も上半期が終了し、
10月からの下半期に入りました。


昨日10月2日は、スーツ姿の若者の姿が
目立っていたのですが、そういえば10月
1日が日曜日であったため、企業の内定式
の多くが昨日に行われていたのですね。


さて、いま話題になっていることといえば、
なんといっても、小池都知事による新党
「希望」の結成と、それに伴う民進党の
「希望」への地滑り的合流でしょう。


それも、毎日状況が変わり、われわれ国民
としては、呆気にとられるばかりという
状況が続いています。


これも、元は安倍総理による大儀なき衆議
院解散に発するものなのでしょうが、それ
にしても、わが国の政治家たちは目の前の
選挙のことしか頭になく、その志の低さに
は呆れるばかりです。


政党政治には、政権公約としてのマニフェ
ストが大切であるという話があったのは、
ほんの数年前のことだったと思いますが、
マニフェストを掲げた前民主党政権のダメ
さ加減で、なぜか、マニフェストを掲げる
こと自体も不要になってしまったようです。


人口減少と少子高齢化の進行で、膨張する
医療費・介護費用の抑制と財源確保をどう
するか、将来世代へのつけを残さないため
の国家財政をどうするのか、といった根本
的な課題についての政策を問うのが、国政
選挙のはずです。


しかし与野党とも、そうした課題には一切
手を付けずに、個人的なスキャンダルの
暴きあいに終始し、敵失に乗じた大儀なき
衆議院解散を強行した与党と、選挙目当て
の集合離散を繰り返す野党の、どちらが
ましかという不毛の選択しかない状況です。


普通の国であれば、この政治状況を見て、
国民の怒りの声が上がるはずですが、この
国では、国民は静かにこの馬鹿さ加減の
政治状況を見守るだけのようです。


それができるのも、実は、国民一人一人が
住むところも、働くところもあり、何とか
飯を食うことができるという、世界的に
見れば、ある意味で恵まれた状況にある
からなのかもしれません。


しかし、もし今、北朝鮮を巡る軍事的衝突
が発生したとしたら、あるいは、リーマン
ショック級のバブル崩壊や、それに伴う
国債を含む債券市場の大暴落で金利が急騰
したとしたら、この平和な夢も一瞬で霧散
してしまうかもしれません。


そして、これらの大事件が発生する確率は、
もはや無視できるほど、低くはないのかも
しれないのです。


さて、話は変わりますが、20年前に自分で
会社を経営するようになって、初めて気づ
いたことの一つに、企業は大企業であって
も、その経営者(社長)の出来不出来で、
うまくいくかどうかの5割以上が決まって
しまうという事実があります。


社員がどんなに優秀で頑張っていても、
ダメな経営者の下では、その会社はダメに
なってしまう確率が高いのです。


政治についても、同じことが言えるのかも
しれません。


私たちが選ぶ政治家がダメなら、そして、
その頂点に立つ総理大臣がダメなら、この
国の将来も暗いものになってしまう確率が
高いのです。


今回の選挙、不毛な選択には違いないので
すが、それでも、しっかり考えて投票する
ことが我々国民の権利であるとともに、
義務であると思います。


少なくとも、棄権だけはするまい、
そう思う、この頃です。


最後までお読みいただき、
ありがとうございました。


田村誠邦
住まいのことども
小山 太
① 床下に毒ガスをまくな!
梅雨にはいりましたね。日本の夏は高温多湿です。地球温暖化が叫ばれて久しくなります。これから高温とスコールのようなゲリラ豪雨に見舞われる日本の夏がきます。温帯ではなく、亜熱帯の夏になったようです。
この気候はシロアリにとってとても住みやすい環境といえます。ホウ酸がシロアリ駆除剤として最適であることをご存じですか?
「住まいの学校」では、木材の防腐防蟻処理剤にホウ酸を推奨しています。
木造長期優良住宅の防腐防蟻処理剤にホウ酸が国によって認められたのは2012年3月です。それまでは農薬系の木材処理剤が日本の新築木造住宅の木部処理を一人占めにしていました。薬剤は、薄いとはいえ農薬です。
塩素系クロルデン、燐系スミチオン、そしてピロスロイド系と変遷しましたが基本的に農薬。身体が毒物に対して敏感な人や乳幼児にいろいろな障害がでましたし、今もでます。室内の農薬濃度を測定し、毒物の体内摂取に警鐘を鳴らしたのは、当時、横浜国立大学環境科学センターの加藤龍夫教授。「床下の毒ガス」というタイトルで世間を脅かせました。シロアリ駆除剤クロルデンを散布した団地一体で子供たちの湿疹、じんましん、口内炎、ノイローゼなどが多発したのは1980年代。
アメリカやオーストラリアでは、木材の防腐防蟻処理剤は住まい手の健康を守るためホウ酸が主流です。それが、日本でもやっと認められて5年。日本の家は、いま、高断熱高気密化した魔法瓶住宅。床下、室内、天井から蒸散した化学物質はなかなか室外に出ていきません。詳しくは『シロアリはホウ酸でやっつけなさい』(著:荒川民雄 出版:住まいの学校)や『農薬と環境破壊56話』(著:加藤龍夫 出版:光雲社)をお読みください。
こんにちは
田村誠邦です。


関東地方は、梅雨入りして2週間近く経ち
ますが、今年の梅雨は今のところ、比較的
雨も少なく、空気も乾いていて過ごし易い
天気です。


さて、先週末の6月16日、ニューヨーク
株式市場のダウ工業株30種平均は前日比
24.38セント高の21,384.28ドルと、史上
最高値を更新しました。


ダウ平均株価は、トランプ大統領の当選が
決まった昨年の11月9日から20%以上の
値上がり、リーマンショック後の最安値
7,882.51ドルからは、実に2.71倍もの値
上がりを示しているわけです。


それでは、この米国の株高は、経済の実態
を表しているものなのでしょうか、それと
も、一種のバブルなのでしょうか?


米国経済の経済指標をみると、確かに、数
年前に比べると、米国経済の強さを示す指
標がそろっています。


たとえば、2012年に8%以上あった失業率
は、この5月末で4.3%にまで下がり、ISM
製造業景況指数は、久しぶりに55台にま
で回復し、2012に460万戸程度であった
中古住宅販売件数は、570万戸に回復して
います。


同じ株高傾向にあるわが国と比べても、
米国の経済指標は着実に好転しており、
日銀が異次元の量的緩和の出口が見いだせ
ないのに比べ、米国のFRBは、経済指標の
改善を機に、量的緩和の縮小に着手して
おり、米国経済の健全さがわかります。


それでは、米国の株価にバブルの兆候が
全くないのかといえば、実はそうとも言い
切れません。


バブルの兆候は、ニューヨーク市場のダウ
平均株価ではなく、ナスダック指数の方に
より強く表れているように思えます。


ナスダックNASDAQの正式名称は
National Association of Securities
Dealers Automated Quotationsと言い
ますが、世界最大の新興企業向けの市場で
情報通信系の主要な新興企業が上場して
います。


市場総額で言うと、ニューヨーク証券取引
所の規模の方が、ナスダックよりもまだ大
きいのですが、世界の時価総額トップ企業
の顔ぶれを見ると、ナスダックのウェイト
が拡大しつつあるのがわかります。


今年5月末の世界時価総額ランキングでは、
1位アップル7964.7億ドル、2位アルファ
ベット6751.1億ドル、3位マイクロソフト
539.2億ドル、4位アマゾン・ドット・コム
4754.0億ドル、5位フェイスブック4389.6
億ドルと、上位5社がナスダック市場です。


これら5社の合計は2兆9251.4億ドルと
1ドル110円で換算すると、日本円で321.7
兆円にも上ります。


今年5月末における東京証券取引所一部の
時価総額が578.5兆円、わが国の上場企業
の時価総額が601.1兆円でしたから、上記
のナスダック上位5社の株式時価総額は、
東証一部の時価総額の56%、日本の上場
企業の時価総額の53.5%にも上ります。


このことで思い出すのは、わが国の1989年
ごろのバブルの時期の話です。


当時は、NTT1社で時価総額80兆円を
超え、東京都の土地価格でアメリカ全土が
買え、お釣りでオーストラリアが買えると
いった景気のいい話が横溢し、1989年初め
に30165円だった日経平均株価が年末に
38957円まで、29%も上昇したのです。


アップルにせよ、アルファベット(グーグ
ル)や、マイクロソフト、アマゾン、フェ
イスブックにせよ、現在の社会のありよう
を変えるような新たなインパクトを与えて
いる企業ですが、どうしても、1989年当時
のわが国のバブルを連想せざるを得ません。


ナスダックの昨今の株価の上昇課程が、
2000年のITバブルのころの株価の上昇
課程に近いという話もありますし、米国の
株価の行方を注意深く見守る必要がある
ような気がします。
 

最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。



田村 誠邦

こんにちは
田村誠邦です。


今朝はちょっと肌寒い陽気ですが、桜の
季節も過ぎて、若葉が美しい季節になって
きました。


20年前の1997年4月25日、私は、自分
の事務所である株式会社アークブレインを
設立しました。


ですから、ちょうど昨日で、私の事務所は、
満20周年を迎えたわけです。


設立した会社の9割は、10年以内に消えて
いくといわれる中で、無事20周年を迎え
ることができたのは、本当に感無量ですし、
これも、これまで、私や私の事務所を支え
てくれた多くの方々のおかげだと感謝して
います。


20年前、初めて事務所を構えたのは、
同潤会青山アパートメントの裏手にあった
マンションの中の小さな一室でした。


事務所の設立当日、歩道橋の上から見た
表参道の欅の若葉がまぶしく輝いていて、
「ようしやるぞ!」という気持ちが、ふつ
ふつと沸いてきたことを、いまでも昨日の
ことのように鮮やかに覚えています。


なんとか無事、20周年を迎えることが
できましたが、特別な経営の才があるわけ
ではないので、事務所規模は今でも小さい
ままですし、財を成すことができたわけで
もありません。


ただ、事務所の所員だけでなく、コラボ
レーションをしてくれた仲間に恵まれ、
新しいチャレンジングな仕事に恵まれた
ことは、感謝しつくせない事実であり、
また、誇りでもあります。


つくば方式を用いたコーポラティブプロ
ジェクト、日本で最初の建替え決議による
マンション建替えを成功させた麻布パイン
クレストや同潤会江戸川アパートメント、
日本最古のRC集合住宅の再生となった
求道学舎、そして国際文化会館の再生など。


規模はそれほど大きくはないものの、新た
な時代を拓いてきた、これらの数多くの
プロジェクトに、携わることができたのは、
本当に幸運なことでした。


また、アーク都市塾での社会人教育から、
共立女子大・工学院大学での非常勤講師を
経て、2011年から明治大学での客員教授、
2013年から同特任教授と、大学や大学院で
の教育活動を続けられたことは幸運なこと
でした。


さて、今年は、1977年に社会人生活を
スタートさせてから40年、そして、
自分の事務所を創設してから20年という
ひとつの区切りの年になりましたが、これ
からは、もう少し、仕事の仕方を変えて
いこうかと思っています。


もう、業務を拡大する歳でもないので、
自分の仕事としては、これまで以上に
質を重視して、自分のやりたいことに
注力していこうかと考えています。


また、明治大学の特任の任期は今年度限り
ですが、教育を通して、人の成長に係わる
仕事には、これからも、係わり続けていき
たいと思います。


このメルマガも、不定期で更新頻度も低く
なっていますが、できるだけ長く続けて
いきたいと思いますので、引き続いての
ご支援をお願いいたします。


最後まで、お読みいただき、
ありがとうございました。


田村誠邦



編集後記


このメルマガは、本来は、事務所設立の
20周年にあたる昨日に出したかったの
ですが、午前中は仕事の会議、午後は
ずっと明治大学でのゼミと講義だった
ので本日の発行となってしまいました。


昨日のゼミの時間には、研究室活動の多く
を共同で行っている山本俊哉先生の研究室
と合同で、総合資格学院の発行するアルキ
テクトン首都圏版という建築系学生向けの
雑誌の取材を受けました。


まず、山本研・田村研の学生(博士課程、
修士課程、学部4年生)に山本先生と私の
合計40名近くの人数で、明大生田キャン
パスの図書館近くの芝生の広場で写真を
撮ったのですが、その人数の多さに改めて
驚きました。


2011年に最初に明治大学に客員として
赴任した時には、田村研究室としては
修士2年生が3名、修士1年生が1名と
いう少人数でスタートしたのが、遠い昔の
ようです。


その後、2013年に特任になってからは
学部の4年生のゼミも持つことになり、
次第に人数も増えてきたのですが、やはり
研究室を持ち、学生の指導を直接行うのは
手間暇はかかるけど、とてもやり甲斐の
ある仕事です。


特に、学部の4年生から受け入れた学生が
修士課程を修了するまでの成長過程を、
直に見られるのは、非常勤講師の時代には
できなかったことです。


明治大学の特任の任期も、あと1年弱とな
り、若干の寂しさはありますが、研究室の
学生たちが、この1年でどこまで成長する
のか、とても楽しみでもあります。
こんにちは
ご無沙汰をしております。
田村誠邦です。


昨夜からの春の嵐もようやくおさまり、
晴れ間がのぞいてきました。


昨日まで京都に出張に行っていたのです
が、今年は桜の時期が例年より1週間程
遅く、京都市内ではまだまだ見ごろの桜も
そこかしこにありました。


仁和寺の御室桜もちょうど見ごろで、一面
に咲く花の向こうに五重塔が望まれる景色
を見ていると、時間が止まってしまったか
のような豊かな気持ちになれました。


御室桜は、背の低い遅咲きの八重桜で、
実際に訪れて気が付いたのは、甘い匂いを
漂わせていることです。


春に来て 御室を出るや 宵月夜


与謝野蕪村の句ですが、御室桜は、江戸
時代から庶民の桜として親しまれており、
俳句などにも多く読まれているようです。


このように、花見は日本人にとって昔から
欠かせない娯楽なのですが、「花見酒」と
いう落語があります。


二人の男が、向島で花見客に酒を売って
ひと儲けしようと、酒を入れた酒樽を運ぶ
途中、片方の者が自分の所持金を、相棒に
払って酒を一杯やります。


カネを渡された相棒が、今度はそのカネを
払ってもう一杯、すると片方の者がまた
そのカネを払ってもう一杯......。


それを繰り返して、向島に着いた頃には
酒樽の酒がなくなり、二人はすっかり
酔っ払い、売上げは所持金だけだったと
いう噺です。


朝日新聞の論説主幹をしていた笠信太郎
が、1962年に「花見酒の経済」という
本を書き、当時の高度成長経済を批判的に
論じて有名になった話ですが、その後の
バブル経済のときにも、この花見酒の経済
が、しばしば引き合いに出されました。


実は、この「花見酒の経済」という話も、
経済学の立場から見ると、立派な経済成長
なのだそうです。


GDPとは最終消費物の販売価格の合計で
あるので、一儲けしようと思った二人の
男が酒を買って飲もうと、花見客が酒を
買って飲もうと、GDP計算上は同様に、
経済成長に貢献しているということです。


この話を聞くと、GDPを尺度にして、
経済成長を目標にすることが、本当に
正しいことなのか、正直言ってわからなく
なります。


さて、4月6日の日経新聞によると、
2012年12月に始まった「アベノミクス
景気」が、1990年前後のバブル経済期を
抜いて戦後3番目の長さになったとのこと
です。


ただ、日経新聞も、「過去の回復局面と
比べると内外需の伸びは弱い。雇用環境は
良くても賃金の伸びは限られ、「低温」の
回復は実感が乏しい。」と伝えるように、
景気回復の実感はほとんどないのではない
でしょうか?


経済学の立場から見ると、アベノミクス
景気は、立派な経済回復期なのでしょう
が、その実態はまさに、花見酒の経済なの
ではないでしょうか?


国債発行額を増額して、小泉政権時代に
3割減らした公共投資を1割増やし、日銀
の異次元緩和で国債の長期金利をマイナス
にまで押し下げ、株式や国債を日銀や年金
基金が買い上げて、ようやく達成している
経済成長は、花見酒の姿に重なります。


日銀の異次元緩和の出口をどうするのか、
増え続ける国債の償還はどうするのか、
次世代につけを残さないために、今一度、
立ち止まって見直すべき時期にあるのでは
ないでしょうか?

海外子連れ旅行の手帖 第3回 石原秀一

◇かみさんや子供たちはキッチンで大はしゃぎ

アパートメントホテルに着いたのは朝の9時ちょっと前だった。この辺りは、セーヌ河右岸のエッフェル塔近くでパリの都市再開発地区である。L・コルビュジェの「輝ける都市」を実現したように、人工地盤の上にいくつもの高層建築が建っていた。ステンレスピカピカのすごくモダンな建築である。ドアマンがいるわけではない。大荷物をもって家族でドアを開け中に入ると、フロントには黒人の男性がいた。ちょっと怖い。
いきなり「ボンジュール!」ときた。こちらも「ボンジュール」と返す。意を決して、「私たちは日本からきた。日本から予約をいれていて、チェックインをしたい」と伝えた。フランス語はできないので、カタコトの英語である。これ以降、パリでよちよち歩きの英語で通すのだからそうとうに無謀である。
何とかこちらの意は通じたようだ。しかし、チェックインは12時以降であるといわれた。「サバ、ムッシュ!」ときどきフランス語になる。
さて、どうするか?
こういう時、お母さんは強い。「時間までフロントに荷物を預かってもらって、この辺りをみんなで散策しましょうよ!そう、フロントに交渉してね。」この後、冷や汗をかきながらカタコト英語で伝え、荷物を預け、パスポートや財布などをもった軽装でパリの街に飛び出して行った。
初めて見るエッフェル塔のなんと美しいこと。日本の東京タワーとは優美さがけた違いであった。この時、私は30歳。初めての海外である。かみさんは一緒になるまえに機織り研修でヨーロッパを回っている。パリは2度目、この差は大きい。
エッフェル塔近くの二時間の散策をした。フロントでチェックインの手続きをすませ、キーと荷物を受け取り12階の部屋に向かった。エレベータを降りると廊下にいくつかドアが並んでいる。廊下は暗く、歩くと人を感知してライトがついた。部屋の入口ドアにはドアノブがない。鍵穴だけのスタイル。現在ではこのタイプを日本でもよく見かけるが、1981年当時、日本のホテルの部屋に鍵穴だけのドアはほとんどなかった。予約したのは2ベッドのキッチン付きタイプ。キーを開け、部屋に入る。
「オォオォ・・・」である。かみさんや子供たちも「まあー、広くてきれい!」と歓声が上がる。まっ白なリビングダイニングキッチンは広く、清潔感があってモダンである。
日本では新宿から私鉄で20分ほどの二戸一の2階建て借家に住んでいた。一階が玄関、6畳、6畳のDKそして風呂とトイレ、2階が8畳である。設備は一般的な借家のそれで新しくはなかった。
旅装を解くまえに一通りみなでうろうろとと見回り点検である。
LDKは14畳ほどもあろうか。まっ白なシステムキッチン、食事用の丸テーブルに椅子4脚、くつろぎ用の長ソファに椅子2脚とローテーブル、大きな冷蔵庫。キッチンユニットは2700mmほどもあり、3口の電気式コンロ+オーブン付き。調理器具や食器はひととおりそろっている。このモダンで広いLDKとキッチンセットに母と娘二人はウキウキ大はしゃぎである。
ベッドルームは8畳ほどにクローゼットが付いている。ベッドはセミダブルにちかく、親子4人でじゅうぶん休める。風呂場は、バスタブ、洗面台、便器、そしてビデがついた広々としたワンルーム形式。下の娘はおむつつが取れていないのでワンルームは何かと便利。
うーん、日本の借家とはだいぶ違うな!
電気コンロでさっそく湯を沸かす。こちらの電気コンロは電圧が200V。あっというまに沸騰しはじめたのには驚いた。もってきたティーパックで紅茶を飲みながら、まずはホッ!である。
これから1週間、パリの住まい探しがこのアパートメントホテルから始まる。高層階からのパリの風情を眺めているとドッと疲れがでてきた。娘たちの寝息が聞こえる。

こんにちは
ご無沙汰をしております。
田村誠邦です。




さて、昨年の11月8日以降、全世界は、
ドナルド・トランプ氏が第54代アメリカ
合衆国大統領に就任したことにより、大激
震に見舞われています。


1月26日には20,125円と史上最高値まで
上昇したニューヨーク・ダウ平均株価です
が、トランプ大統領の入国制限などの一連
の大統領令に、世界中から非難の声が集ま
る中で、いつまでこの株価の活況が続くの
か、不安は募ります。


この話題については、また改めて取り上げ
たいと思いますが、今日は、わが国の住宅
市場の動向について取り上げることにした
いと思います。


国土交通省が1月31日に発表した2016
年の新設住宅着工戸数は967,237戸で、
前年比6.4%増となり、リーマンショック
後の2009年以降では消費税増税前の駆け
込み需要があった2013年に次いで2番目
の高水準だったとのことです。


内訳を見ると、持ち家が292,287戸で、
前年比3.1%増、貸家は418,543戸で、前
年比10.5%増、分譲住宅は250,532戸で
前年比3.9%増(ただし、マンションは
114,570戸で前年比0.9%減)となってい
ます。


圏域別に総戸数の前年比を見ると、首都圏
は5.8%増、中部圏は5.0%増、近畿圏は
5.6%増、その他の地域は7.6%増と、三
大都市圏以外の地域の伸びが大きいのが
特徴となっています。


この結果を見て、住宅業界としては、
今年こそは再び100万戸の大台へと意気
込んでいるのだと思います。


しかし、客観的にみると、空き家総数が
820万戸、空き家率が全国平均で13.5%
(平成25年住宅・土地統計調査)にも
達し、空き家問題が話題になっている中
で、はたして100万戸近い新設住宅着工
数を喜んでいいのか、はなはだ疑問です。


とりわけ、問題となるのは貸家の新設住宅
着工数の増加です。


平成25年住宅・土地統計調査での賃貸住
宅の空き家総数は429万戸、その空き家
率は18.9%にも達しており、賃貸住宅の
5.3戸に1戸は空き家だというわけです。


そうした中で、昨年1年間の貸家新設着
工数が前年比10.5%増の42万戸近くにも
達したのですから、これは需給バランスに
基づく数字とは到底思えません。


それでは、その原因は何なのでしょうか?


その最大の原因は行き過ぎた相続税対策に
あり、それを助長したのが、黒田日銀の
異次元の金融緩和・マイナス金利政策だと
考えられます。


皆さんもご存知のように、更地に賃貸住宅
を建てると、土地は貸家建付地として、
建物は貸家として評価され、これが、貸家
建設が相続対策として用いられる理由と
なっています。


この仕組み自体は、昔からあるのですが、
平成27年1月1日以降の相続について、
相続税の基礎控除が従来の6割減に引き
下げられたことにより、この古典的な相続
対策が、いま、全国的に展開されているの
です。


実際、平成27年の相続税の課税割合(全
死亡者数に占める課税された被相続人の割
合)は、平成26年分の4.4%から8.0%へ
と大幅に増加しており、こうした相続税へ
の対策として、全国的に貸家建設が行われ
ているのです。


しかし、昨年の貸家新設着工数を見ると、
大都市圏よりも地方圏のほうの伸びが大き
く、しかも、床面積が30平米以下のワン
ルームタイプの貸家の伸びが大きいので
す。


人口減少時代、少子高齢化時代に、しかも
現状でも20%近い空き家を抱えている中
で、地方圏に、若年層向けの賃貸住宅を
大量に供給し続けたらどうなるか、誰が
考えても、答えは明らかなのではないで
しょうか?


そう遠くない将来に、地方圏での貸家の
空き家率が急増し、貸家経営をしている
地主層の経営が行き詰まり、経営破綻と
新たな不良債権問題が発生する可能性は
きわめて高いのです。


しかし、日銀のマイナス金利政策により
資金の運用先に困っている地方の金融機関
は、この新たな破綻予備軍の貸家建設にも
融資をするところまで、追い詰められて
いるのです。


賃貸住宅最大手のD建託の2016年4月
~12月の連結決算は、売上高は前年同期
比5.3%増の1兆1054億円、経常利益は
前年同期比20.1%増の1093億円とのこと
ですが、この影に、どれだけ多くの悲劇が
これから生まれるのか恐ろしい限りです。


住宅業界全体としても、そろそろ、目先の
売上や利益だけでなく、社会の安定的で
持続的な発展に寄与するために何ができる
か、何をすべきなのか、真剣に考えるべき
時期なのではないでしょうか?


しかし、さらに問題とすべきなのは、こう
した予想できる悲劇を助長している現行の
住宅政策や税制のあり方なのではないで
しょうか?


新規の貸家供給への相続税評価の軽減措置
の廃止や、地域ごとの住宅総量規制など、
空き家率30%に向かう死の行進を止める
抜本的な政策を、早急に検討すべき段階に
あると思います。


これは、年金問題と同様、将来の世代に
負債を残さないための大人世代の義務なの
ではないでしょうか?


最後まで、お読みいただき、
ありがとうございました。


田村誠邦
海外子連れ旅行の手帖
石原秀一


◇エッフェル塔近くのアパートメントホテルに落ちつく

パリ・オルリー空港に現地時間7時15分到着。現在、国際便はシャルル・ドゴール空港に着くが、当時、ソウルからの便はオルリー空港に着いていた。成田空港を飛び立ってソウル、アンカレッジを経た21時間の空の旅である。
韓国の修道女と連れの子供たちに、手を振り目くばせで別れをつげた。
背負子に下の娘をのせ、カメラバッグを肩に掛け大きなスーツケースと釣竿(一年間、ヨーロッパのさまざまな海、河、湖で釣りをした)をもった私。当時、キャスター付きの便利なスーツケースなどなかった。
大きなリュックサックを背負い上の子の手を引く妻。私たちの一家のいでたちは、まるで家財道具一式をもった難民である。
うっ、けっこう寒い。そりゃそうだ、パリの緯度は北海道より上である。
定期バスでパリ中心のアンバリッドへ向かう。晩秋の沈んだ色の畑地がバスの車窓に飛ぶように映り、重厚な石造りの街並みにはいった。街並みのスカイラインはそろっていて美しいが、1981年ころのパリの建物の壁はとても汚れていてどす黒かった。ユトリロや佐伯雄三の絵を見ているようだ。
「あー、来てしまった・・・」これが、私のいつわらざる気持ちだった。その点、女性や子供たちは強い。これからの異国での暮らしを思い、なんかウキウキしているのがわかる。
アンバリッドのバスターミナルからは、タクシーでホテルに向かう。
タクシーの車種はグリーンのプジョー。かっこいい。運転手さんはM1ジャケット着てカジュアルな服装をしているフランス人。パリのタクシーはほとんどが個人タクシー。車体の上にTAXIのランプがついている以外、車種はバラバラである。個人だから時には犬を助手席に同乗させている車もある。犬種もさまざまだ!
運転手はさっさと荷物をトランクに納めてくれた。パリのタクシーは自動ドアでないので客が自分で開け閉めをして車内にはいる。行く先を片言の英語(フランス語を私はしゃべれない!)で、運転手にいっても通ぜず、ホテル名と住所を書いたメモを彼にわたした。
ちらと眺めて、「ウイ、ワラ!」と言ってメモを返し、車を滑りださせる。
いやー、運転のうまいこと。安全運転というのではなく、車を操っているのがよくわかるドライブ。日本の安全運転のタクシーになれていると乱暴にうつるだろう。パリに多い一方通行の道をすいすいといき、目的のホテルの目の前にピタリと車をつけてくれた。
荷物を降ろしてくれた。タクシー料金に荷物代を加算してフランで払う。「ウイ、メルシー!」といってさっといなくなった。小銭などの両替はオルリー空港で済ませていた。
ホテルはキッチン付きのアパートメントホテル。1週間間単位で利用できる。パリでこれからの住まいを探すために、妻が拠点として日本から予約をいれていた。35年前、日本にはファミリー向けのキッチン付きホテルはなかった。ホテル名はフラット・インターナショナル(今はホテル名が変わっている)セーヌ川右岸でパリ日航ホテル(ここも今は違った名だ!)注 2017年現在 ノボテルパリトゥールエッフェル。の向かい、歩いて10分もかからずにエッフェル塔まで行けるところ。

アパートメントホテルでの暮らしは次回!
海外子連れ旅行の手帖

石原秀一
エピローグ

◇1歳と3歳の娘を連れて、パリに向かう

暗く閑散とした搭乗口ロビーである。
12月初旬韓国ソウルの金浦国際空港、ガラス越しに寒々とした風景がひろがるなか、二人の娘たちの声がロビーに響いていた。当時のこの季節、ソウルからパリに向かう人はまばらである。二人の娘を連れた家族連れは私たち家族だけ。1981年初冬のことである。
建築専門雑誌12月号の編集作業を11月中旬に終え、これから1年間のヨーロッパ建築行脚のために退職した。妻は草木染の工房を閉じて、渡欧の準備と家仕舞いにあわただしく動いた。
当時、日本からのパリへの直行便は料金がとても高かった。安い航空券というと乗り継ぎ便で、ソ連のアエロフロートか韓国の大韓航空。アエロフロートは狭く料理がまずいという話があり、大韓航空にした。大韓航空は軍用機のパイロットが兼務しており、とても腕がよいという街のうわさもあった。それでもエコノミークラス大人3人分とられた。一人分が30万円ぐらいだったから航空運賃に月給3か月分かかったことになる。
成田からの便にくらべ、機内はガラガラだった。
と、そこに修道女二人が1歳から5歳ぐらいの幼子や子供を10人ほど連れた一団がやってきた。機内の最後部にかれらは静々と歩をすすめ、席についた。子供が10人いるのに、はしゃぐでもなく、むずかるでもなくとても静かだ。スチュワーデス(当時はこう呼んでいた)さんに一団について聞くと、キリスト教修道院の関係でドイツに里子に行く子供たちだという。当時の韓国は経済がまだまだの状態。こうした子供たちがヨーロッパやアメリカに数多く旅立っていた。韓国の子供たちと長い飛行の旅がはじまった。
いま東京とパリの飛行時間は12時間ほどである。当時はアラスカのアンカレッジ経由で17時間ぐらいかかり、成田からソウルまでの飛行時間と待ち時間を入れると20時間以上かっていた。長旅である。
うちの娘は、成田から金浦までの飛行で空の旅がどういうものかすこしは理解したようだ。上の娘は平気だったが、下の娘は気圧の変動に気分を悪くしていた。




ドタバタ、不安、喜び、出会いと別れなどなど悲喜こもごもの1年間でした。まあ、こんな子連れ旅の話を何回かいたしますのでお付き合いください。
その後に、最新の情報を織り込んだ子連れ海外旅行のポイントを、旅の準備から渡航中、そして帰国後のことまでわかりやすく詳述いたします。後ご期待ください。
こんにちは
田村誠邦です。


11月半ばだというのに、ここ2、3日は
冬の到来かと思わせるような寒い日が
続いています。


さて、皆さんもすでにご存じの通り、11月
8日に行われた米国大統領選挙で、大方の
予想を裏切り、共和党のドナルド・トラン
プ氏が民主党のヒラリークリントン氏に
勝利し、来年1月から、次期米国大統領に
就任することになりました。


9日の東京株式市場では、トランプ氏の優
勢が伝えられるとともに、日経平均株価は
急落し、一時は1000円以上の下落幅を示
し、終値も前日比919円安の16,251円と、
イギリスのEU離脱時の暴落に次ぐ、今年
2番目の下げ幅を記録しました。


これは、トランプ氏の選挙期間中の過激な
発言から、トランプ大統領の下で、米国が
どの方向に向かい、日米関係がどうなるの
かわからないという不安感からくる市場の
反応だったと思われます。


実際、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏
は、米国の同盟国は「駐留米軍のすべての
経費を支払うべきだ」と繰り返し発言し、
在日米軍撤退の可能性にも言及し、TPPに
反対するなど、これまでの日米関係が根本
から揺るぐ可能性があるからです。


この東京市場の暴落がそのまま欧米市場に
波及するかと思われていたのですが、実際
には、欧州市場は前日比やや高値で推移し、
ニューヨークダウ平均株価も47ドル高で
寄り付き、終値は18,589ドルと、この8月
に付けた最高値に迫る値上がりでした。


その流れを受けて、昨日10日の東京株式
市場の日経平均株価も、終値で17,344円
と、前日比1.092円の今年最大の値上がり
を記録しました


11月6日に、ヒラリー・クリントン氏の
私用メール問題をめぐり、米連邦捜査局
(FBI)が訴追を求めない方針を伝えた
ことを好感してニューヨーク市場が値上が
りしたのですが、今回は、ヒラリーが負け
たことで値上がりしたわけです。


どうしてこのような矛盾が起きるのか、
日経新聞の報道では、トランプ政権下での
金融規制の緩和期待やインフラ投資の拡大
期待で関連銘柄が値上がりした他、トラン
プ氏の勝利宣言時の振る舞いが上品だった
のが好感されたと伝えています。


しかし、この程度の材料では、東京市場が
1000円近く暴落した直後に、ニューヨーク
市場が史上最高値に迫る上昇を記録し、翌
日の東京市場が今年最大の値上がりを記録
するといった不可思議な現象は説明できな
いと思われます。


やはり、この裏には、通常のマーケットの
力を超えた、もっと大きな力が加わったも
のと見るのが自然でしょう。


具体的には、日銀、欧州中央銀行、米国の
FRBなど世界各国の中央銀行が、世界経済
の混乱を防ぐために、世界各国の株価を
買い支えしたものと思われます。


しかし一方では、同じ9日のニューヨーク
債券市場は、巨額の減税や財政支出を公約
に掲げていたトランプ氏の勝利により財政
収支が悪化するとの思惑が浮上し、指標と
なる10年物国債利回りが2.072%まで
上昇(債券価格は値下がり)しました。


つまり、前日1.862%だった米国債利回り
が9日には2.072%まで上昇したわけです
が、これは変化率にすると、11.28%の金利
上昇(債券価格の下落)を意味します。


いま、世界経済での最大のリスクは、世界
各国の中央銀行による金融緩和政策の結果
としての債券バブルが弾け、債券価格が
暴落し。金利が暴騰することです。


前回のメルマガでもお伝えしたように。
日本だけでも、日銀の国債保有高は336兆
円にものぼり、国債の金利が1%上昇した
だけでも、国債の価格で、67兆円の損が
発生します。


世界全体でみると、世界各国の中央銀行の
総資産額は24兆ドルにも膨らんでおり、
各国の債券市場の残高の約半分を中央銀行
が保有し、米国だけでも1%の国債金利の
上昇で1兆1000億ドルの損失が発生する
と言われています。


つまり、米国の国債市場では、11月9日の
1日で、0.21%の国債金利の上昇が生じた
ことから、約20兆円余りの潜在的な米国
債の含み損が発生しているはずなのです。


しかし、この債券市場においては、すでに
各国中央銀行のシェアが高すぎるので、
株式市場とは異なり、金利上昇に伴う債券
価格の下落を止めるために国債等の債券を
買い支える余地はほとんど残されていない
はずなのです。


こうした状況の中で、ニューヨーク株式
市場が、市場最高値まであと50ドル弱に
迫るほどの値上がりを見せたことは、いか
に現在の株式市場が、異常ともいえる各国
中央銀行の買い支えにより歪められている
かということを示していると思われます。


市場の歪みは、各国の中央銀行がいかに
買い支えようとも、いずれは暴落という形
で清算されるのが、歴史が教えてきた教訓
であり、とくに、現在の世界的な債券バブ
ルは、もはや誰にも止めようもないほどに
膨れ上がっているように思えます。


ドナルド・トランプ氏の米国大統領選勝利
は、今後の様々な政治的摩擦の原因となる
だけでなく、世界的な債券バブルの崩壊の
引き金を引いたのではないかと危惧される
のです。


こうした悲観的な予想がはずれることを
祈りたいのですが、いずれにせよトランプ
大統領就任により、世界経済の混乱要因が
激増していることは確かであり、世界経済
の動向から目を離せない状況が続くものと
思われます。
こんにちは
田村誠邦です。


今日から11月、朝夕の冷え込みが徐々に
厳しくなってきました。


さて、10月4日以来のメルマガとなって
しまいましたが、今日は、久しぶりに経済
問題を取り上げたいと思います。


約2ヶ月前の8月30日に、「官製相場に
未来はあるのか?」という題のメルマガを
書いたのですが、その後も幸いなことに、
日本経済にも世界経済にも大きな事件は
発生せず、一見順調に推移しているように
見えます。


たとえば、日経平均株価の8月末の終値は
16,885円でしたが、10月末の終値は、
17,425円と、540円、率にして3.2%高く
なっています。


中国も一時の景気低迷が嘘のように、「中国
銀行業界の新規融資額は9月の前月比で
30%増を記録」とか、「中国新築住宅の売上
総額は9月前年同月比で61%増を記録」
といった記事が報道されています。


それでは、日本経済や世界経済はこのまま、
順調に回復していくのでしょうか?


残念ながら、そうした楽観的なシナリオの
信ぴょう性は、あまり高くないように思え
ます。


その査証を一つ挙げると、黒田日銀の異次
元の金融緩和政策によって、2016年第2四
半期の国債残高987.4兆円のうち、日銀の
保有高は336兆円にも上り、その比率は、
3分の1を超えています。


日銀の政策により、現在の国債の金利は、
△0.050%とマイナスになっていますが、
もし、この国債の金利が1%上がると、
日本の国債保有者に67兆円の損が出ると
いう試算があります。


これはすなわち、金利上昇1%で、日本の
GDPの13%に相当する損失が発生する
ということです。


言い換えれば、現在の日本の債券市場は、
日銀の低金利政策によって、いわばバブル
の状態にあり、問題は、この史上空前の
債券バブルが、いつ弾けるのかということ
です。


世界的に見ても、欧州中央銀行や日銀の
マイナス金利政策の浸透により、国債や
社債等の債券価格は、債券バブルといって
いいほど軒並み高くなっています。


その一方で、低金利やマイナス金利により
世界各国の銀行の収益率は急減しており、
昨年半ば以降、ドイツ銀行などの株価が
大幅に下落し、いくつかの銀行では、
経営不安が伝えられています。


日本国内でも、地方銀行や信用金庫などの
力の弱い金融機関は、資金の運用先がなく、
リスクの高い低格付けの社債などに手を
出すなど、金利が少しでも上がると大幅な
損失を抱える可能性が高まっています。


昨日の日経新聞の朝刊の一面に、全国の
信用金庫を束ねる信金中央金庫傘下の信託
銀行が、三菱UFJ信託銀行に買収される
という記事が載っていました。


この記事の意味するところは、マイナス
金利下で運用環境が悪化する中では、弱小
金融機関は、大手の金融機関の傘下に入っ
たり、大手との連携を強めなければ、生き
残れない状況にあるということです。


その一方で、世界的な低金利をこれ以上
続けられないリスクも高まっているようで
す。


米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、
この12月にも利上げを実施する可能性が
高く、これは世界的な低金利政策の終焉と
ドル高の始まりをもたらす可能性が、相当
あると思われます。


今日の日経新聞には、アジアや中東などの
新興国の企業の債務が、ここ7年あまりで
7倍近い25兆ドル(2600兆円)にも膨張
しているという記事が載っていました。


新興国企業の借り入れの大半はドル建てで
あるので、この記事の通りであれとすれば、
莫大な債務を抱えた新興国企業は、借入金
利の上昇と、ドル高のダブルパンチを受け
ることになり、破たんを免れない企業も
多いものと思われます。


また、世界の金融商品の指標になるといわ
れるLiborは、世界的な低金利政策にも
かかわらず、年初から徐々に値上がりし、
特にこの7月から急騰しており、マーケッ
トが金利上昇リスクを徐々に意識し始めて
いることを表しています。


先のことはわかりませんが、この秋のうち
にも、原油の暴落や金融機関の破たんなど
の事件をきっかけに、世界的な債権バブル
がはじけ、世界的な金利上昇とドル高が
始まり、世界経済が再び混乱する可能性も
否定できないものと思われます。


最後まで、お読みいただき、
ありがとうございました。


田村 誠邦
こんにちは
田村誠邦です。


大型の台風10号の接近が心配でしたが、
今朝は8月にしてはしのぎやすい気温で
ときおり雲の切れ間から青空ものぞいて
います。


さて、昨日の日経新聞一面の記事に、東証
第1部企業の4社に1社で、公的マネーが
筆頭株主になっているという記事がありま
した。


公的マネーとは、公的年金を運用する年金
積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と
日銀のことで、両社の株式保有額は、今年
の3月末で約39兆円と、5年前に比べて
約25兆円増加しているとのことです。


これは、運用総額約135兆円と世界最大
規模の年金基金であるGPIFが2014年に
日本株の保有比率の目安を12%から25%
へ大幅に引き上げ、日銀が金融緩和策の
一環として上場投資信託(ETF)の買い
入れを積極的に進めた結果と考えられます。


その結果5年前に比べ、日経平均株価は
7割上昇し5年間というスパンをとれば、
アベノミクスの成果といわれる株価の押し
上げ効果が十分にあったことが伺えます。


日銀は、この7月29日に、これまで3.3兆
円であった年間ETF購入額を6兆円に拡
大する方針を打ち出しており、これは日経
平均株価を年間で約2000円(現在の日経
平均16,700円の約12%)押し上げる効果
があるといわれています。


株式投資家にとっては、まさに、公的資金
サマサマというところでしょうが、本来は、
景気動向や個々の企業の業績で決まるはず
の株価が、こうした公的資金で決まってい
く官製相場は、はたして健全で持続可能な
ものなのでしょうか?


特に、最近では、こうした公的資金の大幅
な買い上げにもかかわらず、世界経済の
先行き不透明感などから株式市場が低迷し、
平成27年度のGPIFの資産全体の収益は
マイナス5兆3,098億円、率にして3.81%の
マイナスになっています。


これを運用資産別にみると、国内債券は
+3.92%、国内株式は-10.80%、外国債券
は-3.32%、外国株式は-9.63%、短期資
産が+0.05%と、国内株式と外国株式の
大幅なマイナスが目立ちます。


平成27年度のGPIFの事業概況書を読む
と、2001年度の市場運用開始以降の平均
年間収益率は+2.7%で、年金財政における
長期的な実質運用利回りの目標値1.7%を
確保しており、27年度の運用実績もベンチ
マークとほぼ等しいとしています。


しかし「年金事業の運営の安定に資するよ
う、もっぱら被保険者の利益のため、長期
的な観点から、年金財政上必要な利回りを
最低限のリスクで確保することを目標とす
る」というGPIFの投資原則に照らして、
現在の運用は正しい方法なのでしょうか?


2013年以降のアベノミクスは、異次元の
金融緩和と公的資金の導入により、円安と
企業収益の増大、それに伴う株価の上昇と
実質賃金の上昇、デフレからの脱却と経済
成長を目指したものと思われますが、もは
や、その破綻は明らかなように思えます。


2015年夏には1ドル123円台にまで進んだ
円安も、現在は1ドル102円台と2013年12月
のレベルの円高にまで、戻っています。


最新の四半期別法人企業統計調査をみると
平成28年1~3月期の対前年同期比の
売上高は▲3.3%、経常利益は▲9.3%と、
マイナスになっており、企業収益にも
明らかな翳りが見えます。


実質賃金については、名目賃金指数を消費
者物価指数で割って算出する実質賃金指数
は、民主党政権下であった平成22年を100
とすると、民主党政権末期の平成24年が
99.2、平成25年が98.3、平成26年が95.5、
平成27年が94.6と低下し続けています。


デフレからの脱却も、黒田日銀は+2%の
インフレ率を金融政策の目標値としていま
すが、消費者物価指数は、今年4月以降
7月まで4か月連続して対前年比でマイ
ナスを記録しており、異次元の金融緩和が
機能しなくなっているのは明らかです。


経済成長については、日本の実質GDP
成長率は、民主党政権下の2012年が
+0.9%だったのに対し、安倍内閣登場降の
2013年は+2.0%、2014年▲0.9%、2015
年+0.8%という具合で、アベノミクスの
明確な政策成果は読み取れません。


唯一、株価だけは、安倍内閣発足直後の
2013年の始値10,688円が、昨日の終値
16,737円と、3年半余りで56%の値上がり
を記録していますが、これは経済成長に
よるものではなく、前述の公的資金による
日本株買い上げによることは明らかです。


その株価にしても、昨年8月の日経平均
終値18,890円に対し、昨日の終値16,737
円は、12%の値下がりとなっているのです。


問題なのは、こうした経済指標が、アベノ
ミクス開始からほとんど好転していないと
いうことではなく、これが、日銀による
326兆円にも上る国債の買い入れや、39兆
円にも上る公的資金による日本株買い入れ
の結果だということです。


日銀の国債買い入れいや公的資金による
日本株購入は、政府による市場の買い支え
という通常の経済政策のメニューにはない
非常時の特殊な金融緩和政策です。


こうした政策は、米国のQE1~QE3と
いわれる金融緩和政策から始まり、欧州や
日本も追随したのですが、米国ではすでに
利上げという形でその出口を模索しており、
その一方で、日銀の黒田総裁は、マイナス
金利の深化という形で拡大を模索中です。


いずれにせよ、市場を政府が支えるという
この異常な政策は、永遠に続けることは
できないもので、必ず出口を考える必要が
あるはずです。


その出口において、金融市場から公的資金
を引き上げる必要がある以上、金融市場で
の混乱(株価や国債の値下がりや暴落)は
避けられず、それによって棄損されるのは
私たち国民の年金等の財産であり、国債と
いう国の信用だと思います。


私たちの貴重な財産である年金基金や日銀
の資産を、無謀な賭けに投じるアベノミク
スや黒田日銀の異次元の金融緩和は、もう
見直すべきだと思いますが、皆さんはどう
思われますか?


田村 誠邦


こんにちは
田村誠邦です。


今日も相変わらず、すごい暑さですね。


さて、先週の8月4日金曜日に10日ぶり
に、無事、イタリアから帰ってきました。


旅の途中、持参していたパソコンを床に
落としてしまい、旅先からのARC通信を
配信できなくなってしまいましたが、
イタリア紀行の続きを書きます。


さて、前回は7月28日に、ドロミテ観光
の東の玄関口であるコルティナ・ダンペッ
ツォに宿泊したところまで書きましたので
今日は、その続きです。


7月29日は、コルティナ・ダンペッツォ
からドロミテ街道を西に進み、ドロミテ
観光の西の拠点であるボルツァーノを経て
オーストリアのインスブルックを目指しま
した。


この日は、朝から素晴らしい青空が広がり、
前日は雲に隠れてよく見えなかったドロミ
テの山々が、コルティナ・ダンペッツォの
町からよく見え、この町の素晴らしさを、
あらためて認識しました。


コルティナ・ダンペッツォからドロミテ街
道を西に向かい、最初に超えた大きな峠が
海抜2105mのFalzarego峠でした。


車窓からの景色は、カラマツなどの針葉樹
が、森林限界に近づくにつれて樹高が低く
なり、標高が2000mに近づくと明るい草原
が現れ、周囲の山々の姿が一層鮮やかに
なりました。


Falzarego峠では、ちょうど、高山植物が
一斉に咲き誇っており、アルプス三大名花
の一つと言われるアルペンローゼの濃い
ピンクの花が見事でした。


Falzarego峠を下って、いくつかの村を
抜けて、道は再び、Pordoi峠への大きな
上りになりました。


標高2239mのPordoi峠は、ちょうど、
ドロミテ山塊の中心部に位置し、ここから
標高3151mのセッラ山群の南端の標高
2700m地点まで、ロープーウェイで一気に
上ることができます。


ロープーウェイの終点からの景色は、まさ
に絶景で、北側のセッラ山群をはじめ、
東にコルティナ・ダンペッツォにほど近い
トファーネ山、南に標高3342mのマルモラ
ーダ山、西に遠くアルプスの山々などが
まるでパノラマのように一望できました。


Pordoi峠から次に向かったのは、カレッツ
ァ湖という小さな湖でした。


標高2749mのラテマール山の麓にある
カレッツァ湖は、20分ほどで一周できる
くらいの小さな湖ですが、その青緑色の
湖面に、まるでミラノの大聖堂のように
切り立ったラテマール山の姿を映した景色
は、まさに絶景でした。


このカレッツァ湖で簡単な昼食をとり、
再びバスに乗って、40分ほど下って、ドロ
ミテ観光の西の拠点であるボルツァーノに
着きました、


ボルツァーノは、ドロミテ山塊の西麓に
あり、北へ80?行けばオーストリア、
さらに北上するとすぐにドイツに入れる
イタリア最北端の町の一つです。


ローマ時代からの歴史を誇る都市で、紀元
前15年、ネロ・クラウディウス・ドルース
ス率いるローマ人がこの地を征服したのち、
居住地を建設したといわれています。


旧市街は城壁で囲まれ、ローマ時代の凱旋
門も残る歴史を感じさせる町で、商店や
レストランなども多く、コルティナ・ダン
ペッツォに比べると静けさはありませんが、
観光橋脚があふれ、賑やかで活気のある町
でした。


この町は、盆地状の地形のため、3000m級
の山々に囲まれながら、夏の気温は、イタ
リアでも、最も高い町の一つだそうで、
この日も日差しが強く、大変な暑さでした。


ボルツァーノの旧市街を見学した後、再び
バスで、この日の宿泊地であるインスブル
ックに向かいました。


途中でイタリア・オーストリアの国境を
超えましたが、同じEU内であるので、
国境の審査などは全くなく、車窓の風景も
ほとんど変わらず、国境を超えたという
感慨はありませんでした。


インスブルックに着いたのは、もう午後の
6時過ぎでしたが、サマータイムのため、
まだまだ明るく、市内観光のあと中心部の
マリア・テレジア通りに面したレストラン
で夕食をとりました。


インスブルックは、オーストリア西部の
チロル州の州都で、風光明媚なチロル観光
の拠点として、また、ウインタースポーツ
のメッカとして世界的に知られた都市です。


1964年と1976年の2回の冬季オリンピッ
クの開催地であり、市の中心部にほど近い
スキージャンプ会場のベルクイーゼルの
ジャンプ台は、いまでも市のシンボルに
なっています。


旧市街には、土産物や衣料品、食料品など
の店舗やレストランが建ち並び、ヨーロッ
パ各地から集まった観光客で大変賑わって
いました。


この旧市街にある広場に面した建物に、
黄金の小屋根と呼ばれるインスブルックの
シンボルがあります。


建物の一部を騎士たちの馬上試合や観劇の
ためのロイヤルボックスに改装したもので、
バルコニーの屋根に2657枚の金箔が貼ら
れていることからこの名がついたそうです。


この黄金の小屋根の正面から、マリア・テ
レジアの息子である皇帝レオポルト2世の
婚礼記念として造られた凱旋門のある広場
まで北から南に続くのが、インスブルック
のメインストリートであるマリア・テレジ
ア通りです。


マリア・テレジア通りから北方を振り返る
と、旧市街の向こうにアルプスの山並みが
映え、インスブルックを代表する見事な
眺めでした。


この続きは次回に。


最後まで、お読みいただき、
ありがとうございました。




■編集後記

インスブルックは、ドイツからイタリアに
至る交易上の中継都市として古くから栄え
てきた町です。


アールベルク峠を北に越えるとドイツ、
ブレンナー峠を南に越えるとイタリアで、
近隣の都市としては、約95キロ北にドイ
ツのミュンヘン、85キロ南にイタリアの
ボルツァーノが位置しています。


海に囲まれた日本に育った私たちには
実感がわきにくいのですが、週末ごとに
国境を超えて、ドイツやオランダなど
ヨーロッパ各地から観光客が訪れるよう
です。


こうした夏の観光シーズン真っただ中の
インスブルックのマリア・テレジア通り
沿いのレストランで、実に意外な体験を
しました。


というのは、時間に緩いイタリアから、何
事にも、きっちりとしているはずのドイツ
語圏のオーストリアに来たのですが、その
レストラン自慢のビールが、注文後30分
間も出てこずに、食事の中ごろまで乾杯が
できなかったのです。


よく見ると、ビールを注いでいるのは、
アルバイトかと思われる10代の若者で、
広いフロアにいる店員も数人しか見当たり
ません。


ヨーロッパのサマーバケーションシーズン
は日本より長く、6月後半から9月前半
までとのことですが、このインスブルック
のレストランでは、従業員がみんな、サマ
ーバケーションに入っているのではないか
と思われました。


日本では考えられないことですが、これも
海外では当たり前のことなのかもしれませ
ん。
こんにちは
田村誠邦です。


昨日に続き、イタリア紀行のレポートです。


27日は、チンクエ・テッレで、青い海と
色とりどりの家並みからなる地中海側の
景色を楽しみましたが、28日は一転して
パルマから北東に約500?、イタリア北東
部の3000m級の山々が連なるドロミテに
向かいました。


朝、パルマを出たときには雲一つない好天
でしたが、途中、ロミオとジュリエットで
有名なヴェローナ辺りから小雨が降り出し、
ベネチアの手前のパドヴァ付近では本格的
な降りとなってきました。


ドロミテ山塊の3000m級の山々と湖の
景色がこの日のハイライトでしたので、
天気が心配でしたが、ベネチア付近から
北に向かう頃から雨もやみ、14時近くに
宿泊地のコルティナ・ダンペッツォに着き
昼食をとりました。


コルティナ・ダンペッツォは、ドロミテ
山塊の東の入り口で、イタリアの北東部の
オーストリア国境に近い小さな町ですが、
1956年冬季オリンピックのメイン会場に
なった町だそうです。


この大会は、オーストリアのトニー・ザイ
ラーが史上初めて、アルペンスキーの三冠
に輝いた大会として有名ですが、日本の
猪谷千春が、回転競技で、アジア人として
初めての冬季オリンピックのメダリストに
なった大会でもあります。


コルティナ・ダンペッツォには、今でも
スキージャンプ競技に使われたジャンプ台
などが残っていますが、こんな小さな町で、
よく、オリンピックが開けたものだと思い
ます。


ただ、当時の参加国は32か国、参加人数は
わずか820人というこじんまりとした大会
だったようで、現在の巨大化したオリン
ピック大会とは隔世の感がします。


東のクリスタッロ山や西のトファーネ山な
ど3000m級の山々に囲まれたコルティナ・
ダンペッツォは、聖フィリポ・聖ヤコブ
教会を中心に、町の中心部が歩行者天国に
なっており、通りに面する建物のファサー
ドが花台で飾られた美しい街です。


こうしたヒューマンスケールの都市で開か
れるオリンピックの方が、巨大な施設と
テロ対策の警戒警備の中で開かれる最近の
オリンピックよりも、はるかに望ましい
ような気がします。


昼食の後、再びバスで、コルティナ・ダン
ペッツォの北側にある2つの湖、ミズリー
ナ湖と、ドッピアーコ湖に向かいました


ミズリーナ湖はコルティナ・ダンペッツォ
冬季オリンピック大会で、スケート会場に
使われた湖で、天然の湖がスケート会場に
使われたのは、この大会だけだそうです。


あいにく、小雨がぱらつく天気だったので、
湖に面した山々の山頂付近は雲に隠れて
いましたが、静かな湖面に映る山々と、
チロル風の建物の景色は、十分に美しい
ものでした。


次に訪れたドッピアーコ湖は、ミズリーナ
湖よりも青緑色の湖面が印象的でしたが、
これは、周辺の山々から流れ出る石灰成分
が湖の湖面で、乱反射をしてでる色だと
いうことでした。


ドッピアーコ湖を訪れたころから、青空が
広がり、周囲の山々が夕日で照らされ、
さらに一段と美しい風景を楽しむことが
できました。


翌29日は、ドロミテ山塊を縫うドロミテ
街道を、一路西へボルツァーノに向かい、
さらに、オーストリア側のインスブルック
まで足を延ばす予定です。


その報告は次回のお楽しみに。


最後まで、お読みいただき、
ありがとうございました。


田村 誠邦


編集後記


ドロミテ山塊は、スイスアルプスやオース
トリアのチロル地方などに比べると、日本
での知名度はあまりなく、私も今回訪れる
までは、正直言って、ほとんど知らない
地域でした。


実際に訪れてみると、素晴らしい景色と
気持ちのいい環境で、コルティナ・ダンペ
ッツォは歩いていて楽しい街で、いわゆる
観光地のような忙しさもなく、北イタリア
を訪れる機会があれば、ぜひお薦めの地域
です。
こんにちは
田村誠邦です。





前回は英国のEU離脱問題を取り上げたの
ですが、当初の混乱はあったものの、その
後は、世界経済は落ち着きを取り戻し、
ニューヨーク市場では史上最高値を記録
しています。


このまま、世界経済が順調に回復に向かう
のかどうかは疑問もありますが、それに
ついては、また、別の機会に取り上げると
して、今日は別の話題を取り上げたいと
思います。


というのも、実は私は7月26日から8月
4日までの予定で、プライベートで、イタ
リアに来ています。


26日に成田からアリタリア航空の直行便
でミラノに入ったのですが、早速イタリア
流?の洗礼を受けました。


成田空港からの出発が3時間遅れ、さらに
ミラノ空港での荷物の出が1時間近く遅れ、
夜の8時にホテルに着く予定だったのが、
12時近い到着になってしまいました。


まあ、これも忙しない日本のアカを落とす
洗礼のようなものだと思い、これからしば
らくは、イタリア流のゆったりとした時間
で過ごしたいと思っています。


さて昨日(現地時間27日)はミラノから
バスで、地中海のリグーリア湾に面する
世界遺産チンクエ・テッレに向かいました。


チンクエ・テッレとは5つの村という意味
で、ジェノバの東方のリグーリア湾に面し、
西から、モンテロッソ・アル・マーレ、
ヴェルナッツァ、コルニリア、マナローナ、
リオマジョーレという5つの世界遺産の村
点在しています。


チンクエ・テッレは今でこそ、レヴァント
からラスペツィアまで、チンクエ・テッレ
の村々を結ぶCinque Terre Expres とい
う鉄道や道路が通じていますが、かつては、
海が主たる交通路だったそうです。


交通が不便だったために、リグーリア湾に
面する急傾斜の斜面に、手積みの石垣で
ブドウなどの苗を植えた段々畑と、小さな
入り江の港から急峻な斜面にかけて展開
するカラフルな家々からなる独特の風景を
維持することができたのかもしれません。


昨日は、ミラノからバスで3時間余り走り、
レヴァントからCinque Terre Expresで
二駅目のヴェルナッツァに入りました。


ヴェルナッツァ駅をりると、港に向かって
メインストリートのVia Roma沿いに下っ
ていきましたが、夏休みの観光シーズンだ
けあって、ものすごい人込みでした。


世界遺産に指定されたのが1997年だそう
ですが、不便な立地にもかかわらず、
ヨーロッパ中から、サマーバケーションの
観光客が、地中海の青い海と太陽を求めて
集まってくるようです。


Via Roma沿いの建物は、1階部分は、
ほとんど観光客向けの土産物屋や飲食店に
なっており、世界遺産という雰囲気は、
ほとんどありませんでした。


しかし、下りきった港の前のマルコーニ
広場に出ると、正面に小さな港、右手に町
のシンボルである聖マルゲリータ教会が、
そして振り返ると斜面に沿って広がるヴェ
ルナッツァの町が見え、チンクエ・テッレ
らしい景観が広がっていました。


港の近くのレストランで昼食をとったあと、
11世紀に起源をもつドーリア城と呼ばれ
る城塞まで、曲がりくねった細い路地と
階段を、汗をかきながら登ってみました。


ドーリア城からの眺めは、汗をかいただけ
の価値のある見事なもので、眼下にヴェル
ナッツァの港が一望でき、ドーリア湾の
切り立った海岸線と青い海がどこまでも
広がっていました。


次に向かったのは、これもチンク・エテッ
レのひとつマナローラで、駅から結構長い
トンネル状の歩道を抜け、メインストリー
トのVia Renato Birolliに突き当たり、
左に折れてダリオ・カペリーニ広場に出ま
す。


広場といっても、とても小さな広場で、
しかも、メインストリートから3~4mも
高い位置にあり、通りを歩く人は階段か、
急な斜路を登らないといけないことになり、
どうしてこのような形態の広場をつくった
のか、とても不思議です。


しかし、この一段上がった広場からは、港
に向かって下っていくVia Renato Birolli
沿いの街並みがよく見え、景観上は、この
広場がマナローラの町の一つのシンボルに
なっていることがわかります。


Via Renato Birolliを下りきったところが、
小さな入り江で、このあたりの構成はヴェ
ルナッツァと同じですが、入り江の中に、
大きな岩があり、そこに子供たちが登り、
10m近くもある岩の頂上から紺碧の海に
大きな水飛沫をあげて飛び込んでいました。


陸地のすぐ近くの海ですが、十分な水深が
あり、大きな船は無理ですが、小舟には、
天然の良港だったことが分かります。


入り江を回り込んで、小さな岬の突端まで
行って振り返ってみると、リグーリア湾の
紺碧の海とマナローラの斜面に建つ色とり
どりの家々で構成される景色が、まるで絵
葉書のように鮮やかに広がっていました。


マナローラからは、再びCinque Terre
Expresに乗って、終点のラスペツィアに
向かいましたが、6両編成の車両は超満員、
で、足の踏み場のないほどの混みようで
した。


Cinque Terre Expresの昨夏の乗車客数は
200万人ということだそうで、この小さな
村々に、ものすごい数の観光客が押し寄せ
ているのですが、それにしても、この辺鄙
な地域で列車に乗りきれないほどの混み
ようになるとは思いもしませんでした。


ラスペツィアから、再びバスで宿泊地の
パルマに向かったのですが、その途中、
ラスペツィアの港に、巨大なクルーズ船が
泊まっているのを見て、列車や村々の混雑
の原因が分かったように思えました。


日本では見たこともない、10階建てのバル
コニー付きの巨大なビルのようなクルーズ
船で、数千人規模の乗客数をもつという話
でしたが、クルーズ観光の規模の大きさを
実感した一日でした。


この続きはまた、明日にでも。


最後まで、お読みいただき、
ありがとうございました。


田村 誠邦


編集後記


7月も相変わらず、思うように時間が取れ
ない日々が続いたので、せめて海外旅行中
は、毎日書いてみようと思っているのです
が、ネット環境がホテルでしか確保できて
いないので、一日遅れのARC通信となっ
ています。


今日(現地時間28日)は、パルマから
北東に500?くらいバスで移動して、
ドロミテ山塊の東の拠点コルティナ・ダン
ペッツォに入り、そこからドッピアーコ湖
と、ミズリーナ湖を訪れました。


その報告は次回のお楽しみに。
こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。


今日は、梅雨も一休みか、朝から青空が
広がっています。


さて、英国のEU離脱のニュースを受けて
世界中が大騒ぎですが、先週金曜日に私が
書いたメルマガのタイトルは、なんと
「英国のEU残留で一安心?」でした。


いやあ、10日ぶりに出したメルマガなのに、
みごとに、すべってしまいました。


お恥ずかしい話ですが、メルマガを書いて
いた午前9時くらいのニュースでは、EU
残留派がわずかながら有利という見通しを
示していました。


実際に、23日のニューヨーク株式市場では
英国のEU残留の見通しを受けてダウ平均
株価が2か月ぶりの高値を付けていたわけ
です。


この流れを受けて、24日金曜日の東京株式
市場日経平均株価は、午前9時に16,333円
87銭と前日よりも100円近い高値で始ま
ったわけです。


ところが、英国国民投票でのEU離脱派の
勝利が伝わった午前11時ごろから、日経
平均株価は急激な下落に転じ、24日の終値
は14,952円02銭と前日比1,286円33銭、
率にして7.92%の記録的な下落となって
しまいました。


この下落幅は、ITバブル崩壊後の2000年
4月17日(1426円04銭)以来、約16年
2カ月ぶりの大きさで、下落率としては
2011年3月15日(10.6%)以来の大きさ
だということです。


この英国のEU離脱のショックで、日本だ
けでなく、世界各国に株安が連鎖し、24日
の1日だけで世界の株式時価総額は約3.3
兆ドル(330兆円強)も下落し、これは、
世界全体株式総額の約5%にも相当する
そうです。


2015年の英国の名目GDPは約2.85億
ドルですから、英国のEU離脱によって
わずか1日で、世界株式市場では、英国
名目GDPの1.15倍もの時価総額が
失われたことになります。


さて、今回の英国のEU離脱は、こうした
金融市場の混乱にとどまらず、もっと本質
的な、たとえて言うと1989年11月9日の
ベルリンの壁崩壊に匹敵するような世界史
に残る転換点になる可能性があると考えら
れます。


それは、一つには、戦後60年余りにわたり
築き上げてきた欧州統合の流れが分裂に
向かうのではないかという点です。


1952年に、フランス、イタリア、オランダ、
ベルギー、ルクセンブルク、西ドイツの
6か国が欧州石炭鉄鋼共同体ECSCを
設立して以来、欧州は連帯と統合に向けて、
これまでほぼ順調な歩みを進めてきました。


1958年にはESCC設立メンバー6か国
で欧州経済共同体ECCが発足、そして、
67年に欧州共同体ECが発足、73年には
デンマーク、アイルランド、英国がECに
加盟、さらに、81年にギリシャ、86年に
スペイン、ポルトガルが加盟しました。


そして、1993年には、単一通貨ユーロ導入
などの道筋を決めた欧州連合条約が発効し
欧州連合EUが発足し、95年にオーストリ
ア、フィンランド、スウェーデンが加盟、
99年には共通通貨ユーロが導入されまし
た。


その後も、2004年に旧ソ連圏を含む10か
国が加盟、2007年にブルガリア、ルーマニ
ア、2013年にクロアチアが加わって加盟国
は28か国に達し、最近のギリシャ危機等
の波乱要素はあったものの、欧州の統合は
着実に進んでいたわけです。


そこに、今回の英国のEU離脱という、
まさかの事態が生じたわけですから、これ
は、まさに歴史の転換点かもしれません。


英国内では、EU残留派が多数を占めてい
るスコットランドが、単独でのEU残留に
向けた交渉をEU側と早急に始める動きや
スコットランド独立の是非を問う住民投票
を再実施する動きが表面化しています。


EU内でも、各国でEU離脱を訴える懐疑
派の動きが活発化することは確実であり、
欧州が再び、分裂と騒乱の火種になる可能
性さえ否定できない状況です。


今回の英国のEU離脱のもう一つの世界史
的な意味は、グローバリズムの一つの終焉
を意味しているかもしれないという点です。


それは、グローバリズムで恩恵を受けてい
たエスタブリッシュメント(支配階級)や
エリート層に対する大衆の反乱が、グロー
バリズムの流れを押しとどめつつあるとい
う側面です。


こうした流れは、今回の英国に限らず、
米国のドナルド・トランプ氏、フランスの
極右政党・国民戦線のルペン党首、ドイツ
の民族主義政党「ドイツのための選択肢」
の台頭など、世界各国にみられる動きです。


そして、その動きは、今年11月に行われる
米国大統領選挙で、もし仮にトランプ氏が
大統領に選ばれるようなことがあれば、
まさに世界史的な転換が現実のものになる
と思われます。


そして、このグローバリズムの一つの終焉
とともに、米国の金融資本や多国籍企業に
代表される、強欲な超金融資本主義とも
いえるような資本主義社会の在り方が、今、
まさに問われているような気がします。


日銀の異次元金融緩和で供給された巨大な
マネーが、円キャリートレードを通して、
円安と世界各国への過剰投資を誘発し、
それが世界経済のリスクの高まりとともに、
逆流しているのが、現在の円高の原因だと
思われます。


そうした意味で、輸出企業の経営を助ける
ための円安政策が、実は世界的な過剰投資
と世界経済の不安定リスクの一つの要因に
なっていることを、われわれ日本人も自覚
する必要があると思います。


今回の英国EU離脱を契機とした世界経済
の混乱に対し、安倍首相は、準備はできて
いると発言したそうです。


しかし、円安・株高を誘導し、それによる
生活改善の期待感で、経済成長を図ろうと
するアベノミクスの成果は、今回の英国の
EU離脱という一事件で、すっかり、はげ
落ちてしまっています。


異次元の金融緩和による膨大なマネー供給
と日銀による国債や株式の購入という、
いわば禁じ手により演出していた円安と
株高がはげ落ちてしまったことは、もとに
戻ったのではなく、国民経済に巨大なつけ
を残しただけではないでしょうか?


目先の参議院議員選挙を意識した小手先の
円高対策や株価対策ではなく、世界史的な
転換点であることを踏まえた本質的な政策
論議が、いままさに必要とされているよう
に思えるのですが、いかがでしょうか?


最後までお読みいただき
ありがとうございました。


田村誠邦
今日も朝から梅雨空ですが、気温が低く
比較的快適な一日になりそうです。


さて、英国の欧州連合(EU)からの
離脱関する国民投票が、昨日23日に
行われました。


開票の最終結果はまだ出ていませんが、
速報では、EU残留派が離脱派を上回り、
英国のEU離脱は、ひとまず回避される
見通しとなってきています。


これを受けて、23日のニューヨーク株式
市場ダウ終値は、18,011ドル07セントと、
前日比で230ドル余りの値上がりを示し、
4月27日以来、約2か月ぶりの高値を
付けました。


英国のEU離脱を巡っては、世論調査で
一時は離脱派が残留派を上回り、4月末
以降は世界的な株価の低迷を招き、安全
資産としての金やドル、円などが買われ、
世界経済の波乱要因となっていました。


この流れを変えたのは、野党労働党の女性
下院議員でEUへの残留を訴えていた
ジョー・コックスさんが、6月16日に
イギリス中部の自身の選挙区で銃撃・殺害
されるという悲劇が起きたことでした。


移民問題や経済問題を巡って激しく対立
していた離脱派と残留派でしたが、シリア
難民への支援などに熱心に取り組んでいた
コックスさんの死を受けて、両派は互いの
キャンペーンを自粛しました。


この冷却期間が、それまで伸長していた
離脱派の勢いをそぐことになり、結果的に
コックスさんの死という犠牲を払うことで
EU残留派が勝利を得たことになったよう
です。


この英国のEU残留によって、当面は、
世界経済は落ち着きを取り戻すことに
なるでしょうが、これは一時の安定に
過ぎないのではないかと思われます。


欧州統合の考えに反発するEU懐疑主義
“Euroscepticism”には長い歴史があり、
最近は、英国だけでなく、EU加盟国の
多くにおいて、勢力を伸ばしています。


たとえばオランダでは4月6日に、EUと
ウクライナが政治・経済面の関係強化に
向けて調印した「連合協定」の是非を問う
国民投票が実施され、反対派が勝利を収め
ています。


6月19日に行われたローマ市長選では、
単一通貨ユーロに反対する新興政党「五つ
星運動」の女性候補ビルジニア・ラッジ氏
が得票率約67%で、レンツィ首相率いる
中道左派の与党、民主党候補を大きく引き
離して当選しています。


このように、今回の英国の国民投票により
英国のEU離脱は避けられましたが、EU
による欧州統合政策の実行は今後大きな
制約を受けるでしょうし、各国のEUから
の離脱の動きは今後も止まらないでしょう。


さらには、中国国内の経済減速に伴う過剰
生産や不良債権問題、米国のトランプ旋風
に象徴される孤立化政策の動きなど、世界
経済の波乱要因はそこら中に潜んでいます。


安倍首相は、5月下旬に行われた伊勢志摩
サミットで、リーマン級の経済リスクが
迫っているという理由で消費税の増税延期
を決めましたが、首相本人が実際には夢に
も思っていなかったであろう世界経済の
破綻が本当に迫っているのかもしれません。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。


田村 誠邦
こんにちは
田村誠邦です。


今日は朝からうす曇りの天気で、花冷えと
いうのでしょうか、気温もこの時期にして
は低いようです。


東京の開花宣言は、ちょうど一週間前の
3月21日に出されましたが、気温の低い
日が続いているせいか、東京都心部の桜は、
まだ3分咲きくらいです。


まあ、例年よりも長い期間、桜を楽しめる
のも、いいのかも知れません。


さて、去る3月22日に国土交通省から
発表された2016年1月1日現在の公示地価は
全国平均(全用途)で前年比0.1%上昇し、
2008年以来8年ぶりにプラスに転じたことが
明らかになりました。


円安による訪日客の急増により、大都市の
商業地での店舗やホテルの需要の高まりや、
日銀の異次元金融緩和の結果、三大都市圏
や地方の中核都市の商業地を中心に地価の
上昇幅が拡大しているようです。


その一方で、地方都市の商業地や住宅地で
は、地価の下落傾向が続いています。


今回の地価上昇の最大の要因は、日銀に
よる異次元金融緩和によって、投資資金が
不動産市場に向かったためと考えられます。


銀行による不動産業向けの新規貸し出しは
2014年度に10兆円を上回り、バブル絶頂期
の1989年やミニバブルといわれた2007年度
の水準にほぼ並んでいます。


今回の地価動向は、日銀がこの1月29日
に決定したマイナス金利政策の影響を織り
込んでいませんので、今後も不動産への
資金流入が加速し、大都市圏や地方中核都
市の都心商業地などで、一層の過熱感が
高まる可能性があります。


80年代後半のバブル期には、地価が上がる
ことは、国民の生活にとって好ましくない
ものだというコンセンサスが形成され、
その結果として、総量規制や地価税の導入
など、一連の地価抑制策が発動されました。


しかし急激な地価抑制策、とりわけ不動産
向け融資の総量規制は、不動産取引の急激
な収縮と地価の暴落をもたらし、結果的に、
90年代半ばから後半にかけての不良債権
問題を引き起こし、日本経済の失われた20
年の主たる原因となったわけです。


地価というのは、上がりすぎては国民の
健全な経済活動を阻害しますが、一方で
下落傾向が続いても、土地担保による銀行
融資と直結しているため、経済活動拡大の
阻害要因となります。


また、国民の重要な資産の一部であるため、
地価の下落は、国民の資産の減少にも繋が
るわけです。


さらに、基礎自治体である市町村の税収を
考えると、地価公示価格の7割水準である
固定資産税評価額を課税標準とした固定資
産税・都市計画税が、平成24年の市町村税
総額の48.2%を占めており、地価が下がる
と、地方財政も成り立たないのです。


今回の地価公示で、全国の全用途平均が、
8年ぶりのプラスになったことは、そう
いった意味で喜ばしいことなのですが、
今回の地価上昇が、日銀の金融政策による
ところが大きいことに不安を感じます。


安倍首相と黒田日銀は、異次元金融緩和に
よる円安誘導とインフレ誘導を図ろうと
したのですが、円安についてはある程度の
成果は得たものの、インフレ誘導は実質賃
金の低下を招くなど、うまくいっていない
ことは明らかです。


円安と緩やかなインフレによる企業収益の
増大から実質賃金の増加、国内経済の活性
化を狙ったわけですが、消費者物価指数も
平成27年の平均で対前年比0.8%増と、
目標の+2%には程遠い状況です。


その一方で、不動産業に対する銀行の新規
貸し出しがバブル期並みになるなど、金融
緩和の副作用が顕著になっているのです。


そもそも、80年代後半のバブルは、1985年
のプラザ合意を発端にして、1ドル240円
前後だった為替相場が、約1年で120円台
まで急進し、その円高対策として、政府と
日銀が、金利の引き下げや金融緩和を実施
したことが主たる原因といわれています。


円安を狙った金融緩和で、あふれた資金が
不動産に向かった構図は、今回のケースと
驚くほど似ています。


しかも、今年の1月に日銀が実施したマイ
ナス金利政策のために、余剰資金が不動産
に向かう構図は、ますます強化されたよう
に思えるのです。


80年代後半のバブル、2007年のミニバブ
ルの教訓を、今度こそ活かして、地価の
安定的な推移への舵取りを、期待したいと
思います。
こんにちは
田村誠邦です。


今日は朝から麗らかに晴れ渡り、春の訪れ
を感じさせる陽気です。


さて、世界の亀山モデルといわれるほど
高品質な液晶テレビで一世を風靡した
シャープが、台湾の世界的なEMS企業
である鴻海に買収されるというニュースが
注目を集めています。


平成27年4から12月期のシャープの連結
決算は、売上高が前年同期比7.1%減の
19,430億円、本業のもうけを示す営業損益
が290億円の赤字、最終損益は1,080億円
の赤字と、主力の液晶事業を中心に、売上
減少と大幅な赤字が続いています。


シャープの再建では1月上旬までは、官民
ファンドの産業革新機構が出資する案を
中心に検討が進んでいたようです。


産業革新機構は、不振の液晶事業を切離し
2000億円規模の出資でシャープの過半数
の株式を取得し、みずほ銀行など主取引
銀行に1500億円の債務を株式化するなど
金融支援を再要請するという案でした。


しかし2月に入ると、スマートフォンや
薄型テレビなどの電子機器を受託生産する
EMS企業の世界最大手である台湾の鴻海
が7000億円近い買収額でシャープを買収
する案が浮上し、2月25日にシャープは
鴻海の買収案の受け入れを決定しました。


ところが鴻海は同日午後に、前日にシャー
プから届いた3500億円の偶発債務リスト
の精査を理由に契約の「一時延期」を発表、
破談の恐れも浮上していましたが、両社の
トップが26日に深圳で会談、3月7日の
契約をめざすことで合意したとのことです。


シャープの再建を巡っては、日本の優れた
技術の海外流出を避けるために、官民ファ
ンドによる再建が望ましいといった意見も
聞かれましたが、もはやシャープには、
守るべき技術リソースもそれほどないので
はないでしょうか?


確かに、シャープの液晶技術は、一時期は
世界をリードするほどの技術力を誇って
いましたが、その後は、韓国や中国、台湾
などの競合メーカーにシェアを奪われ、
価格競争力を失い、液晶部門は大幅な赤字
を続けています。


もはや守るべき技術は、競合である中・韓・
台のメーカーにあり、シャープには存在し
ないのではないでしょうか。


また、今回の一連の騒動を見ていると、
シャープの経営陣には、危機感もモラルも
欠如しているのではないかと思われます。


最初の赤字に陥った6年前から、シャープ
の経営陣は、有効な経営再建手段を何一つ
実行できていないのではないかと思われる
のです。


その結果、絶好調であった2008年3月末
から直近の決算期である2015年12月末を
比較すると、人員は8割をキープして
いるものの、時価総額は9割減となり、
生産設備である有形固定資産は3分の1に
減少しています。


経営陣の刷新を含む大幅なリストラを条件
とした産業革新機構の再建案を袖にふり、
最後の救世主、鴻海の買収案を受け入れた
にもかかわらず、3500億円もの偶発債務の
存在をその決定の前日になって、初めて
明らかにするなど、全くの常識外です。


偶発債務とは将来に発生する恐れがある
債務のことですが、可能性が高いものに
ついては、有価証券報告書に開示する必要
あります。


シャープの有価証券報告書に開示されて
いた偶発債務は800億円でしたが、今回の
取締役会決議の前日に提出された偶発債務
は、3500億円になっていたのです。


買収案を提示した鴻海にとっては、まさに
寝耳に水の事態だったと思いますし、この
ような重要事項を、最後の頼みの綱である
鴻海相手に買収決定の前日に伝えるとは、
シャープ経営陣の危機感とモラルのなさに
あきれるばかりです。


3月7日に無事、鴻海との間で買収契約が
締結できるかどうかは、まだ予断を許しま
せんし、仮にシャープが無事に鴻海傘下に
なることができても、シャープの再建は、
困難を極めることになると思います。


さて、今回のシャープ再建の迷走から、
もう一つ重要なことを学ぶことができると
思います。


それは、一つの技術、一つの商品にすべて
をかけることのリスクです。


確かに、一時はシャープの液晶技術と亀山
モデルの液晶テレビは、世界有数の競争力
を持っていたかもしれません。


しかし、技術革新や情報伝達のスピードが
飛躍的に高まっている現在では、そうした
技術や商品の優位性を維持し、向上させる
ことは容易なことではないのです。


シャープのような大企業に限らず、優位性
をもつ技術や商品を軸に、ビジネスを組み
立てる考え方が、私たちの中にしみついて
います。


「脱皮できない蛇は死ぬ」というニーチェ
の有名な言葉がありますが、まさに今、
求められているのは、こうした考え方なの
かもしれません。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。


田村 誠邦
こんにちは
田村誠邦です。


今日は、メルマガを出す予定はなかったの
ですが、金融市場が風雲急を告げているの
で、緊急に書きます。


年初来、このメルマガでも書いてきました
が、恐れていた世界同時株安が、ついに
起きてしまったようです。


昨日のニューヨーク証券取引所のダウ平均
株価が、254ドル安の15,660ドルと約2年
ぶりの安値を付けたのを受けて、今日の
東京株式市場も約760円安の14,952円と、
2014年10月21日以来の、約1年4ヶ月ぶり
の安値を付けました。


2014年10月31日に、黒田日銀総裁が、
日銀の国債買い入れ枠を80兆円にする等
のいわゆる黒田バズーカ第2弾を実施し、
日経平均株価は2015年6月24日に20,952円
まで上がったのですが、この値上がり分が
吹っ飛んだわけです。


円相場も、一時111円台前半を付けるなど、
アベノミクスの成果といわれてきた、円安、
株高の効果が、一気に剥げ落ちてきたの
です。


現在の世界同時株安が、単なる株式市場の
混乱だけでとまるか、それとも、リーマン
ショック級、もしくはそれ以上の世界金融
危機にまで発展するのかは、これから2週
間くらいが、特に今夜の欧米市場の動向が
山場だと思われます。


現在、一番の懸念事項は、ドイツ銀行が
破綻しないで済むかどうかという問題です。


ドイツ銀行は、今年に入ってから株価が
4割以上も下落しており、2015年度の決算
として67億9400万ユーロ(約9000億円)
の赤字の見通しを発表しましたが、今後は、
この程度で済まない可能性が高いようです。


ドイツ銀行は、米国の不動産関連商品の
販売での大型訴訟や、ロンドの銀行間取引
金利の不正操作での罰金など、国内外で
多くの訴訟を抱え、排ガス不正問題地に
立つフォルクスワーゲンへの100億ユーロ
の融資予定など、大変な状況です。


もし、ドイツ銀行が破綻した場合には、
67兆ユーロ(約8700兆円)といわれる
金融取引総額を抱えるだけに、2008年の
リーマンブラザーズの破綻をはるかに
上回る悪影響を世界経済に与えることは
必至です。


今週末から週明けにかけて、世界金融市場
の動向から目を話せない状況が続きそうで
す。
こんにちは
田村誠邦です。


昨夜来の雨が、未明から雪に変わり、
今朝は久しぶりの雪景色です。



さて、年初から始まった世界の政治的・
経済的な混乱は、15日のニューヨーク市場
の急落で、新たな局面に入ったようです。


15日金曜日のニューヨーク市場のダウ
平均株価は、前日比390ドル安と大幅に
下落し、1万6千ドルの大台を割り込み、
約4か月半ぶりの安値を付けました。


年初からの2週間の下落幅は、1436ドル
と、過去最大とのことで、15日の原油先物
相場が、一時1バレル29ドル台前半と、
12年2か月ぶりの安値を付けたことと
合わせて、世界経済の先行きに明らかな
警戒警報が発令された状況です。


このニューヨーク市場急落の原因となった
のは、同日の上海市場の上海総合指数の
終値が、2900.9698と、昨年8月26日の
いわゆるチャイナショック時の最安値を
下回るとともに、中国の通貨である元の
下落が止まらないためと言われています。


中国政府は、2015年度の経済成長率を7%
程度と見通していますが、現状では、ほぼ
ゼロ成長に近いところまで中国経済は悪化
している可能性が高いと思われます。


そのひとつの状況証拠を見てみましょう。


中国経済は、輸出主導型の経済ですので、
IMFの推計によれば2015年1年間の
経常収支は3478億ドルもの黒字です。


ところが、中国の外貨準備高は昨年12月
に対前月比で1079億ドル減の3兆3304
億ドルとなり、単月では過去最大の減少幅
を記録し、この1年間でも5126億ドルも
の減少となっています。


中国では、外貨は中国人民銀行が一元的に
買い入れることになっているので、2015年
1年間では経常収支の黒字と外貨準備高の
減少の合計8604億ドルもの外貨準備高が
消えてしまった計算になり、しかもその
傾向が昨年8月以降加速しているのです。


貿易黒字国は、外貨準備高が積みあがるの
が普通で、実際に中国も、2014年6月まで
は、外貨準備が増加し続け、3兆9932億
ドルのピークをつけたのですが、それから
わずか1年半で、17%も減少しています。


外貨準備高の減少は、中国政府の正式な
対外投資の増加や、外資の資本の引き上げ
も考えられますが、現実には、為替管理を
潜り抜けた中国人自身による不正な海外
送金の増加が主たる原因といわれています。


つまり、中国人自身が、将来の中国経済や、
あるいは政治体制に対する不安から、不正
な手段を使っても、資金を海外に猛烈な
勢いで移動させている、すなわち、キャピ
タルフライトの可能性が高いのです。


そして、この中国経済の異常事態が、世界
的な資源需要の減少や資源国通貨の下落を
招き、原油価格の下落や世界的な株価下落
の主要な原因となっていると考えられます。


こうした事態の中で、世界で最も経済状況
が安定していて、世界経済の防波堤と考え
られていた米国のニューヨーク市場の株価
までもが暴落しつつあるというのが、現状
なのです。


今後のこの事態がどのように推移するかは、
まだ、はっきりとしたことは言えませんが、
昨年8月のチャイナショック程度の下落で
済む話ではないかもしれません。


新興国通貨は、ドルに対して下落の一途を
たどっており、新興国で投資された案件の
借入金はドル建てであるため、その返済は
ドルで行う必要があります。


世界的な需要不足の中での新興国通貨の下
落は、新興国での投資案件の債務不履行を
招き、世界的な金融恐慌につながる可能性
が高いからです。


ところで、2008年のリーマンショック直後
に、当時の財務大臣であった与謝野馨氏が、
「日本経済は蜂に刺されたようなもの」と
その影響を軽視した発言を行いました。


しかし、リーマンショックが日本経済に
与えた影響は極めて大きく、その回復には
長い歳月と大きな犠牲が必要でした。


たとえば、2008年以降の大学生の就職は、
まさに氷河期と言えるような状況に陥り、
明大で私が指導していた学生でも、卒業時
には、就職が決まらない人が何人も発生し
ました。


建設業では、リーマンショック後の受注の
落ち込みにより、協力業者の廃業や職人の
転職が相次ぎ、それが現在の職人不足の
根本的な原因のひとつとなっています。


年明け以降の世界経済の状況を見ていると、
まさに、リーマンショック時の悪夢を思い
起こさせるような展開となっています。


経済の急降下に備え、シートベルトの着用
が必要な時期ではないでしょうか。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。


編集後記


昨日1月17日は、1995年に発生した阪神
淡路大震災から、ちょうど21年目でした。


昨年は、震災後20年目で、マスコミも
大きく取り上げたのですが、21年目の今年
は、報道での扱いは小さくなり、震災の
記憶がうすれつつあります。


地元神戸市での市民による追悼式や防災
訓練などの行事も、去年の半数近くの約
60件に減り、ここ10年余りでもっとも
少なくなかったとのことです。


今年の3月11日は、東日本大震災から
ちょうど5年目を迎えますが、「天災は
忘れたころにやってくる」という寺田寅彦
の言葉のように、災害の記憶が風化した頃
が、一番危ない時期なのかもしれません。


経済変動だけでなく、大地震をはじめと
する天災への備えも、忘れずにしたいもの
です。
こんにちは
田村誠邦です。


今日もよく晴れて、清々しい冬晴れですが、
今年の正月は、本当に暖かいですね。


さて、前回のメルマガで、今年の干支で
ある丙申の年は、良きにつけ、悪きにつけ、
諸々のことが盛んに広がる年になりやすい
ということをお伝えしました。


今週の世界の政治経済の状況を見ていると、
悪い意味での政治的あるいは経済的緊張が、
まさに、野火のように広がりつつあるよう
に思えます。


政治的には、サウジアラビアが、イスラム
教シーア派の指導者ニムル師の死刑を執行
したことをきっかけに、イランでサウジア
ラビア大使館の襲撃事件が発生し、これを
受け、スンニ派のサウジアラビアは、シー
ア派イランとの外交関係を断絶しました。


これに追随して、サウジと同様のスンニ派
のバーレーンやスーダンも、イランと外交
関係を断絶する事態となり、中東での混乱
が拡大しています。


一方、6日には、北朝鮮が初めての水爆
実験に成功したと発表し、これを受けて
韓国の与党幹部が核武装の必要性を発言
するなど、朝鮮半島を中心とする極東の
政治的緊張も高まっています。


こうしたグローバルな政治的緊張の高まり
により、基軸通貨であるドルや比較的安定
した通貨である円が高騰し、経済成長率の
低下が明らかな中国の通貨である元は、
7日に、約4年10カ月ぶりの安値を付けて
います。


中国上海市場では、年明けから、相場の
急変時に取引を停止する「サーキットブレ
ーカー」制が導入されていましたが、4日
に続き、昨日にもこの制度が発動し、
7日の上海総合指数の終値は、3125.00と
昨年末より約12%下落しています。


こうした流れを受けて、日経平均株価も、
7日の終値は、17767円34銭と、前日比
423円98銭安と、約3か月ぶりの安値を
付けています。


さらに、昨日のニューヨーク市場ダウ平均
終値は、前日比392ドル41セント(2.3%)
安の1万6514ドル10セントと、これも、
約3カ月ぶりの安値をつけ、世界同時株安
の様相も呈してきています。


また、原油先物市場の指標となるWTIは、
7日の時間外取引で、1バレル32.1ドルを
付け、2008年のリーマンショック時の安値
32.4ドルを下回り、2003年12月以来12年ぶ
りの安値水準となっています。


こうした株価の下落に一喜一憂する必要は
ないと思いますが、重要なことは、中国の
供給過剰経済が事実上破綻し、極端な需要
縮小が起きており、それが世界経済の縮小
につながり、原油をはじめとする資源安を
引き起こしていることです。


ですから、日米欧および中国の政府や中央
銀行の前例のないほどの資金供給によって
維持されていた各国の株式が下落するのは、
株価が実体経済を反映した水準に近づいて
いるだけであり、問題は実体経済が、これ
以上悪化するか否かという点にあります。


その点についても、年明け以降の世界の
政治動向を見ると、今年は予断が許さない
年になりそうな気がします。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。


田村 誠邦
明けましておめでとうございます。


田村誠邦です。


今年も、皆様の仕事や生活に役立つ、質の
高い情報をお届けしていきたいと思います
ので、どうぞよろしくお願いいたします。


さて、今年2016年の干支は、丙申
(ひのえ・さる)。


丙(ひのえ)には、「あきらか」とか、
「さかん」という意味があり、横に燃え
広がる性質を表しているそうです。


また申(さる)は伸びるという意味で、物事
が進歩発展し、成熟に至るまでの伸びを
表すそうです。


この二つが組み合わせる「丙申」は、諸々
のことが盛んに広がり、発展してゆく年に
なるといわれています。


しかし、盛んに広がり発展していくのは、
いいことばかりとは限りません。


2016年の丙申では、欧州の難民問題とか、
中国の経済破綻とか、イスラム国など中東
の混迷など諸々の問題が、ますます拡大し
ていく可能性が高いのかもしれません。


新年早々に伝わってきた、サウジアラビア
とイランの国交断絶や、上海市場急落の
ニュースなどを見ると、今年の世界経済や、
政治動向は、ますます混迷の色が強まる
可能性が高そうです。


わが国の社会経済や政治動向についても、
昨年末のメルマガで分析したように、
アベノミクスの限界は明らかであり、
国民が豊かに安心して暮らせる方向に
進むことは難しいかもしれません。


しかし、そうした社会経済や政治動向に
一喜一憂していても始まりません。


政府が、国民一人一人の暮らしや生業の
ことを面倒みることができる時代では、
もはやないと考えた方がいいのです。


企業も、一部の大企業を除けば、従業員や
その家族の暮らしや豊かさを、一生の間、
保障できる時代ではもはやないのです。


これからの時代は、ひとり一人が、政府や
企業に頼らずに、生き残る力を蓄えていく
ことが必要な時代だと思います。


そうした個人の立場で考えれば、今年、
2016年丙申の年は、これまで行ってきた
ことが発展して形になっていく年だと、
前向きに捉えることができると思います。


これまで自分が行ってきたこと、努力して
きたことを、もう一度見直して、それを
どのように磨いていけば、新しい自分の
可能性を広げることができるのか、いま
一度、考えてみてはいかがでしょうか?


最後までお読みいただき
ありがとうございました。


田村 誠邦
こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。


今年も残すところ、あと10日余り、
なんとなく忙しない年の瀬です。





さて今日は、前回に引き続き、安倍内閣の
掲げるアベノミクス第2ステージとしての
新3本の矢について取り上げてみたいと
思います。


繰り返しになりますが、安倍首相が9月
24日に発表した新3本の矢とは、次の3つ
の政策をいいます。



①希望を生み出す強い経済として、国民
総生産(GDP)を2020年に600兆円に
増やすこと


②夢を紡ぐ子育て支援として、出生率を
1.8に回復すること


③安心につながる社会保障として介護離職
をゼロにすること




まず、①のGDP目標600兆円から見て
みることにしましょう。


わが国の国民総生産(GDP)名目値は、
1997年の523兆円をピークに低迷して
おり、リーマンショック後の2009年以降
500兆円の壁を超えていません。


安倍晋三氏が首相に復帰したのが2012年
12月26日で、それ以来ほぼ3年経ちます
が、この間、一度も500兆円の壁すら超え
ていないのです。


実際、内閣府による「中長期の経済財政に
関する試算」(2015年7月)によっても、
中間的ケース(ベースラインケースケース)
では、2020年度は552.1兆円と予測されて
います。


黒田日銀による異次元の金融緩和という、
劇薬を用いてすら、500兆円の壁を超える
ことができないのに、いかなる政策手段を
用いて、2020年のGDP600兆円を実現
するつもりなのでしょうか?


あり得るとしたら、さらなる円安が進行し
輸入物価が上昇して年率5%近いインフレ
状態になって、名目GDPが600兆円に
到達するというシナリオですが、それは
国民にとって望ましいシナリオとは到底
思えません。



②の子育て支援による出生率1.8の実現で
すが、これも、確かに長期的な目標として
はいいと思います。


しかし、これも、具体的な方策はというと、
個別的な政策はいろいろありますが、個別
ばらばらな政策で、一貫したシナリオに
なっていないように感じます。


たとえば、①2017年度までに待機児童ゼロ、
②3~5歳児の幼児教育無償化、③第3子
以降の重点支援、④育児休業の期間の延長
(子ども1歳半までから3歳までへ)と、
メニューは盛りだくさんですが、財源に
ついての説明はほとんどありません。


また、GDP600兆円を目指す経済政策や、
同じく安倍内閣の目玉政策の女性活躍推進
との関連性もよくわかりません。


そしてなによりも、子育て世代が子どもを
作らない、あるいは、40歳以下の単身比率
が増加している最大の原因と考えられる、
40歳以下の個人及び世帯の所得の減少と
いう課題に対して、なんら手を打っていな
いと思われます。


子ども一人当たり、幼稚園から大学まで、
すべて公立の学校でも、約1300万円、
すべて私立学校だと、約2700万円かかる
という試算がありますが、これ以外にも
習い事や塾の費用などが必要となります。


そうした現実を考えると、40歳以下の所得
の低下に歯止めをかけ、所得の向上を図る
ことこそ、最大の出生率回復の方策になる
と思われます。


財源も定かでなく、いつまで続くか分から
ない子育て支援策だけでは、ないよりは、
あったほうがましかもしれませんが、子ど
もを生んで育てようという機運を生み出す
ことは困難なのではないでしょうか?



最後に、③の介護離職ゼロですが、これに
ついては、不足する特別養護老人ホーム
(特養)などの介護施設を増やし、全面的
に介護が必要な「要介護3」以上の約15万
人の入所待機者を、2020年代初めまでに
ゼロにすることを目指すとしています。


これも、総論としては望ましい政策に見え
ますが、①、②と同様に、その具体化の
手段については、あまりよく見えません。


介護離職者の数は、総務省の統計によると、
2012年9月現在で、年間10万人あまり
になり、その内訳は女性が8割を占めて
います。


離職の最大のきっかけは男女とも「自分以
外に親を介護する人がいない」ということ
で、兄弟姉妹数の減少や未婚化・晩婚化に
より、介護の担い手が減少し、自分がやら
ざるを得ないという状況と思われます。


この問題を解決するのに、特養等の介護施
設を整備するというのですが、仮に特養等
の施設整備がある程度進んだとしても、
介護離職者に優先的に割り当てられるもの
ではないため、介護離職者の減少には直接
つながらない可能性が高いと思われます。


なぜなら、介護施設の現状は、特養等の
公的施設と、民間の有料老人ホーム等の
施設の入居費用や利用料に極めて大きな
差があるため、在宅で特養への入所希望を
している待機者数以外に、潜在的に極めて
多数の入所待機者が想定されるからです。


厚生労働省の調査によると、平成26年3
月現在の特別養護老人ホームの入所申込者
は約52.4万人、うち、要介護3以上の在宅
の方は、15.3万人です。


安倍内閣が掲げた、全面的に介護が必要な
「要介護3」以上の入所待機者約15万人と
いうのは、おそらく、この15.3万人をさし
ていると思われますが、それ以外に、施設
に既に入っている方で、要介護3以上の
入所希望者が19.2万人います。


また、特養の入所待ちが多すぎて、あきら
めて、入所希望を出さずに自宅で介護して
いる方や、民間施設に仕方なく入所して
いる方は、おそらく潜在的には100万人
を超えるものと思われます。


したがって、特養という公的負担が大きく、
その入居者のみが便益を得る施設を15万
人分建設するよりは、より多くの要介護者
及びその家族の負担を軽減するような施策
や要介護者を増やさないための施策を考え
るべきだと思いますがいかがでしょうか?


また、この新たな施設建設重視の政策は、
これまでの在宅介護重視の政策と矛盾して
いる面もあり、来年度から本格的に始まる
地域包括ケア政策との整合性も問われます。


さらに、そもそも、介護施設の現場で働く
介護職員をどう育て、確保していくのかと
いう大きな問題も残ります。


介護職員は、2025年には約30万人不足
するといわれており、仮に、今回の政策で
特養の増設が実施されたときには、その
不足数はさらに増加すると思われます。


2014年12月現在の介護分野の求人倍率は
全国平均で2.68倍ですが、福祉施設介護員
の平均賃金は21万8900円と、産業全体の
32万4000円を10万円以上も下回る状況
です。


給与水準以外にも、介護の現場の労働条件
の悪さなどもあり、求人需要はあっても、
人が集まらない状況が続いているのです。


その一方で、東南アジア等からの人材の受
け入れについては、きわめて厳しい条件が
付されており、2015年度は看護士候補者
155名、介護福祉士候補者568名と、事実
上、門戸を閉ざした状態となっています。


こうした面についても抜本的な政策変更を
講じない限り、③の介護離職ゼロも、単な
る掛け声だけに終わりそうな予感がします。



最後までお読みいただきありがとうござい
ました。
12月21日付


こんにちは
田村誠邦です。


12月も半ばを過ぎようとしていますが、
暖冬のせいか、今日も、コートもいらない
ほどのぽかぽか陽気です。


さて今日は、安倍内閣の看板政策である
アベノミクスの効果について取り上げたい
と思います。


安倍首相は9月24日に総裁選後初めての
記者会見を開き「本日からアベノミクスは
第2ステージに入る」として、新3本の矢
を発表しました。


新3本の矢とは、具体的には次の3つの
政策です。


①希望を生み出す強い経済として、国民
総生産(GDP)を2020年に600兆円に
増やすこと


②夢を紡ぐ子育て支援として、出生率を
1.8に回復すること


③安心につながる社会保障として介護離職
をゼロにすること


さて、これらの政策について検討する前に、
そもそも、アベノミクスの旧3本の矢が
どんな政策であったか、一度ふりかえって
おきましょう。


それは、①大胆な金融政策、②機動的な
財政政策、③投資を喚起する成長戦略の
3つでした。


このうち①の金融緩和については、黒田
日銀の絶大なる協力を得て、円安・株高の
状況をつくり出し、その面では、一定の
評価は得ているようです。


第2次安倍政権が発足したのは2012年12月
で、この間、株価は2倍超になり企業の
業績も過去最高水準に回復してきたわけ
です。


しかし、②の財政政策は一時的な刺激策に
とどまり、評価も芳しくなく、③の成長戦
略については、ほとんど何の成果もないと
言っても過言ではないと思われます。


安倍首相は、アベノミクスで日本経済の
本格的な回復を目指したわけですが、残念
ながら、回復しているのは株価と輸出企業
等の企業業績だけであり、GDPも、個人
消費も一向に上向く気配はありません。


金融緩和で黒田日銀が目指した物価上昇率
2%にしても、いつ実現するか分からない
状況であり、最近は黒田日銀総裁も2%の
物価上昇率目標をあまり口にしなくなって
います。


昨年は消費者物価上昇率はプラスを示して
いましたが、これは円安による輸入物価の
上昇、とくに円ベースでの原油価格の上昇
によるもので、今年に入ると円安傾向が
一服し、原油安により消費者物価上昇率は
マイナスを示しています。


ただ、生活者の財布に直結する食料品価格
だけは上昇しており、そのための買い控え
現象が起き、それが、GDP低迷の一因と
なっているのです。


安倍首相も黒田日銀総裁も、消費者物価が
プラスに転じ、デフレが解消すれば、企業
の投資も増え、賃金も増え、経済が回復し
GDPも増加すると考えていたようですが、
その予測は崩れてきていると思われます。


つまり、物価が上昇すれば経済が活性化
するというアベノミクスの前提そのものが
間違っている可能性が高いのです。


本来、政策目標というのは、その効果や
結果を検証してから次のステージに進む、
あるいは方向を転換すべきものですが、
安倍首相は、アベノミクスの効果の検証を
しようとしていません。


そして、株価上昇等でなんとなく経済が
上向いているという雰囲気だけで、第2
ステージに入るとしています。


これは来年の参議院選挙に向けて、旧3本
の矢が効果を発揮しなくなっているという
現実から目を背け、選挙対策として新たな
政策を発表したのではないかと言われても
仕方のない状況だと思われます。


それでは、新三本の矢という政策自体は、
どう評価すべきなのでしょうか。


次回はこの問題を取り上げたいと思います。


最後までお読みいただきありがとうござい
ました。
こんにちは
田村誠邦です。


ここのところ、はっきりとしない天気が
続いていますが、今日も、どんよりとした
曇り空で、寒々しい景色です。


さて、このメルマガでは、中国の株バブル
の崩壊や、ギリシャ危機などを取り上げ、
この秋にも大きな世界的経済危機に陥る
可能性が五分五分という予測をしていま
した。


しかし、幸い、そうした危機は訪れずに、
11月の日経平均株価は、2万円の大台まで
回復していました。


2015年7月~9月のGDP成長率も、第1次
速報値では△0.2%と4月~6月に続いて
マイナスだったのが、12月8日に発表され
た2次速報値では+0.3%とプラス成長に
変わり、緩やかな回復傾向にあることが
うかがえます。


米国も、ニューヨークダウ平均株価は、
8月末のチャイナショックの下げからほぼ
回復し、雇用統計なども堅調で、FRBも
12月15~16日の連邦公開市場委員会で
政策金利の引き上げを決定する見通しと
なっています。


このように世界経済は、チャイナショック
やギリシャショック、あるいは、11月に
発生したイスラム国によるパリの多発テロ
などにもかかわらず、ほぼ順調な回復傾向
に向かっているように見えます。


しかし果たして、世界経済の危機の火種は
本当に消えたのでしょうか?


実際、昨日は、ニューヨーク原油先物相場
が一時1バレル34ドル台半ばと約6年10
カ月ぶりの安値を付けたのをきっかけに、
ダウ平均株価が大幅安となり、それを受け
て、日経平均株価も一時600円を超える
下落を記録しました。


世界経済の危機の火種としては、現時点で
は、おそらく、次の3点が指摘できるか
と思われます。


(1)中国経済の減速もしくはバブル崩壊


(2)資源・商品相場の下落による新興国
経済の減速もしくはバブル崩壊


(3)ギリシャ危機をはじめとする欧州
経済の減速もしくはバブル崩壊



これ以外にも、イスラム国等による国際的
テロの増加や、日本経済や米国経済の減速
といったリスクもありますが、現時点で、
世界的な経済危機に発展するリスク要素と
しては、上記の3点が中心だと思われます。



特に、(1)と(2)は、完全に連動して
いる話です。


たとえば、国際的な原油価格の指標である
1バレル当たりWTI価格の月次の推移を
見ると、リーマンショック前の2008年
6月に133.88ドルの高値を付けた後に、
リーマンショックの影響もあり、2009年
2月に39.09ドルの安値を付けています。


それが、リーマンショック後の中国政府の
経済対策により、中国経済のインフラ投資
や不動産投資が本格化した2009年半ば
以降には急回復し、100ドル前後の高価格
を維持していました。


しかし、中国経済の減速が明らかになった
2014年半ば以降から、WTI価格は急速に
下落傾向を強め、冒頭でご紹介したように
昨日には、一時1バレル34ドル台半ばと
という約6年10カ月ぶりの安値を付けて
いるのです。


つまり、リーマンショック後の中国経済の
猛烈な投資による資源の爆買いが、国際的
な資源価格の高騰をもたらし、それが資源
輸出で成り立つ新興国経済の成長を促して
いたのが、中国経済の減速に伴い、逆回転
しているのが現状なのです。


少なくとも来年いっぱいくらいは、中国
経済の減速化は避けられない見通しである
ので、こうした傾向は、今後も強まること
はあっても、弱まることはないものと予測
されます。


また、中国や新興国に対する輸出で成り
立っているドイツをはじめとする欧州経済
にとっても、中国経済と新興国経済の減速
の影響は避けられないものと思われます。


結局のところ、来年に向けては、上記の
(1)~(3)の要因が、世界的な経済
危機発生の最大のリスク要因になるものと
予測されるのです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。
こんにちは
田村誠邦です。


早いもので、今日からいよいよ12月、
今年も残すところ、あとわずひと月に
なってしまいました。


ずいぶん久しぶりのメルマガになって
しまいましたが、皆様いかがお過ごしの
ことでしょうか?


私の方は、明治大学と九州大学との研究
交流会や、JIA25年賞の審査のための地方
出張、そして、私が主催するクライアント・
アドバイザー養成塾【ノウハウ編】など、
先月はまさに目が回るような忙しさでした。


さて、先日、夜10時台に何げなくテレビを
つけたところ、テレビ朝日の番組に、吉永
小百合さんが出演されていました。


滅多に観ない番組なのですが、吉永小百合
さんへのインタビューは興味があったので、
最後まで視聴しました。


私はいわゆるサユリストというほどの熱烈
なファンではありませんが、それでも、
吉永小百合さんの主演する映画は何本か
映画館まで見に行ったことはありますし、
大好きな女優さんの一人です。


とくに、最近の吉永小百合さんの若々しく、
しかも凛とした優雅な姿を見ると、すでに
70歳になっているという事実が、とても
信じられない思いがしますし、また励まさ
れる思いもします。


番組では、10代に家が貧しく家計を助ける
ために芸能界に入ったことや、何もわから
ずに演技していたのが、ある映画を期に、
社会との関係など様々なことを考え、出演
する映画も選ぶようになったことなどを、
優雅に淡々とお話しされていました。


そして、司会者が、最近の若さの秘訣はと
質問した時、吉永さんから、実に意外な
答えが返ってきたことが、とても印象的で
した。


それは、「私は自分のことを、アスリートだ
と思っているのです」という言葉でした。


吉永小百合といえば、優雅で気品のある
女優というイメージがあるのですが、その
吉永さんから、自分はアスリートであると
いう話が聞けるとは、全く予想外のことで
した。


以前は、毎日1km以上泳いでいたのだが、
最近は1週間に3kmくらいになったと
いう話や、アスリートだから、いつでも
自分を鍛えているという話は、私にとって
は、本当に新鮮な話でした。


本物のサユリストには、多分よく知られた
話なのかもしれないのですが、いつまでも、
優雅で気品のある女優「吉永小百合」を
支えているのは、実は、アスリートという
自覚と絶え間のない努力であるということ
を初めて知り、感動しました。


やはり、超一流の人は、いくつになっても
絶え間のない努力を積み重ねているのだと
改めて教えていただいた思いでした。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。


田村 誠邦
こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。


10月もあと残すところわずかですが、
なかなか、メルマガの原稿を書く時間が
取れません。


実は、前回の横浜のマンションの杭偽装
問題についてのメルマガを書いた後、
この問題について、日経ビジネスから
インタビューを受けました。


そのインタビューが、本日から、日経ビジ
ネスオンラインの記事に乗りましたので、
そのURLを紹介します。


前回のメルマガ記事の内容に加え、分譲
マンションという事業の構造的問題を
取り上げましたので、ぜひご覧ください。


■法規制だけではマンション傾斜は止められない:日経ビジネスオンライン
 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/062600010/102800004/?P=1

日経ビジネスの取材は、話した内容を、
きちんと記事にしていただいたので、
本音の記事になっています。


今日のメルマガは、日経ビジネスオン
ラインの記事の紹介ということで、
若干手抜きですが、最後までお読み
いただき、ありがとうございました。


田村 誠邦
こんにちは
田村誠邦です。


10月も早、下旬となり、ハナミズキなどの
街路樹の葉も色づきだし、秋も次第に深ま
ってきました。


さて、久しぶりのメルマガとなりますが、
この間、建築・不動産業界では、激震とも
いえる事件が発覚しました。


マンション業界最大手の三井不動産レジデ
ンシャルが販売した横浜市都筑区内の
11階建てのマンションの棟の一部が傾き、
その原因として、杭の施工に問題があった
ことが判明したからです。


しかも、この事件では、杭施工の2次下請
けで入っていた旭化成建材の施工管理者が、
杭工事の報告書に別の棟の地盤データを流
用する形で、虚偽のデータを記載していた
他、杭の先端のコンクリートの量のデータ
も改ざんしていたとのことです。


旭化成建材の発表では、強固な支持層に
届いていなかったものや、セメント量の
改ざんを合わせると、データが偽装された
杭は、合計70本にも上るとのことで、傾き
が明らかになっている西棟だけでなく、
他の棟の安全性も保障できないようです。


単なる施工ミスではなく、悪質な偽装行為
による欠陥であることが明らかになり、
杭工事を実施した旭化成建材だけでなく、
販売主である三井不動産レジデンシャル、
設計・施工会社である三井住友建設の責任
は重大であると言わざるを得ません。


私自身、社会に出て最初に入社した会社が、
三井建設であったので、この事件はとても
他人事には思えない衝撃でした。


それにしても、旭化成建材の施工管理者が、
なぜ「杭の地盤に到達していない」という
事実を知りながら、それを是正せずに、
データを偽装するという行為に至ったのか、
その点がポイントになります。


偽装の原因としては、データの取得自体を
忘れたとか、工期とコストが厳しく、杭を
継ぎ足すことが時間的にもできなかったと
か、社内の利益志向が強すぎて、追加工事
費を出せない状況に追い込められていたと
か、いくつか考えられます。


いずれの理由にせよ、建物の安全性に直結
する杭工事において、このような恣意的な
手抜き工事が行われたということは、信じ
られない思いです。


それと同時に、現場の担当者が個人的に
このような行動をとった場合の防止策は
ほとんどないことに戦慄せざるを得ません。


建築基準法第12条5項では、特定行政庁、
建築主事又は建築監視員は、建築主、設計
者、工事監理者、工事施工者等に対して、
建築物に関する工事の計画若しくは施工の
状況等についての報告を求めることができ
るとしています。


しかし、横浜市や民間確認検査機関の杭工
事施工結果報告書に記載する関連事項は、
支持地盤の確認(確認方法)と、支持地盤
への根入れ長さ及び杭長(確認方法)であ
り、実際にきちんと確認したかを検証する
術はありません。


設計監理者や元請の施工管理担当者も、
実際に施工する下請けの施工管理者が
データを偽装した場合には、これを現場で
チェックすることは、不可能ではないに
しても、人員配置や担当職務の煩雑さから
考えると、相当難しいことは確かです。


おそらく、国交省は、耐震偽装事件の際の
対応と同様、設計監理者や施工管理者、
あるいは、建築主の責任をより一層強化す
る方向で、建築基準法その他の法規やその
運用を変更していくでしょうが、法の強化
だけで解決する問題ではないはずです。


また、今回の事件の直接の要因が、偽装工
作をした一社員の資質に起因するとしても、
それを個人のモラルの問題だけで片付けて
はいけないと思います


私には、建設業の施工能力や施工管理能力
自体が、この十数年の中で大幅に低下して
いることが最大の原因のように思えます。


団塊の世代の職人たちのリタイアにより、
建設業の労務不足が深刻化していると、
よく言われますが、単に人数が減っている
のが原因という訳ではなく、建設業の労働
生産性や、施工品質の管理能力が低下して
いる可能性が強いのです。


たとえば、建築着工面積の推移を見ると、
直近のピークの1996年は2億5800万㎡
だったのが、2013年度は1億4800万㎡
と、1億1000万㎡、率にして、43%も
減少しています。


これに対して、建設業就業者数は、直近の
ピークの1997年の685万人が、2013年は
499万人と23%減少したにすぎません。


つまり、着工面積が43%減少したのに対し、
労働者数は23%減少にとどまっており、
これで労務不足というのは、どこか変な話
なのです。


建設労働者全体の高齢化や、熟練労働者の
リタイア、週休2日制の普及による工期の
長期化など、いくつか要因は考えられます
が、実は、建設業の生産性そのものが低下
しているのが、最大の要因ではないかと
考えられるのです。


建設業の生産性や施工管理能力の低下の
一つの要因として、90年代の半ば以降、
大手建設会社などが経営改善の名目で実施
した過度なリストラによる施工管理技術者
数の減少があるように思えます。


建設業大手35社の従業者のうち技術職の
総人数の推移を見ると、1996年に11万
6500人であったのが、2013年には6万
9000人と、率にして41%減少しています。


これは、建築着工面積の減少に応じた人員
配置をしていると、経営合理化の面からは
評価されることかもしれませんが、建設業
全体の生産性を上げ、施工品質を確保する
観点からは、はたして正しい選択だったの
でしょうか?


施工品質の管理能力の問題にしても、市川
市の超高層マンションや青山の億ションに
おける手抜き工事など、大手建設会社の
施工した案件での施工ミスや手抜き工事の
報道は毎年のように繰り返されています。


それに加え、姉歯元一級建築士による耐震
偽装事件や東洋ゴムによる免振ゴム偽装事
件、そして今回の旭化成建材による杭デー
タ偽装事件など、データを恣意的に改ざん
するという技術者にあるまじきモラルハザ
ードが蔓延しつつあります。


こうした問題は、もちろん、直接の問題を
引き起こした個人の資質に起因する面は
あるとは思いますが、やはり、建設産業、
あるいは、その発注者たる不動産業全体の
問題であると考えられます。


今回の横浜の事件は、これに直接関わった
企業はもとより、直接関わっていない企業
にとっても、建設業および不動産業全体の
問題として、真摯に受けとめる必要がある
のではないでしょうか?


最後まで、お読みくださり、
ありがとうございました。


田村 誠邦
10月6日付

こんにちは
田村誠邦です。


10月も第2週目に入り、朝夕の冷え込みも
増し、すっかり秋らしくなってきました。


さて、イングランドで開催中のラグビー
ワールドカップ2015ですが、9月19日の
対南アフリカ戦で、歴史的な勝利を収めた
ラグビー日本代表が、3日の対サモア戦で、
再び素晴らしい戦いを見せてくれました。


ワールドランキングでは、サモアは11位、
日本は12位と差はないのですが、これま
での対サモア戦の実績は3勝11敗、しか
も、ワールドカップなどの主要な国際大会
では、日本が全敗という格上の相手です。


そのサモア代表相手に、日本代表は26-5
という大差をつけての完勝でした。


目を見張ったのは、平均体重で重いサモア
に対して、日本のフォワード陣がスクラム
で押し負けていないどころか、むしろ押し
勝っていたことです。


試合開始直後、日本がペナルティゴールで
3点先取した後、両チームとも点が取れず
に試合は拮抗していたのですが、日本の
低く粘り強いスクラムやタックルに対して、
サモアの選手がしびれを切らし、無駄な反
則を多発して、退場選手を2名出しました。


明らかに日本が押している試合でしたが、
両チームとも点が取れず、じりじりした
展開の中で、試合の流れが大きく変わった
のは、前半24分のことでした。


その数的優位の状況の中で、サモア陣の
ゴール前正面からのスクラムで、日本の
フォワード陣が一気に押し込み、相手の
反則を誘って認定トライを決め、コンバー
ジョンゴールも決まり、10-0とリードを
広げました。


その後も、粘り強い戦いで相手の反則を
誘ってペナルティゴールを積み重ね、前半
終了直前の田中選手のタッチダウンと五郎
丸選手の角度のない難しい位置からのペナ
ルティゴール成功で、20-0とリードを広
げ、試合の流れを大きく引き寄せました。


後半は、さすがにサモア代表も気合を入れ
直し、拮抗した試合展開となりましたが、
最後までスクラムで押し負けなかったこと
が、格上のサモア相手の完ぺきな勝利を
もたらした最大の要因だと思います。


日本は勝ち点4を得て、通算で2勝1敗の
勝ち点8となりましたが、南アフリカが
スコットランドに34-16で勝ったため、
日本は3試合を終え、予選プールBの3位
となっています。


日本が予選リーグを2位以内で通過する
確率はかなり低いでしょうが、今大会で
日本が見せたパーフォーマンスは、次回の
ワールドカップ2019の開催国に相応しい
素晴らしいものだったと思います。


これも、2012シーズンから日本代表ヘッド
コーチに就任したエディー・ジョーンズの
指導のもと、世界で一番厳しいといわれる
練習を積み重ねてきた成果なのでしょう。


12日の予選リーグ最終戦の対アメリカ戦、
ぜひ、再び素晴らしい戦いを見せてほしい
と思います。


最後まで、お読みくださり、
ありがとうございました。
9月25日付

こんにちは
田村誠邦です。


今日は朝から雨模様、涼しいというより、
寒いくらいの気候です。


さて、今日は最初にお知らせとお願いが
あります。


このメルマガでも、ご紹介した
「クライアントアドバイザー養成塾
[ノウハウ編]超入門セミナー」を、
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実施いたします。


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ヒントを、必ず得られると思います。


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さて、前回のメルマガでも、この秋に
世界的な経済変動が起きる可能性があると
伝えましたが、今日はその最大の原因と
考えられる「中国の資源バブルの崩壊」に
ついて取り上げたいと思います。


前回の世界的な経済変動であるリーマン
ショックが起きた2008年には、中国は
まだ日本に次ぐ世界第3位のGDPの国
でした。


しかし、リーマンショックの結果、欧米や
日本がその傷跡からの回復が遅れる中で、
中国は約60兆円といわれる巨額の経済
対策をいち早く実施し、10%を超える経済
成長によって、世界経済回復の立役者と
なりました。


その結果、2014年の段階で、世界のGDP
総額77兆3千億ドルのうち、中国は10兆
3800億ドルと、米国の17兆4200億ドルに
次ぐ世界第2位(シェア13.4%)の経済
大国になり、第3位の日本(4兆6千億ドル)
の2.2倍以上となっています。


人口については、2013年現在、中国は13兆
9300億人と2位のインド12兆5200億人を
1億人あまり引き離す世界1位の国であり、
世界人口71兆2600億人の19.5%を占めてい
ます。


GDPシェアよりも人口シェアのほうが
大きいわけですから、中国はまだ発展途上
国ともいえますが、すでに中国は米国と
並んで、世界経済に大きな影響を及ぼす
経済大国になっているといっていいかと
思います。


この世界経済における中国の重要性は、
資源消費量の面で、特に顕著です。


たとえば、世界のコンクリート消費量の
60%、アルミニウム消費量の54%、ニッケ
ル消費量の50%、石炭消費量の49%、
銅消費量の48%、鉄鋼消費量の46%、
コメ消費量の30%、とうもろこし消費量の
22%を、中国が占めています。


これらの資源消費量シェアはいずれも、
中国の人口シェア19.5%や、経済規模
シェア13.5%を、大きく上回っています。


じつは、こうした世界の資源消費に占める
中国の比率が急速に拡大したのは、ここ
10年余り、とくにリーマンショック後の
中国の巨大な経済対策の後のことです。


ですから、こうした中国による資源の大量
消費は、実需の拡大に伴う自然な経済成長
によるものというよりは、リーマンショッ
クからの早期回復を狙った中国政府の経済
対策に乗った見込み需要、すなわち一種の
バブルであった可能性が高いのです。


そして、こうした中国の資源バブルが弾け、
経済成長率が急速に落ち込んでいることが、
現在の世界経済の先行き不安の最大の要因
といえるのです。


2010年には1041%あった中国のGDP
成長率は、2011年には9.3%、2012年には
7.76%、2013年には7.75%、2014年には
7.36%と急激に減速しており、2015年には、
6.76%(IMFによる推計)と7%を割り
込むことは確実と予想されています。


しかも、このGDPといった統計自体が、
中国の場合、かなりあやしい(成長率必達
を要求される地方政府が水増しで報告?)
と言われています。


比較的ごまかしがきかないといわれる電力
と鉱工業生産の平均値からのGDP成長率
の推計では、すでに2014年時点で中国の
経済成長率は実は6%を割っているとも
言われています。


いずれにせよ、こうした中国経済の大減速
により、これまで中国が大量に買い付けて
いた資源価格は一気に暴落しています。


8月24日に発表された、ブルームバーグ
商品価格指数(原油や金属など22品目で
構成)は、1999年以来の水準まで低下し、
資源大量消費国(つまり資源浪費国)で
ある中国経済の大減速により、商品市場で
の供給過剰が鮮明になっています。


この資源価格の暴落は、日本などの資源
消費国には慈雨となりますが、資源輸出国
や新興国などの経済には、深刻な影響を
与えています。


それは、資源価格の暴落により、資源産出
国は、輸出競争力を増して経済活性化を
図るために公定歩合を引き下げ、それが
基軸通貨である米ドルに対する資源産出国
通貨の急激な下落につながっているから
です。


たとえば、2012年当時と比べると、ロシア
ルーブルは50%以上、ブラジルレアルは
40%以上、南アフリカランドやチリペソは
30%以上の下落を示しています。


日経新聞9月5日の記事によれば、ロシア
経済は、原油や天然ガスなど輸出の7割を
占める天然資源の価格下落が主因で、個人
消費や工業生産、設備投資も軒並み減少し、
4~6月の実質国内総生産(GDP)は前年
同期比で4.6%減ったそうです。


このように、中国経済の資源バブル崩壊は、
すでに世界経済の大きな混乱要因のひとつ
となっていますが、7月から始まった中国
上海市場暴落と、それを主たる原因とする
世界各国の株式市場の暴落による損失額は
すでに相当な規模に達しています。


2015年7~9月初旬までの2ヵ月強の株式
時価総額累計損失額は、中国だけで約600
兆円、アメリカで約260兆円、香港で約170
兆円、日本で約60兆円といった具合で、
全世界ではなんと、約1500兆円にも上り
ます。


これだけでも巨額な損失ですが、中国経済
や日米欧の経済の実態を見ると、この秋の
うちには、リーマンショック級のさらに
大きな経済変動があってもおかしくないの
かもしれません。


最後まで、お読みくださり、
ありがとうございました。


田村 誠邦
9月18日付

こんにちは
田村誠邦です。





さて、今日は久しぶりに経済の話題を
取り上げてみたいと思います。


ソフトバンクとアップルといえば、日米
を代表する企業であり、株価の総額でも、
アップルはダントツの世界1位、ソフト
バンクも、日本国内でベスト10以内の
大企業です。


この日米を代表する2社の株価が、ここ
のところかなり危うい動きを見せている
ようです。


まず、アップルですが、2011年10月5日
に、カリスマ創業者であったスティーブ・
ジョブズがこの世を去ってからも、業績は
順調で、株価も2013年4月の直近の底値
から、今年2月23日の最高値まで、2.38
倍に高騰し、米国株高の主役でした。


ところが、その後、7月20日の戻り高値
132.07ドルから8月24日の安値103.12ドル
まで22%の下落を示し、その後も、株価の
戻りは弱いようです。


9月に発表されたiPhone6sも、従来の
iPhone6に比べた大きな違いは4Kの
ビデオ撮影が可能になったことやカメラの
画素数が1200万画素になったことくらい
で、期待されたような革新性はありません
でした。


初代iPhoneは、2007年1月9日に開催さ
れた "MacWorld Expo 2007" で、当時の
CEOであったスティーブ・ジョブスが突如
発表したものでした。


iPod(デジタルオーディオプレイヤー)・
通話機能・インターネット・電子メールの
機能をあわせ持つ、全く新しいタイプの
携帯型情報端末の発表に、全世界の人々が
驚かされたわけです。


それから8年余り経過し、さすがのiPhone
も、いわゆるプロダクト・サイクル(成長
曲線)の成熟期に、場合によっては衰退期
に差し掛かっているのかもしれません。


iPhoneとは別の全く新しいコンセプトの
新製品の開発がないと、アップルという
企業自体が成熟期を迎えた普通の大企業に
なってしまうかもしれないわけです。


アップルの株価や時価総額の急騰が、米国
の株価を押し上げる原動力のひとつになり、
今年の3月半ばにダウ工業株30種に採用
されたのですが、皮肉なことに、最近では
アップル株の下落が、ダウ平均株価の下落
につながっているようです。



さて、次にソフトバンクの株価について、
見てみたいと思います。


ソフトバンクの株価は、直近の底値の2012
年1月の2,050円から2013年12月27
日の高値9,320円まで、4.5倍もの高騰を
演じたのですが、その後は低迷傾向を続け
ています。


特に最近では、8月20日の7,620円から、
9月15日の6,018円まで、わずか1ヶ月
以内に21%も下落しています。


その理由としては、ソフトバンクも、業績
そのものは好調なようですが、国内の新規
加入者の減少など、アップル同様に新たな
成長市場を見出しにくい状況になっている
ようです。


ソフトバンクは、2013年7月に約2兆円
の巨費を投じて、米国第3位の携帯電話会
社スプリントを買収しましたが、その後、
2014年8月に第4位のTモバイルの買収
を試みるもうまくいかずに断念しました。


買収したスプリントの経営も、Tモバイル
にシェアを逆転されて第4位に転落する
など、必ずしもうまくいっていないよう
です。


孫社長は、立て直し策の見通しが付いたと
して、スプリントの株を109億円買い増し
していますが、これは、スプリントなどの
投資先を含めたソフトバンクグループ全体
の経営がうまくいっていると見せるための
動きのように思えます。


また、ソフトバンクグループは、孫社長が
後継者としてグーグルからスカウトした
ニケシュ・アローラ副社長が個人で約600
億円を投じて同社株を取得すると発表しま
したが、これも株価維持のための奇策だと
思われます。


第一、ニケシュ・アローラ氏が600億円の
資金をどうやって用意するのか、少なくと
もソフトバンクからの報酬では所得税等で
半分以上持っていかれますから、実に不思
議な話です。


さて、2008年9月15日に起きたリーマン
ショックからちょうど7年を経過しました
が、中国をはじめとする新興国の成長には
ブレーキがかかり、各国の中央銀行による
金融緩和策の効果も薄れつつあります。


7月以降におきた上海株式市場の暴落が、
中国だけでとまるのか、それともアップル
やソフトバンクなどの株価にその予兆が
見られるように、日米や世界経済を巻き
込む大嵐が起きてしまうのか、この秋は、
穏やかな秋とはいかないかもしれません。


最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。


田村誠邦
9月14日付

こんにちは
田村誠邦です。


今日も、比較的涼しく、過ごしやすい陽気
ですが、先週の関東北部から東北にかけて
の豪雨に加え、今朝は阿蘇山の噴火など、
日本列島にはなかなか、穏やかな秋は訪れ
ないようです。


さて今日は、私たちがビジネスを行う上で
きわめて重要な「あなたのお客様は誰なの
か?」ということについて、考えてみたい
と思います。


次の質問に対して、あなたはどう答えます
か?



「あなたの理想のお客様は誰ですか?」



普段私たちは、自分のビジネスの「理想の
お客様は誰か?」という問いについて、
おそらく考えたことがないと思います。


特に、建築や不動産などの受注産業では、
建ててくれる方、買ってくれる方、借りて
くれる方は、すべてお客様だから、特に
理想のお客様など考える必要がないように
思えます。


しかし、自分のビジネスの理想のお客様を
しっかりと定義して、その理想のお客様に
ビジネスをフォーカスしていくことは、
とても大事なことです。


マーケティング分野では、この「理想の
お客様」のことを、一般に「ターゲット」
と呼んでいます。


つまり、自分のビジネスのターゲットを
明確に定義して、そのターゲットに
フォーカスしたビジネスの仕組み、商品
やサービスの提供を考えることが、重要
だということです。



ひとつの事例をご紹介しましょう。


ある「仕出し弁当屋」さんがありました。


この弁当屋さんは、とりたてて、料理が
美味しいわけでも特徴があるわけでもなか
ったため、同業他社がひしめき合う中で、
受注を確保するために、価格競争に追われ、
その結果、多少売上が増えても、赤字に
なってしまうような状況でした。


その弁当屋さんが、あるとき、「お葬儀
専門の仕出し弁当屋」として売り出して
から、状況は全く一変し、売上はなんと
倍増になりました。


ご存知のように、通夜や葬儀のときは、
注文する側の遺族は、悲嘆にくれている
だけでなく、いろいろな手配でものすごく
忙しく、じっくりと食事の手配を考える
時間も余裕もありません。


こうしたときに日ごろから「お葬儀専門の
仕出し弁当屋」として名前を売っていれば、
仕出し弁当屋として選ばれる確率は、通常
の弁当屋より、はるかに高くなるわけです。


また、葬儀社などを重点的に営業すること
で、効率のいいルートセールスが可能に
なるわけです。


さらに、提供する商品やサービス自体も、
お葬儀専門に絞ることで、他社との差別化
を図ることができ、以前よりも、はるかに
評判がよくなったそうです。


つまり、この弁当屋は、理想のお客様
(ターゲット)を、一般の消費者全般から、
通夜や葬式が起きたときの遺族や葬儀社に
絞ることで、提供する商品やサービスの
質も向上し、売上が倍増したわけです。


このように、理想のお客様を、できるだけ
狭い範囲に絞ることによって、そのお客様
に対する商品やサービスの質も上がり、
売上も向上することが可能になるのです。


それでは、もう一度質問です。


「あなたの理想のお客様は誰ですか?」


最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。


田村誠邦
9月11日付


こんにちは
田村誠邦です。


降り続いていた雨もあがり、久しぶりに
青空が広がって、気持ちのいい朝です。


さて、このメルマガでは、これまで数回に
わたって、建築や不動産分野で、クライア
ント(お客様)に選ばれる存在になるため
には、何が必要かというテーマについて、
取り上げてきました。


その中で、最も重要な点を要約すると、
次の2つの点になります。


第一に、お客様に継続的にあなたのところ
に相談に来て仕事を依頼してもらうには、
「エジュケーショナルセールス」という、
見込み客を教育しながら理想の顧客に育て
上げるセールスプロセスが最も有力な方法
であるということです。


第二に、住まいや建築に関係する不動産や
金融、法律、税務などのノウハウや実務知
識を身に付けることは、広く建築・不動産
分野の中で仕事をしていくうえで、お客様
に信頼され選ばれる存在になるために、き
わめて重要なポイントだということです。



前回メルマガでご紹介した
「クライアント・アドバイザー養成塾」は、
建築・不動産分野の実務者を対象として、
上記の二つの点についてのスキルと実務
ノウハウを身に付ける、実践的な場として
開発し、ご用意したものです。



今日はこの「クライアント・アドバイザー
養成塾」の3つ目的と、その具体的なプロ
グラムについて、お話ししたいと思います。


「クライアント・アドバイザー養成塾」の
第一の目的は、お客様から信頼され選ばれ
る存在になるような建築・不動産分野の
プロフェッショナルを育てることにありま
す。


私は長年、建築と不動産の二つの分野が
重なる境界領域での仕事をしてきましたが、
お客様にとって、建築と不動産の両分野の
境目は存在せず、両分野を一体的に捉えた
プロのアドバイスやコンサルティングが、
求められていることを実感しています。


しかしながら、建築分野の専門家には、
不動産分野の専門知識はほとんどなく、
また逆に、不動産分野の専門家には、建築
分野の専門知識がほとんどないというのが
実状です


たとえば、二世帯住宅を建てたい人に
とっては、二世帯住宅のプランニングや
デザインだけでなく、資金調達の方法や
二世帯住宅を建てる際の相続時の留意点
などについても、プロとしてのアドバイス
が欲しいはずなのです。


設計者や工務店などの建築のプロにとって
は、建築そのものの技術やデザイン能力が
重要であることは言うまでもありませんが、
それだけではお客様の本当のニーズ(悩み
や不安の解消、願望の実現)を満たすこと
は難しい時代なのです。


そうした意味から、税務、法務、ファイナ
ンス、事業収支など、建築と不動産の境界
領域に関するプロの実務知識やノウハウを
学ぶ場を、ぜひ用意したかったのです。


「クライアント・アドバイザー養成塾」の
第二の目的は、設計者や工務店経営者、建
築や不動産分野の営業マンなどの受講者に、
お客様に選ばれ仕事を継続的に創り出す究
極の方法=「エジュケーショナルセールス」
の手法を身につけていただくことです。


デザイン能力は優れているのに、仕事を
受注できずに困っている設計事務所や、
技術力は確かなのに下請け仕事に甘んじ
ている工務店などが多くあります。


もし、お客様に選ばれ、仕事を継続的に
創り出す方法があるとしたら、その方法を
知りたいとは思いませんか?


そのためには、第一の目的に掲げたような、
建築と不動産の境界領域に関するプロの
実務知識やノウハウに加えて、お客様を
集め育てるノウハウとスキルが必要であり、
それらを身につける場が必要なのです。


「クライアント・アドバイザー養成塾」の
第三の目的は、高い志を持った人々の
自走するコミュニティを創ることです。


上記に掲げたような「養成塾」の目的は、
一朝一夕に達成できるものではなく、
同じ志を共有する仲間とのコミュニティが
あって、はじめてその実現が可能になる
ものと考えられます。


また、養成塾で扱う実務知識やノウハウに
ついても、極めて幅広い分野に及んでおり、
各分野の専門家とのネットワークによる
支援や、最新の情報によるアップデートが
なければ役に立たなくなる恐れがあります。


単なるセミナーではなく、「養成塾」という
私塾の形態にしたのは、卒塾後のフォロー
アップや、専門家とのネットワークに加え、
同じ志を共有する仲間と切磋琢磨しあい
ながら取り組むことで、より大きな成果が
生まれるものと、期待できるからです。



さて次に、その具体的なプログラムですが
「クライアント・アドバイザー養成塾」は、
大きくは、【ノウハウ編】と【実践編】に
分けて実施します。


今回、2期生を募集する【ノウハウ編】で
は、不動産、税務、法務、ファイナンス、
不動産評価、事業収支、事業スキームなど
に関するプロのノウハウの基礎を体系的に
学ぶことができます。


来年春に第2期を開講予定の【実践編】で
は、主として、集客から契約までの、お客
様を育てプロジェクトを構築する一貫した
仕組み「エジュケーショナルセールス」の
手法について学び、身につけることができ
ます。



「クライアント・アドバイザー養成塾」の
具体的な中身については、下記のサイトを
ご覧ください。

http://www.abrain.biz/tamura/



最後にとても重要なお知らせです!


もし、あなたが、
「クライアント・アドバイザー養成塾」に
少しでもご興味がおありでしたら、ぜひ
「クライアント・アドバイザー超入門
セミナー」に、ご参加されてはいかがで
しょうか?


「超入門セミナー」は、AP渋谷道玄坂に
おいて、下記日程で、いずれも
18:30~21:00に、開催いたします。
(終了後の懇親会もあります)


・A日程:9月30日(水)
・B日程:10月02日(金)
・C日程:10月07日(水)
・D日程:10月14日(水)


参加費用は3千円ですが、
この「超入門セミナー」だけでも、
今求められている「建築と不動産の境界
領域の知識」や「お客様に選ばれ、仕事を
継続的に創り出す方法」の秘密の一端を
知ることができるはずです。


「クライアント・アドバイザー超入門
セミナー」の申込みは、下記サイトの
超入門セミナー申込みボタンから
お申し込みください。

http://www.abrain.biz/tamura/


また、この養成塾に関するご意見やご質問
がございましたら、ぜひ、お寄せください。


大変長くなってしまいましたが、
最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。


田村誠邦

9月7日付
こんにちは
田村誠邦です。


9月も第2週に入りましたが、相変わらず
はっきりしない空模様が続き、今朝は、
ちょっと肌寒いくらいの陽気です。


さて、今日も前回の続きで、建築や不動産
分野で、クライアント(お客様)に選ばれ
るような存在であり続けるためには、何が
必要かというテーマについて、取り上げ
ます。


前回お伝えしたように、住まいや建築に
関係する不動産や金融、法律、税務などの
ノウハウや実務知識を身に付けることは、
広く建築・不動産分野の中で仕事をして
いくうえで、お客様に選ばれるために、
きわめて重要なポイントと考えられます。


さて、今日は、このことに関連する私の
個人的な経験について、お話ししたいと
思います。


いまからもう、35年も前、私がまだ20代
半ばだったころの話です。


当時私は、準大手ゼネコンの施工担当の
職員でした。


大学の建築学科を出た後、ゼネコンに入社
し、見積部で建築のコストについて、ある
程度の知識を身に付けた後、施工担当職員
として2つの現場を経験し、3つ目の現場
として、大宮西口の共同ビル事業の現場に
配属されました。


当時の大宮駅西口地区は、まだ戦後すぐに
建てられた古い木造家屋や小さな店舗など
が細い路地に密集し、現在からは全く想像
できないような状態でした。


その大宮駅西口で、80名近い地権者の土地
を土地区画整理事業で短冊状に集約して、
1ha近い整形の土地を生み出し、その敷地
上に、地下3階地上13階の大型商業施設
(現そごう大宮店)を建設するという大型
プロジェクトでした。


初めての大型プロジェクトに心を躍らせて
いたのですが、現場に配属されてびっくり
したのは、この事業に参加する地権者間の
合意形成がまだ十分でなく、肝心の工事は、
すぐには始まらないという状況だったの
です。


プロジェクトを実現するには、まず、80名
近い地権者の同意を得ることが必要という
ことで、現場の施工担当の職員だった私も、
地権者の同意取得の手伝いをすることに
なりました。


そこで体験したことは、大学の建築学科を
出て、ごく普通の建築技術者としての道を
歩み始めていた当時の私にとっては、全く
予想外のことの連続でした。


店が閉まってからようやく会えた飲食店を
営んでいた地権者からは、この事業に参加
すれば、毎月、どのくらいの売り上げが
上がり、どのくらいの収益を得られるかと
聞かれました。


別のある地権者からは、この事業に参加し
共同ビルの床を取得した方がいいのか、
それとも今すぐ土地を売却した方が得なの
か、その時の税金はどうなるかといった
ことを聞かれました。


また、ある広めの土地を持っていた地権者
からは、相続時の評価額はどうなるのか、
相続対策として共同ビルに参加した方が
得なのかといった質問を受けました。


こうした地権者の質問に対して、当時の
私は、残念ながら、全く答えを用意でき
ませんでした。


つまり、大学の建築学科を出て施工現場を
少し経験しただけの当時の私には、クライ
アントの本当のニーズ(悩みや不安の解消
や、願望の実現)に対して、全く応えられ
ないという現実を突きつけられたのです。


当時の私は、建築学科を出て一級建築士の
資格を取り、現場の経験を積んで自らの建
築技術を高めていくことで、クライアント
の役に立てると単純に思っていたのですが、
建築の技術だけでは、建築プロジェクトを
実現することはできなかったのです。


この経験を経て、私は、建築の周辺分野、
即ち、すなわち、不動産取引の実務、法律、
資金計画、税務、相続、不動産評価などの
実務知識やノウハウを身に付け、建築プロ
ジェクトを実現できるようになりたいと
思ったのです。


そのために、現場の実務の合間を縫って
夜学に通い、3年余りの期間をかけて、
不動産鑑定士の2次試験に通り、その過程
で、不動産の実務や法律、税務などの基礎
知識を身に付けることができました。


更に、支店の施工担当から本店の開発企画
部門に移り、建築プロジェクトを創り出す
仕事に携わり、その実務を通して、不動産
や法律、税務などの一流のプロ達と仕事を
行うという貴重な経験を積むことができま
した。


また、不動産鑑定士の実務経験を積むため、
某信託銀行の不動産部に出向し、3次試験
に合格し、不動産鑑定士の資格をとるとと
もに、不動産と金融という全く異分野の
世界を垣間見ることができました。


その後、ゼネコンから都市計画系の事務所
に移り、1997年に独立し、株式会社アーク
ブレインを立ち上げたわけですが、その間
一貫して、クライアントのニーズに向き
合い建築プロジェクトを立ち上げる仕事を
してきました。


同時に、1990年から10年間、建築プロジ
ェクトの企画に関わる記事を、「月間建築
知識」に連載した他、「建築企画のフロン
ティア」から始まり、最近の「都市・建築・
不動産企画開発マニュアル入門版」など、
十冊余りの本を出してきました。


また、1994年から2007年まで、森ビル主
催のアーク都市塾で、実践不動産ビジネス
コースの専任講師として、延べ500名以上
のプロを養成するなど、約30年間に亘り、
延べ15,000人以上の方に、建築周辺分野
の実務知識やノウハウを教えてきました。


こうした私のキャリアは、実はすべて、
大宮西口の現場で体験した、クライアント
の本当のニーズ(悩みや不安の解消、願望
の実現)に応えられなかったという原体験
からスタートしたものです。


クライアントの本当のニーズに応えるため
に、建築に関連する不動産や金融、法律、
税務などの分野の実務知識やノウハウを
身に付けたいという、その時の気持ちから
始まったものなのです。


前回のメルマガでも述べたように、設計者
など建築系の専門家の多くは、大学や専門
学校でも、実務に入ってからも、このよう
な不動産や金融、法律、税務などの分野に
ついては、しっかりと学ぶ機会はほとんど
なかったものと思われます。


だからこそ、こうした分野に関するお客様
の疑問や不安を解決することができれれば
お客様からの信頼が一気に高まることは
私自身の30年以上にわたる経験からも
確実なことであり、お客様から選ばれる
ためのキーポイントとなるはずなのです。


こうしたことから私は、約2年前に、これ
までの経験やノウハウの全てをつぎ込み、
建築や不動産分野でクライアント(お客様)
に選ばれる存在になるための実務ノウハウ
とスキルを身に付けることができる「私塾」
を立ち上げました。


それが、
「クライアント・アドバイザー養成塾」
です。


そして、今回約2年ぶりに、さらに一段と
バージョンアップして、「クライアント・
アドバイザー養成塾第2期」の募集を開始
したいと思っています。


この続きは、次回のメルマガで、詳しく
ご紹介したいと思います。


最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。


田村誠邦
9月2日付
こんにちは
田村誠邦です。


降り続く雨で、涼しいのはいいのですが、
これだけ続くと、さすがに水害や作物の
生育が心配になります。


さて、前回から、クライアント(お客様)
に選ばれるような存在であるためには、
何が必要かというテーマについて取り上げ
ています。


前回は、マイホームを建てたいという個人
を主たるお客様とする設計事務所を例に、
このテーマについて考えてみました。


そして、あなたがクライアント(お客様)
に選ばれるような存在であるためには、
言い換えれば、お客様があなたの事務所を
訪れて、あなたにマイホームを建てること
を相談し、あなたに設計業務をお願いする
には、2つのことが必要だと述べました。


第一に、相談に来てもらう(集客)には、
お客様があなたのことをよく知っている
ことが必要であり、第二に、設計業務を
発注してもらう(クロージング)には、
お客様とあなたの間に信頼関係が存在し
ていることが必要だということです。


いくら、デザイン力や設計技術を磨いてい
ても、あなたを知らないお客様は、あなた
に相談に来ることはありませんし、あなた
とお客様の間に信頼関係が生まれない限り、
設計業務を受注することはないわけです。


次に、お客様にあなたの存在を知って
もらい、相談に来てもらうためには、どう
すればいいのかというテーマについて、
取り上げました。


このテーマについて、多くの設計者や設計
事務所がこれまで行ってきた2つのこと、
すなわち、自分の設計した住宅などの作品
を雑誌に載せることや、ホームページで
作品を紹介することは、有効性はあるもの
の、これだけでは不十分だと述べました。


それではどうすればいいのか?というのが、
今日のテーマです。


まず、お客様に知っていただいて、ご相談
に来てもらうために必要なことから、考え
てみましょう。


この場合、集めたいお客様は、あなたの
ことをまだ知らない、あるいは、あなたの
ことをよく知らない方です。


通常、こうしたお客様のうち、すぐに家を
建てたいと考えているお客様を集めようと
すると思います。


つまり、家を建てたいというニーズが顕在
化しているお客様です。


するとどうなるかといいますと、こうした
お客様は、すでに、住まいづくりに関する
いろいろな情報を集めており、ハウスメー
カーの住宅展示場や、ホームビルダーの
モデルルームなどを見ている可能性が高い
のです。


あるいは、すでに知り合いの建築家や設計
事務所に相談をしたり、建築関係の知人に
相談したりしているのかもしれません。


このような状況で、すぐに住宅を建てたい
と考えているお客様が、雑誌やホームペー
ジに載ったあなたの事務所の作品だけを
見て、見ず知らずのあなたの事務所に、
紹介もなく相談に来る可能性は、ほとんど
ないと考えられます。


つまり、家を建てたいと考えている、言い
換えればニーズが顕在化しているお客様で、
あなたのことをほとんど知らない方を、
あなたの事務所に相談に来させる方法は、
よほど宣伝広告費を掛けない限り、ほとん
どないと言えるでしょう。


(実は、一つ有力な方法があるのですが、
これについては、また別の機会にお話し
したいと思います)。


それでは、どうすればいいのでしょうか?


それは、いずれ家を建てたいがまだ今では
ないと思っている方や、家を建てることに
は関心があるものの、どうすればいいのか
迷っている方、つまり、ニーズがまだ完全
に顕在化していないお客様に、あなたのこ
とを知ってもらう機会をつくることです。


その場合、雑誌やホームページへの作品の
掲載という従来型の方法もありますが、
もっと、フェイス・トゥ・フェイスに、
直接会って話す機会を持つことが、きわめ
て有力な方法になります。


ここまで書くと、きっと次のような疑問が
わくことでしょう。


見ず知らずのお客様、あるいは、あなたの
ことをよく知らないお客様で、かつ、家を
建てたいというニーズがまだ顕在化して
いないお客様と、直接会って話す機会など、
どうすればつくれるのでしょうか?


じつは、一つだけ、しかも極めて有力な
方法があります。


それは、セミナーを開くということです。


えっ、セミナーを開くだって?そんなの
ムリに決まっている!


きっと、こうお考えの方も多いのではない
かと思います。


しかし、あなたのことをよく知らない、
かつ、家を建てたいというニーズがまだ
十分には顕在化していないお客様と、
あなたが直接会える機会を持つには、
セミナーを開くことが、最も有力な方法
なのです。


ただし、この方法には一つ注意すべき点が
あります。


それは、セミナーのテーマは、本業ど真ん
中のテーマではないほうがいいということ
です。


設計者や設計事務所の例でいえば、どんな
家を設計するかとか、これまで、あなたが
設計してきた家を紹介するといった本業
ど真ん中のテーマではなく、本業(この例
では設計や家づくりのハードの話)の周辺
の話題をテーマにすることが大切です。


なぜなら、本業ど真ん中の話では、お客様
から、売り込みをされるのではないかと
警戒されますし、まだ家を建てたいという
ニーズが十分に顕在化していないお客様を
集めるには、少々、直接的過ぎるからです。


具体的に言えば、住まいづくりに不可欠な
不動産の知識(土地の選び方など)とか、
住まいの資金計画の話、住まいに関わる税
金の話、住まいと相続の話など、住まいを
取り巻く様々なテーマです。


そして、こうした住まいや建築の周辺分野
の知識やノウハウは、実際に住まいづくり
や建築プロジェクトの実現に、大変役立つ
ものですので、実は、家を建てたいという
お客様のニーズを顕在化させるためにも、
きわめて重要なテーマなのです。


この続きは、次回のメルマガでご紹介する
ことにしましょう。


最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。


田村 誠邦
8月31日付

こんにちは
田村誠邦です。


今日も朝から雨模様。
秋雨前線の影響か、先週来、ぐずついた
天気が続いています。


その分、夏の暑さが和らぎ、過ごしやす
くなっているのは、助かります。


さて、本日から、世界経済や景気などの
動向に左右されずに、常にクライアント
(お客様)に選ばれるような存在である
ためには、何が必要かというテーマに
ついて掘り下げて行きたいと思います。


たとえば、あなたが、個人住宅の設計を
中心に、設計業務を行っていたとします。


この場合、あなたのクライアントである
お客様は、マイホームを建てたいと考えて
いる方になります、。


このお客様は、どんな設計事務所に、
設計の相談をしたり、設計の仕事を
お願いしたりするのでしょうか?


もちろん、お客様のイメージに合った
デザインをしてくれる事務所であること
は、お客様が設計事務所を選ぶ大きな
要素のひとつでしょう。


設計の実績や事務所の評判も、当然、
お客様が設計事務所を選ぶときの大きな
要素のひとつだと思われます。


中には、設計料の安い事務所を探したい
というお客様もきっといるでしょう。
(ただし、こんなお客様は、こちらから
願い下げかもしれませんが)


しかし、多くのお客様はどんな設計事務所
にお願いすればいいのか、実際のところ、
ほとんどわかっていないのではないので
しょうか?


誰に相談すればいいのかわからないので、
たまたま知っている建築家や設計事務所に
相談したり、建築関係の知り合いに相談
したりするケースがほとんどでないので
しょうか?


実際に、全く知らないし紹介でもない飛び
込みのお客様よりも、お互いに知っている
人や、しっかりとした紹介のあるお客様の
方が、単なる相談で終わらずに、その後の
受注につながるケースが多いのではないで
しょうか?


言い換えれば、お客様があなたに相談に
来るためには、少なくともお客様が、
あなたを知っていることが必要であり、
さらに、あなたに設計業務を発注するため
には、あなたとお客様の間に、何らかの
信頼関係があることが必要なのです。



いくら、デザイン力や設計技術を磨いてい
ても、あなたを知らないお客様は、あなた
に相談に来ることはありませんし、あなた
とお客様の間に信頼関係が生まれない限り、
設計業務を受注することはないのです。


マーケティング的には、前者(相談に来て
もらうこと)を集客、後者(業務を発注し
てもらうこと)をクロージングといいます
が、まずここでは、集客(見込み客を集め
ること)に焦点をあてて話を進めましょう。


それでは、お客様にあなたの存在を知って
もらい、相談に来てもらうためには、どう
すればいいのでしょうか?


この問いに対して、多くの設計者や設計事
務所は、自分の設計した住宅などの作品を
雑誌などに載せることによって、対応しよ
うとしています。


この古典的な方法は、いまでも有効では
ありますが、建築系の雑誌や住宅雑誌の
廃刊が相次ぎ、発行部数が激減している
現状では、これだけでは不十分な方法と
考えられます。


そもそも、自分の作品が載っている雑誌を
お客様が手にする可能性もそれほど多くは
ありませんし、その中で選ばれる可能性は
もっと少ないと考えられるからです。


マイホームを建てたいと考えているお客様
が集め得る情報は膨大であり、その中には、
住宅展示場のようなリアルな媒体もありま
すし、工務店やハウスメーカー、ホームビ
ルダー、マンションデベロッパーなど競合
する業態の宣伝媒体もあります。


だからといって、設計者や設計事務所に、
競合業態のような広告宣伝費をかける余裕
など、もちろんないでしょう。


それでは、自分や事務所のホームページ
などで、設計した住宅などの作品を見て
もらうという方法はどうでしょうか?


この方法も、もちろん、やらないよりは
やった方がいいでしょうが、そもそも、
検索エンジンにひっかからない限りは、
お客様の目に触れることはほとんどない
はずです。


ですから、普通に、自分の作品を掲示して
いるだけでは、ほとんど効果は上がらない
と思われます。


それではどうすればいいのか?


この続きは次回のメルマガでお話ししたい
と思います。


最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。
8月26日付

こんにちは

田村誠邦です。


台風5号崩れの低気圧のせいか、朝から
8月とも思えないほどのヒンヤリした気候
です。


さて、昨日、中国の上海総合指数が節目と
見られていた3000の大台を割り込み、
6月の高値からの下落率は、43%にも達し
ました。


一説には、リーマンショック後の景気対策
を上回るほどの資金をつぎ込んで国家政策
として株価回復を図ろうとした中国政府の
もくろみも、市場のエネルギーの前には、
やはり通じなかったようです。


こうした中国市場の変調を受けて、ニュー
ヨークのダウ平均株価は16000ドルの
大台を切り、日経平均株価も18000円の
大台を割り込むなど、世界同時株安の様相
を見せ始めています。


まさに、日本の1990年1月からのバブル
崩壊を思わせるような中国市場のバブル
崩壊が今始まり、それが世界各国の市場に
波及しつつあるのかもしれません。


こうした世界市場の変調は、日本の景気に
も当然大きな影響を与えるでしょうが、
私たちは、それに備えて何を行なえばよい
のでしょうか?


結論から言えば、景気動向に右往左往せず
に、クライアント(お客様)から選ばれる
ような存在であり続けるということだと
思います。


「何だ、そんなの当たり前じゃないか」と
思われた方も多いことでしょう。


建築・不動産分野を例にとってみても、
東京オリンピックや政府の経済対策などに
より、当面の新築需要は多いとしても、
長期的には人口減少や世帯減少に伴い、
新築需要は低減していくことが確実です。


世界同時株安などの世界経済の動向が、
その時々の日本経済に様々な影響を与える
でしょうが、国内の長期的な需要動向には
それほど大きな影響を与えることはないと
思われます。


一方で、国内景気や世界経済の動向と、
私たちが日ごろ、お客さまから仕事を受注
する金額や勤めている会社の売上は、必ず
しも連動するものではありません。


つまり、マクロの景気動向と、ミクロの
私たちの経済活動は、関連性はあるものの、
直接的に連動するものではないのです。


ですから、私たちが、常に、クライアント
(お客様)から選ばれるような存在であり
続けることができれば、世界経済の変動や
景気動向などに右往左往する必要はないと
言えるのです。


それでは、常に、クライアント(お客様)
から選ばれるような存在であり続ける
ためには、一体どうすればいいのか、
次回からこのテーマについて、掘り下げて
行きたいと思います。


最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。



田村 誠邦
8月21日付


こんにちは
田村誠邦です。


今日も朝から曇りがちですが、いつもより
ちょっと涼しく、秋の気配を感じさせます。


さて、ARC通信では6月26日、7月6日、
7月21日と3回にわたり、「日本経済の
景気回復は本物か?」という視点から、
中国、欧州、米国のそれぞれの国の経済
状況に見られる不安要素について取り上げ
てきました。


今回はその最終回として、日本経済自体の
実情について、探ってみたいと思います。


さて、このシリーズを開始した6月末時点
では、わが国の第一四半期GDP成長率が、
年率2.4%増、3月期の東証上場企業の決算
が43兆円と過去を記録し、東証一部の
株式時価総額も史上最高となるなど、日本
経済は極めて順調に見えていました。


実際、6月24日の日経平均株価終値は、
前日比58円高の20,868円と、2000年の
ITバブル前の高値を上回る18年半ぶりの
高値を付け、翌25日の日経新聞では、日本
株には割高感はなく、下がりにくい状況が
続くと報じていました。


しかし、その後の世界経済の状況を見ると、
6月末のギリシャショックから始まり、
7月9日の上海株式市場の暴落、その後の
中国政府のなりふり構わぬ株価対策や通貨
の切り下げなど、大きな事件が相次いで
起こっています。


一方、日経平均では、6月24日の高値の後、
7月9日に上海市場の暴落を受け、一時は
19,115円の安値を記録したものの、その後
2万円台を回復し、上海市場の影響で株価
下落が続く各国の株式市場に比べると、
比較的堅調に推移していました。


政府の見方も強気で、8月14日の閣議に
提出された2015年度の経済財政白書は、
副題を「四半世紀ぶりの成果と再生する
日本経済」となっています。


白書の第1章のタイトルは「景気動向と好
循環の進展」で、「企業の収益改善が雇用の
増加や賃金上昇につながり、それが消費や
投資の増加に結び付く『経済の好循環』が
着実に回り始めている」と述べています。


しかしながら、この日本株の比較的堅調な
足取りや経済財政白書の見解も、実際の
日本経済状況を反映しているかといえば
全くそうではなく、日本経済の現状は、
実は崖っぷちなのかもしません。


いくつか論拠を挙げてみましょう。


内閣府が17日に発表した今年第2四半期
(4~6月期)のGDP成長率(1次速報値)
は、実質▲0.4%(年率▲1.6%)と
3四半期ぶりのマイナス成長となったとの
ことです。


内訳をみると、国内需要は▲0.1%、外需は
▲0.3%とともにマイナスで、特に民間最終
消費支出が▲0.8%と低迷していることと、
輸出が▲4.4%と大きな現象を示している
ことが、GDP全体でマイナス成長となった
大きな原因のようです。


民間消費支出の低迷については、消費税の
増税の影響という話がよく出ますが、今回
の▲0.8%は、消費税増税後の対前年比の
数字であるので、消費税増税の影響はない
はずです。


つまり、消費税増税から1年余り経っても
民間消費マインドは、一考に明るくなって
いないという現状を示しているのだと考え
られます。


消費マインドに直結する雇用者報酬でみて
も、この4~6月期は、名目では対前年比
0.2%増ですが、実質では▲0.2%とマイナ
スを示しています。


今年の春闘では、政府が率先して民間企業
の賃上げを促すという異例の行動を取り、
その結果として賃上げ率が顕著に引き上げ
られたと喧伝されましたが、実際には賃上
げを実施できたのは大企業だけで、雇用者
報酬全体ではマイナスだったわけです。


外需に目を転じても、中国景気の下振れで
輸出は▲4.4%と6四半期ぶりに減少し、
輸入も国内消費の縮小で2.6%減となり、
差し引きの外需のGDP寄与度は▲0.3%と
なっています。


また、近頃よく話題になる訪日外国人観光
客によるインバウンド消費は6.1%増えて
いますが、GDP寄与度は0.03%と、国内
の景気全体を押し上げるほどの力は、明ら
かにないようです。


注目すべきことは、こうしたGDPの数字
は、たまたま同時進行でおきている原油安
により、相当大きなゲタをはかせてもらっ
ている可能性が高いということです。


WTI原油先物価格は、昨年8月には、
1バレル当たり107ドル近い値段でしたが
現時点では41ドルと、約62%も下落して
います。


一方、円は、昨年8月には1ドル=102円
程度でしたが、黒田日銀と安倍内閣による
円安政策により、現時点では124円近辺と
約18%程度下落しています。


もし原油安がなければ、輸入総額は遥かに
大きくなっていたはずで、外需のマイナス
も、遥かに大きな数字となり、GDPのマイ
ナスも遥かに大きくなっていたはずなの
です。


ここにきて明らかなことは、消費税増税の
影響がなくなったはずの今年4月以降に
ついても、日本経済は、民間消費と外需が
ともにマイナスと景気低迷が続いているこ
とと、原油安がなければ日本経済は最悪の
状況になっていただろうということです。


つまり「経済の好循環が着実に回り始めて
いる」という経済財政白書の公式見解とは
全く異なる苦しい状況に、いま日本経済は
陥りつつあるのです。


今年4~6月期の実質GDPの値は、黒田日
銀による異次元金融緩和が始まった直後の
2013年の4~6月期のGDPの値とほぼ同じ
であり、経済成長政策としては、異次元
金融緩和もアベノミクスもほとんど成果が
上がっていないのです。


2014年現在の日本のドル換算の国民一人
当たりGDPの値は36,331ドル、世界27位
でしたが、これは10年前の36,444ドルと
ほぼ同じ数字で、そのときの順位は世界
16位でした。


2015年も2014年とほぼ同額のGDP490兆円
(名目)と仮定した場合、現在のドル
円レート(1ドル=124円)に換算し、8月1
日現在の日本の総人口推計値1億2689万
人でわると、1人当たりのGDPは31,142
ドルと計算されます。


これを、2014年のドル換算の国民一人
当たりGDPのランキングに当てはめると
29位となり、28位のイタリアに約4000
ドル劣り、30位のスペインよりわずかに
上で、31位の韓国(28,100ドル)にも
肉薄されているという状態です。


国の経済的な豊かさを表す指標には、いろ
いろあるでしょうが、ドル換算の国民一人
当たりGDPというのは、最もわかりやす
く客観的な指標です。


その指標で、経済破綻をうわさされている
スペイン並み、お隣の韓国にも抜かれそう
という状態を、皆さんはどう考えますか?


一部の輸出企業の利益に貢献しても、国民
一人当たりの豊かさを、これ以上毀損する
円安政策やアベノミクスは、明らかに、
国民を不幸にし、国を危うくする誤った
政策ではないでしょうか?


最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。



田村 誠邦



編集後記


今日のメルマガの記事の主要部分は、
昨晩書いたのですが、今朝の新聞報道を
みると、ニューヨークダウ平均株価が、
前日比358ドル04セント(2.1%)安の
1万6990ドル69セントと心理的節目の
1万7000ドルを下回ったようです。


2014年10月29日以来の安値であり、
下げ幅も2011年11月9日(389ドル安)
以来ほぼ3年9カ月ぶりの大きさだった
とのことです。


これを受けて、東京株式市場の日経平均
株価も、2万円の大台を割り、400円近い
下げ幅で推移しています。


中国経済をはじめとする、世界経済の
減速化がしだいに鮮明になりつつあり、
いよいよこの秋は、リーマンショック以来
の、世界同時不況に備えないといけないの
かもしれません。
8月17日付

こんにちは
田村誠邦です。


今日は朝から雨模様、前線の活動が活発な
ので、大雨への警戒も必要なようです。


さて、お盆休みも終わり、今日からまた、
日常の慌ただしい日々が始まるという方も
多いかと思います。


皆さんはこの夏休み、いかがお過ごし
でしたか?


私は、家族6人(妻と息子夫婦、孫2名)
で、ハワイに行ってきました。


10年ぶりのハワイでしたが、新しい施設が
次々と誕生し、ホノルルのまちは夜遅く
まで人であふれており、相変わらずの
賑わいでした。


はじめに訪れたのは、オアフ島西海岸の
コオリナ地区にあるアウラニ・ディズニー・
リゾートです。


ディズニーが経営する高級リゾート施設
ですが、その売りはミッキーマウスなどの
ディズニーキャラクターたちと、リゾート
内の各所でふれあえ、一緒に写真を撮った
り、握手したりできるというところにある
ようです。


メインレストランには、毎朝、ミッキーや
ミニー、ドナルドなどのキャラクターが
登場し、食事をしているお客さんの席の
間を回って、一緒に写真を撮ったり、ハグ
したりできます。


また、プールサイドや広場などリゾート内
の各所にも、ディズニーキャラクターが
突然登場するので、そのたびに、子ども
たちの歓声や人だかりができるのです。


流れるプールやプライベートビーチ、数
あるアクティビティなどは、他のリゾート
施設とそれほど変わらないのですが、
デズニ―・キャラクターの存在と、施設の
スタッフのサービスの質と笑顔が、この
リゾートを特別なものにしていました。



コオリナからホノルルに戻り、久しぶりに
ヒルトン・ハワイアン・ビレッジに泊まり
ました。


ここは、アウラニとは全く異なる都市内の
大規模ホテルで、足元周りは様々な店舗に
あふれ、夜遅くまでハワイアンショーの
音楽が鳴り響き、都会的で便利でにぎやか
なところです。


もともと家族連れでしたので、ホテル内で
過ごす時間は少なく、様々なオプショナル
ツアーを入れており、その中に、タートル
ベイという静かなプライベートビーチを
半日がかりで訪れるツアーがありました。


タートルベイという名前でわかるように、
ここはウミガメの繁殖地で、運がよければ、
静かな入り江の中で、ウミガメに会える
かもしれないということで、期待して、
ホテル前からバスに乗り込みました。


バスは西海岸に向かって40分ほど走り、
昨日まで泊まっていたアウラニ・ディズニ
ー・リゾートの建物が見えてきて、なんと、
アウラニから歩いていけるようなところで
停車したのです。


おいおい、こんなことなら、アウラニに
泊まっていた時に歩いてこれたじゃないか
とオプショナルツアーを主催した旅行社に
突っ込みを入れたくなるところでしたが、
実際のタートルベイについてみると、そう
した不満はいっぺんに解消しました。


波の穏やかな極めて透明度の高い小さな
入り江で、砂浜から20mくらいは腰くらい
までの深さでしたので、小さな子供たちが
遊ぶには最高の環境でした。


到着してから10分くらいしたとき、
入り江の中ほどから歓声が沸き、急に
人だかりができてきました。


ウミガメが現れたようです。


急いでビデオカメラを持って、現場に
駆けつけてみると、体調1.5m近い
大きなウミガメが悠々と泳いでいるの
でした。


その後も、ウミガメは何回も現れ、
わが家の孫たちも、その姿をしっかりと
見ることができました。


ハワイ語ではウミガメのことを、honu
(ホヌ)といい、海の守り神、幸せを運ん
でくれると言われていて、とても大切に
されています。


実際に、ウミガメが白い砂地の透明な入り
江の中を、悠々と泳ぐ姿を見ると、とても
ゆったりとした幸せな気分になり、ハワイ
の人たちが、ウミガメのことを大切にして
いる気持ちがよく分かりました。


このタートルベイでは、沖合に群をなして
泳ぐドルフィンを見ることもでき、今回の
ハワイ旅行では、最も印象的な場所でした。


さて、久しぶりにハワイを訪れてみて、
やはりハワイは、世界を代表するリゾート
であると、再認識しました。


きれいな海とそこに棲む多様な生きものを
はじめとする豊かな自然環境、1年を通し
て温暖な気候、整ったリゾート施設や
ショッピング施設、アクティビティの数々、
地域性あふれた食事の美味しさなど、他の
追随を許さない魅力にあふれています。


そして何よりも、現地の人たちのフレンド
リーな笑顔、当たり前ですが、簡単にまね
のできないハワイの魅力だと思います。


リーマンショックからの景気回復が7年
近く続くアメリカの中でも、高所得者の
リゾート地としてのハワイの地位はゆるぎ
なく、高級住宅地として知られるカハラ
地区では、中古住宅の売値が最低でも百万
ドル以上、5千万ドルの物件もあるとか。


たったひとつ、今回のハワイ旅行で気に
なったのは、物価が高かったこと。


スタバで簡単なパンとコーヒーの軽食を
とっても、10ドルはかかります。


もっとも、この物価の高さを感じる最大の
理由は、この2年ほどの間での円安の進行
に他なりません。


1ドル80円時代であれば、10ドルの食事
も800円、現在の1ドル125円だと、10ドル
の食事が1250円と、1.5倍以上にもなる
わけです。


ドル表示の現地の物価はそれほど変わって
いないのかもしれませんが、安倍内閣と
黒田日銀のおかげで、なにか日本人が
すごく貧しくなったように感じたハワイ
旅行でした。
8月6日

こんにちは
田村誠邦です。


相変わらず、連日35度を超えるような
猛暑が続いていますが、お盆休暇までもう
一息、元気に夏を乗り切りたいですね。


さて今日も一昨日に続いて、新国立競技場
建設問題を取り上げてみたいと思います。


今回の新国立競技場建設をめぐる一連の
ゴタゴタについては、すでに様々な報道や
議論がされていますので、読者の皆さんも
その概要はご存知だと思います。


しかし、誰に責任があったかという責任論
から離れて、何が一番問題だったかといえ
ば、それは、「新国立競技場基本構想国際
デザイン競技募集要項」に、この混乱の
原因の大半があったと考えられます。


その理由は次の3点です。


1.ザハ案で問題視された競技場の規模
(高さやボリューム、延べ面積等)につい
ては、募集要項の記載内容が既に過大で
あったこと。


2.新国立競技場を国民が納得する形で
実現する手続きが、募集要項にはまったく
考慮されていなかったこと。


3.新国立競技場の事業としての成立条件
について、ほとんど考慮されていなかった
こと。


まず、1点目の競技場の規模に関する募集
要項の記載について検証してみましょう。


高さとボリュームについては、募集要項に
図2施設配置条件図という図面があり、
高さ70mの範囲ならば巨大なボリューム
の施設が建てられるように記載してあり
ます。


しかし、応募時のザハ案は高さ80mで、
募集要項の条件を10m超える案であった
とのことで(2014年7月14日東京新聞
朝刊)、ザハ案は要領違反だった可能性も
あります。


面積については、2012年のロンドンオリ
ンピックメインスタジアム(108,500㎡、
8万人収容、約900億円)に比べると、
新国立競技場の募集要項の29万㎡という
数字がいかに巨大かがわかります。


収容人員が同じロンドンに比べて3倍近
い面積となった最大の理由は、発注者で
あるJSCが、参加の競技団体や政治家等
からの要望を事業性の検証なしに足し合わ
せていったためと考えられます。


具体的には、競技等機能32,000㎡、競技
等関連機能15,000㎡、観覧機能111,000㎡
等は、まだ競技場本来の機能ですから、
何とか納得できるものです。


しかし、それ以外に、VIP等のための
ホスピタリティ機能25,000㎡、スポーツ
関連商業等のスポーツ振興機能21,000㎡
管理本部や会議室などの維持管理機能
35,000㎡といった数字を見ると、なんと
大盤振るまいな計画かとあきれ果てます。


ですから、当初29万㎡の延べ面積が、
2013年11月26日の第4回国立競技場将来
構想有識者会議で、約22.5万㎡に規模縮
小されたのは、もともとの数字が膨れ上
がっていたので、たいした話ではないと
思っていました。


ところが、その縮小案の中身を見ると、
また驚きが倍増しました。


競技場32,000㎡は26,180㎡、に、競技
等関連機能15,000㎡は8,410㎡に、観覧
機能111,000㎡は85,170㎡に大幅に削ら
れているかかわらず、JSC関連の諸室の
面積はそれほど削られていないのです。


たとえばVIP等のためのホスピタリティ
機能は25,000㎡は20,420㎡に、スポー
ツ関連商業等のスポーツ振興機能21,000
㎡は15,050㎡に、管理本部や会議室など
の維持管理機能35,000㎡は25,070㎡に
といった具合です。


実はコスト削減のための規模縮小案でも
JSC関連団体等の要望(利権?)は残
し、本来主役となる競技者や観客のための
施設面積を中心に規模縮小が図られたと
いうのが実態のようです。


次に、2点目の新国立競技場の実現手続き
についてですが、これについては都市計画
の変更手続きに、大きな疑問が残ります。


時系列を追ってみてみましょう。


コンペの募集要項が発表されたのが、
2012年7月20日で、この時点の計画地は
第二種高度地区であり、高さ制限は20m
だったわけです。


その後、東京都の都市計画審議会で、神宮
外苑地区地区計画64.3ha及び再開発等促
進区50.7haが決定され、県画地の建築物
の高さの最高限度が75mに緩和されたの
です。


この都市計画変更の原案の公告・縦覧が
行われたのは、2013年1月21日から
2月4日にかけてとのことで、その後
2013年5月に東京都都市計画審議会で
原案通りに承認、6月に都知事が都市計画
決定をしたわけです。


つまり、国際公約に等しいコンペの募集要
項の高さ制限等の条件が、募集要項発表時
には建築基準法・都市計画法に違反する
数字であり、その後の都市計画変更手続き
で事後的に合法化されたというわけです。


これだけとっても、今回の「新国立競技場
基本構想国際デザイン競技募集要領」が、
以下にデタラメで、法規範や常識を逸脱し
ていたかがわかります。


どこか、現内閣の安保法制の強硬姿勢と
共通しているとは思いませんか?


神宮の森という重要な立地に計画される
施設が、どのような規模であるべきかと
いうことについては、本来ならコンペ実施
前に議論されるべきことであり、都市計画
の変更もそうした議論に沿って事前に行わ
れるべきだったのではないでしょうか?


新国立競技場の実現手続きについては、
もう一点あります。


それは、新国立競技場建設計画において、
当初からコスト問題が懸念されていたにも
かかわらず、発注主体であるJSCが全く
その重要性を認識していなかったように
思えることです。


コンペ実施時の予算約1300億円の根拠が
良くわからないこともありますが、施設の
建設については素人の集まりであるJSC
が、発注者支援業務を、山下設計・山下
ピー・エム・コンサルタンツ他JVに発注
したのが2013年8月22日です。


つまり、ザハ案の当選決定時(2012年11
月15日)から9ヶ月以上たって、ようや
く発注者支援業務を外注しているのです。


プロジェクトマネジメントやコンストラク
ションマネジメントといった発注者支援業
務を専門家に頼むのであれば、本来はコン
ペの実施前の募集要項作成時点で頼むべき
であり、案が決まってからでは効果が半減
どころか数分の1程度になります。


今回の発注者支援業務受託者の働きについ
ては疑問な点は相当ありますが、何よりも
JSCが大規模施設の建設プロジェクトに
ついて全く無知だったという事実が、今回
の迷走の大きな原因といえるでしょう。


最後に、3点目の新国立競技場の事業とし
ての成立条件についてですが、これは発注
者側で最初に検証しておくべき事項で、
事業の成立条件を踏まえたコンペの募集
要領を作成するのは、世の中の常識です。


ところが、JSCの作成した募集要領は、
上記の通り、関連団体等の要望を足し合わ
せて作ったようなものであり、きちんとし
た事業収支の裏づけは、全くなかったと
思われます。


一般に事業収支計画は、当初投資額を適正
に見積もり、完成後の収入項目と支出項目
を確実な範囲で設定することによって可能
となりますが、今回の新国立競技場建設計
画においては、すべての点で甘々だったと
思われます。


建設費をはじめとする初期投資については
前回のメルマガで述べましたので、収入項
目と支出項目について検証してみましょ
う。


2015年7月7日の国立競技場将来構想有
識者会議で示された完成後の収支見込では
年間の収入が40.81億円、支出が40.43億円
で、差し引き3800万円の黒字となっていま
す。


このうち、収入の主力を占めるのは、プレ
ミアム会員事業19.33億円と、ビジネス
パートナーシップ事業12.9億円ですが、
この中身が唖然とする内容です。


プレミアム会員事業では、年540万円の
ボックス席が76室、15万円の会員シート
が3412席、10万円が739席、9万円が
1455席、6万円が1386席といった具合
で、そのバブリーさはあきれるばかりで
誰がこんな大金を出すのでしょうか?


ビジネスパートナーシップ事業も、年間
1.5億円のゴールドが3社、0.72億円の
シルバーが5社、0.48億円のパートナー
が10社だそうですが、たまにしかテレビ
放映されない競技場のパートナーシップに
どこが手を上げるのでしょうか?


支出については、将来の大規模改修費用が
収支計画に含まれていないという根本的な
欠陥があります。


第188回国会の安倍首相の答弁によると、
50年間分の修繕費が、約319億円、大規模
改修費が約656億円と試算しているようで
すが、このお金はどうやって捻出するので
しょうか?


いずれにせよ、新国立競技場建設について
は白紙撤回されたわけですから、今度こそ
国民の納得する形で、議論が進んでいくこ
とを期待したいと思います。


長文駄文、最後までお読みいただき
ありがとうございました。


田村 誠邦
8月3日

8月に入り、連日35度を超えるような猛暑
日が続いています。


昨日も、ある用事で埼玉県のある街に出か
けたのですが、わずか10分ほど歩くだけで
汗が噴き出して、頭がくらくらするような
暑さでした。


さて、やや旧聞に属しますが、去る7月17
日に、もめにもめていた新国立競技場の建
設問題が、安倍首相の「決断」により白紙
撤回されました。


2012年11月15日のザハ・ハディッドの最優
秀案決定から2年8か月、2013年8月15日に
槇文彦氏がJIA MAGAZINE295号に発表した
建設白紙見直しの提言から1年11カ月後の
白紙撤回の決断でしたが、あまりにも遅き
に失した感がします。


17日の会見で、安倍首相は約1か月前から
見直しの検討に入った」と述べていますが、
実態は、安保法制で支持率が急低下した
安倍首相が、新国立競技場問題でさらなる
失政を糾弾されることを恐れての決断と
思われます。


その証拠に、その約3週間前の6月23日に
競技場建設の事業主体である日本スポーツ
振興センター(JSC)はザハ・ハディド
氏の事務所に、新たに「新国立競技場の施
工段階におけるデザイン監修業務」1億7
千万円を発注しています。


JSCがザハ事務所と既に交わした契約は、
上記のほか「フレームワーク設計に関する
デザイン監修業務」、「基本設計に関する
デザイン監修業務」、「実施設計に関する
デザイン監修業務」の3本あり、今年4月
までに合計13億円が支払われています。


これだけの大金が支払われているからこそ
ザハ案の白紙撤回でも、ザハの事務所から
訴訟で訴えられる可能性は低いということ
なのでしょう。


このほか、日建設計・梓設計等への各種設
計業務、山下設計・山下ピー・エム・コン
サルタンツ等への発注支援業務、大成建設
竹中工務店等への技術協力業務など、ザハ
事務所への発注をあわせ、合計59億円も
の金額がすでに支払済みだそうです。


この金額は、オリンピックなどでの活躍が
期待される一流選手への強化費の3年分に
当るそうですから、JSCはなんという無
駄遣いをしてしまったのでしょうか。


しかもこのお金は、もとをただせば我々
国民の払った税金をもとにしているのです
から、我々国民はもっとこの問題について
怒るべきなのです。


そして、JSCは自分で稼いだお金でなく
国からあてがわれた予算で、この事業を
行おうとしていたというところに、今回の
新国立競技場建設問題の根っこがあるよう
に思えます。


私自身は、ザハの事務所を含めて、上記に
名前を挙げた企業に、今回の新国立競技場
建設問題についての中核的な責任があると
は思っていません。


ただし、発注者支援業務を受託した山下設
計・山下ピー・エム・コンサルタンツ他JV
には、明確なコストと技術的実現可能性に
ついての的確なアドバイスを発注者である
JSCに示すという業務をなし得ていたの
かどうか、大きな疑問が残ります。


今回の新国立競技場建設問題は、ザハの斬
新なデザイン案が、膨大な予算超過を招い
た元凶のように言われることが多いのです
が、私自身は、問題の所在は明らかに発注
者側であるJSCや文部科学省、そしてコ
ンペの要綱や審査体制にあったと思います。


建設費については、2012年7月20日に発表
された、新国立競技場国際デザイン・コン
クール募集要項では、約1300億円という数
字がデザイン提案の目安として提示されて
いました。


それが、2013年10月19日に、下村博文五輪
担当相が、ザハの当選案をもとに試算した
結果として、約3000億円になることを発表
しました。


その結果を受けてJSCは案のコンパクト
化(約29万㎡を約22万㎡に)を図ることを
決定し、2014年5月28日に、基本設計案と
して約1625億円(2013年7月時点の単価、
消費税5%で試算)を発表しました。


ところが、2015年7月7日に示された設計
概要案では、可動席の簡素化、空調設備の
一部見直し、ペデストリアンデッキの縮小
等の案全体の縮小化を図っているにもかか
わらず、目標工事費が2520億円に膨らんで
しまったのです。


その理由としては、消費税増40億円程度、
建設資材や労務費の高騰(25%程度)350
億円程度、新国立競技場の特殊性(屋根鉄
骨、スタンド鉄骨、内外装、大量の建設発
生土)765億円程度だというのです。


コンペ時1300億円が、ザハ案の採用が決
まって約3000億円、これを規模縮小して
1625億円、これをさらに見直しを図ると
2520億円とは、民間工事ではありえない
迷走であり、これで建設を強行していたら
世紀の笑いものになっていたと思います。


こうした迷走の最大の原因は、発注主体で
あるJSCの発注者としての自覚のなさに
あることは明らかですが、同時に監督官庁
としての文部科学省、国を含めた無責任
体制に最大の問題があると思います。


これは、いわば日本病ともいえる構造的な
病いであり、東日本大震災後の被災地復興
での公共事業の膨大な無駄遣い(住民の意
向を無視した防潮堤や、需要を無視した
膨大な土地区画整理事業等)にも共通する
大きな問題だと思います。


つまり、オリンピックという国を挙げての
イベントや、震災復興という大義名分が
あれば、それによる将来に渡るコスト負担
や環境への影響などを一切考えずに突き進
む無責任体制が許される土壌が、わが国に
根深く存在しているということです。


ただ、今回の新国立競技場建設問題につい
ては、槇文彦氏の問題提起の後の世論の
盛り上がりによって、なんとか国の暴走に
歯止めをかけることができたという意味で
大変意義深い出来事だと思います。


この問題については、まだ書き足りない
ことがあるので、次回も取り上げたいと
思います。


田村誠邦


7月21日

こんにちは
田村誠邦です。


梅雨も明け、一気に夏本番の陽気になって
きました。


さて、6月19日のメルマガで「景気回復は
本物か?」というテーマを取り上げてから
1か月余りが経ちましたが、その間に世の
中の雰囲気は、すっかり変わってしまった
ようです。


1か月前には第一四半期GDP成長率が年率
2.4%増と事前予測より好調で、3月期の
東証上場企業の決算が、43兆円と過去最高
を記録し、東証一部の株式時価総額も史上
最高となるなど、日本経済を取り巻く環境
は、極めて順調に見えていました。


海外に目を転じても、ギリシャ問題の懸念
はあったものの、中国経済については6月
12日に上海総合指数が今年最高値を付ける
など、まだ大きな問題は発覚していなかっ
たのです。


しかし、その後の経緯は皆さんもご存知の
通りで、上海市場はわずか3週間に30%以
上の下落を示し、ギリシャの国民投票の結
果、EUの財政再建策をギリシャ国民が拒否
するなど、世界経済は大混乱に陥いること
になりました。


こうした情勢を受けて日本国内でも、中国
バブルの崩壊や欧州金融危機を憂慮する報
道や記事が多くなり、6月中旬までの景気
回復感は一気に吹き飛んだ状況です。


また、アベノミクスによる株価の上昇と経
済回復への期待で高い支持率を誇っていた
安倍政権も、安全保障関連法案の強行採決
などで、その支持率にもかげりがみられる
ようになりました。


その後、中国市場については、中国政府の
なりふり構わぬ市場介入の効果もあって、
4000の大台を回復するところまで回復し、
ギリシャ問題についても、チプラス首相が
EUの提案を受け入れたことから、欧州金融
市場も落ち着きつつあるようです。


しかし、中国にしろ、欧州にしろ、金融危
機を招きかねない根本原因(中国について
は過剰生産設備、地方政府や国有企業の不
良債権問題、経済成長率の低下、欧州につ
いては域内の経済格差問題、銀行等の不良
債権問題等)は解決していません。


特に中国市場については、株価の推移が、
1929年の世界大恐慌や、2008年のリーマン
ショック時と似ていると言われており、今
週いっぱいに戻りのピークを付けてから、
8月いっぱいまでに、さらなる大暴落を記
録する恐れが強いように思えます。


さてこうした中で、唯一好調に見えるのが
米国経済で、先週末の17日にはナスダック
総合株価指数が新高値を付けています。


さまざまな問題を抱える欧州やアジアに比
べ、米国経済が好調なのは確かだと思いま
すが、実は米国経済にも、いくつかの懸念
材料があるようにも思えます。


第一の不安要因は米連邦準備理事会FRB
が主導してきた量的緩和の出口についてで
す。


FRBは、リーマンショックからの経済回
復の手段として、2008年11月から3段階に
わたり、計400兆円近い量的緩和政策を実行
し、米国債やMBSの買入を通じて市場に
資金を供給し続けてきました。


FRBは、昨年10月に量的緩和政策の縮小
を決定し、新たな証券購入の規模を縮小す
るとともに、米経済状況とその見通しが安
定した段階で利上げに踏み切るなどとした
出口戦略の大原則も公表しました。


量的緩和政策は、リーマンショック後の緊
急避難的な政策としてスタートしましたが
その後、日本や欧州も同様の政策を実施す
ることとなり、実は現在の世界経済の成長
や安定、株価の上昇傾向は、この量的緩和
政策によるところが大きいのです。


問題は、この量的緩和政策は、FRB等の
中央銀行が、国債などの債券や証券を買い
上げて資金を市場に供給していく施策です
から、いつまでも続けていくことは不可能
で、必ず出口が必要なことです。


量的緩和政策の出口は、一つには、国債の
買入を通した実質ゼロ金利が終わることを
意味し、もう一つには準備預金残高を正常
な水準に戻すということを意味します。


実質ゼロ金利の終焉は、企業の調達金利の
上昇を意味し、実体経済にはマイナスの影
響があるだけでなく、前回のメルマガに書
いたように、国債価格等の急落を招き、デ
リバティブ取引等を行っていた金融機関等
の経営不安を招く可能性もあります。


また、準備預金残高の正常化というのは、
金融機関が中央銀行に預ける当座預金残高
を、法定準備金のレベルまで戻すというこ
とです。


しかし、現在のFRBの準備預金残高は、
法定準備金の20倍を超える規模であり、市
場からの資金回収は、経済縮小を招きかね
ないと言われています。


実はこの量的緩和政策からの出口問題は、
米国だけでなく、日本も欧州も、全く同じ
問題を抱えているのです。


再び米国経済の不安材料に話を戻すと、第
二の懸念は、現在の米国の株式市場の好調
さが、実体経済を反映したものではないの
ではないかという疑念があることです。


米国の株式市場は、リーマンショック後の
底値から、6年以上も上昇傾向を続けてい
ますが、最近目立つのは、自社株買いの拡
大です。


米国の調査会社ビリニー・アソシエーツに
よると、米国企業がこの4月に発表した
新たな自社株買い枠は1410億ドル(約16兆
9000億円)と2014年4月に比べて121%増加
し、単月の記録を塗り替えたそうです。


このペースで行けば今年発表される自社株
買いは1兆2000億ドルに達し、2007年に記
録した過去最高の8630億ドルを大幅に更新
する見込みとのことです。


米国企業は金融危機後に、量的緩和の効果
もあって、多額の現金を蓄え、その多くを
自社株買いなどの株主還元に充てています。


そうした活動により株式数が減少すること
によって株価が支えられ、6年間にわたる
相場上昇に大きく貢献したと考えられます。


しかし、本来は、企業は事業によって稼い
だ資金を、次の事業展開のために投資し、
さらなる発展を遂げていくものです。


そうした事業のための投資よりも、株主
還元のための自社株買いなどを優先すると
いうのは、何か本末転倒のような気がしま
す。


実はこうした自社株買いは、企業の経営者
にとって、株式の上昇が最大の関心事であ
るために実行されていると言われています。


それは、株主の評価という面もありますが、
もう一つには、ストックオプションなどの
仕組みを通して、企業経営者自身の報酬が
株価に連動する仕組みが作られていること
によるものと考えられるのです。


したがって、現在の米国の株高が、企業の
業績そのものよりも、ストックオプション
などの株主還元策に支えられた見せかけの
株高である可能性は相当高いのです。


また実体経済と株価の推移を見てもリーマ
ンショック後の米国株式市場の好調さは、
何か不自然なものを感じます。


2009年3月から今年4月までの6年余りの
間のニュヨークダウの年率平均上昇率は
17.9%と極めて高いものがありますが、
その間のGDP実質成長率はわずか2.22%
にしか過ぎません。


米国でも、実体経済の成長率と株式市場の
上昇率との相関関係は、きわめて弱くなっ
ており、株式市場の上昇は、株式を大量に
保有する富裕層や経営者層の資産の増加を
もたし、経済格差の拡大をもたらすだけと
なっているようです。


また、実体経済の状況を表す貨幣の流通速
度が大幅に低下し、世界貿易の荷動きの活
発さを表すバルチックドライ海運指数が、
この30年間の最低値を記録するなど、米国
を中心とする世界経済の減速は、さまざま
な統計指数からかなり明白です。


実体経済を反映しない株高=バブルは、い
ずれ弾けて解消されるのが、歴史の証明す
るところです。


上海市場の動向にもよりますが、米国の株
高もこの秋には弾けてしまい、世界的な金
融恐慌になる可能性も、3割から5割程度
はありそうな気がします。


田村 誠邦

7月15日

こんにちは
田村誠邦です。


梅雨も後半に入り、梅雨前線の動きが
活発化しているのか、今日も朝から雨が
降り続き、気温も肌寒いくらいです。


さて、前回の6月26日のメルマガで中国
株バブルの崩壊の不安いついて取り上げた
のですが、その時点では、次はギリシャ
危機について取り上げる予定でした。


ところが、実体経済の動きの方が、はるか
に早かったようです。


ギリシャのチプラス政権がEUの提案した
財政再建策について拒否の姿勢を示し、
7月5日の国民投票に財政再建策受入れの
是非を問うことを決めたことを受け、先週
の金融市場は大荒れの展開となりました。


ギリシャは、6月30日が期限だったIMF
への16億ユーロなどの借入金の返済が
できず、事実上のデフォルト状態に陥って
おり、7月5日の国民投票の結果次第では、
ギリシャのユーロ圏からの離脱の可能性も
現実味を帯びてきているのです。


こうした情勢を受けて、前回のメルマガで
取り上げた上海市場をはじめとする中国の
株式市場は、一段と下落幅を広げ、先週の
上海総合指数の終値は3,686.92と、6月12
日の直近のピークからわずか3週間で32%
もの下落を記録しています。


こうした暴落ともいえる事態を受け、中国
政府も、政策金利の引き下げに加え、信用
取引規制の緩和や取引手数料の引き下げ等
の株価対策を実施しましたが、その効果は
上がっていないようです。


このため、昨日の日経新聞報道によると、
中国の証券当局である証券監督管理委員会
は7月4日に、大手証券21社に対して、
上場投資信託への総額1200億元(約2兆
4千億円)の投資を週明けすぐに実行に
移すよう求めたそうです。


また、投資ファンド業界に対して株式市場
への集中投資を促したり、新規株式の公開
を制限し、市場の需給を一気に改善を狙う
など、まさになりふり構わぬ株価維持政策
を実行しようとしているようです。


週明けの市場で株価の下落に、何としても
歯止めをかけたい中国政府の意向を強く
映した措置ですが、巨大化した中国市場で
2兆円程度の買入がどれほどの効果がある
のか、やや疑問と思われます。


以前にもお伝えしましたが、そもそも長い
金融の歴史の中で、バブルの崩壊を政府が
止めることに成功したという事例は、いま
だかつて一度もないからです。


もっとも、上海株の値下がりはあまりにも
急でしたから、そろそろ反転してもおかし
くない時期になっており、ひょっとすると
あの暴落は何だったのだろうかと思うほど
暴騰をする可能性も十分にあります。


しかし、こうした暴騰があったとしても、
それは本来の中国経済の状況とは全く無縁
のバブルに過ぎませんから、その後のさら
に大きな「バブル崩壊=株価暴落」の序章
に過ぎないのではないかと思われます。


さて欧州に目を転じると、今朝のニュース
では、ギリシャの国民投票の結果、EUが
求める財政緊縮策受け入れに対する反対票
が6割を超え、チプラス首相が勝利宣言
をしたそうです。


今後ギリシャは、EUやIMFなどの債権
団と支援継続の協議にのぞむ考えですが、
ギリシャ国内の銀行の手元資金も数日で底
をつくとも言われています。


EUやIMFなどの債権団との協議が、
直ちに打ち切られることはないにせよ、
欧州中央銀行が保有するギリシャ国債35
億ユーロが償還期限を迎える今月20日を
無事乗り切れるかどうか、かなり緊迫した
状況が続きそうです。


また、現在はギリシャ危機ばかりが注目を
集めていますが、欧州経済の火種は、ギリ
シャ危機だけではないものと思われます。


その一つが、欧州各国の国債の金利の動き
です。


たとえば、ドイツ国債(10年債)の金利
は、4月16日には史上最低水準である
0.057%を記録してから、2か月弱日後の
6月10日には0.981%へと、17倍にも
急上昇(価格は急低下)しています。


国債金利の高騰は、ドイツだけの問題では
ありません。


スペインでは3月11日に1.081%だった
10年国債の金利が、6月15日には2.41%
と2倍以上に急騰し、フランスでは4月
16日に0.352%だったのが、6月10には
1.313%と、3.7倍にも急騰しています。


国債の取引では、手持ち資金の数倍もの
レバレッジをかけるのが普通なで、金利が
急上昇すると、金利にレバレッジの倍率を
乗じた巨大な損失が発生することになる
そうです。


こうした欧州各国の国債金利の急騰で、
大手金融機関やヘッジファンド等が破綻
する事態がいつ起こっても何ら不思議では
なく、ユーロ圏の金融情勢は、ますます
悪化する可能性が高いと考えらます。


たとえば、米格付け会社スタンダード・
アンド・プアーズ(S&P)は、6月9日
に、ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行の
格付けを、「A」から「BBB+」に2段
階引き下げています。


この格付けは、リーマンブラザーズが
破たんする3か月前に引き下げられた時
の格付けより低く、世界を代表する大手
銀行の格付けとしては異例の低さです。


ドイツ銀行は今年3月の銀行業界による
ストレステストにも合格せず、昨年に続き
資本増強を迫られており、この6月上旬
には、2名の共同代表CEOが退社する
ことを発表しています。


ドイツ最大の金融機関であるドイツ銀行内
で、何か異変が起きていることをうかがわ
せる事実ですが、一説によるとドイツ銀行
が抱えるデリバティブの想定元本は、ユー
ロ圏全体のGDP9.6兆円の3.5倍以上とも
言われています。


この巨大なデリバティブ想定元本が、
ユーロ圏の金利高騰による国債価格急落の
影響を受けているとすれば、想像もつかい
ほどの損失が生じている可能性すらあるの
です。


このように、ユーロ圏の最優等生と言われ
ているドイツですら、国債金利の急騰
(国債価格の暴落)や金融機関破たんの
可能性といった火種を抱えているのです。


このように、仮に今回のギリシャ危機を
一旦乗り切ったとしても、欧州の金融情勢
については、国債金利急騰による金融機関
の経営不安など、まだまだ油断がならない
状況が続くものと考えられます。



最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。


田村誠邦

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